アレルギー経口負荷試験・経口免疫療法の掟-アレルギーっ子の命を守るために-

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息子のアレルギー対応と向き合う中で、私は大事なことを忘れていました。

アレルギーと長く向き合うための鉄則。と言うほど厳重なルールじゃないけど、「心構え」として大切なことを書き留めておこう。

そんな趣旨で、主治医から今まで言われ教えられてきたことを「掟」としてまとめました。

「アレルギー経口負荷試験・経口免疫療法の掟」をつくる経緯と趣旨

「なるべく早く多く食べられるように」という希望、「もしかすると食べられるかもしれない」という期待。それが無意識に先走っていませんか?

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小麦アレルギー経口負荷試験・うどん0.6gで挑戦!経口免疫療法へ(5歳前半)

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息子の小麦アレルギー対応として経口免疫療法を続ける中で、うどん0.1g→0.3g→0.6gとステップアップしてきました。急速法ではなく期間を空けて、時間をかけて、少しずつ増量してきました。

だから、「前回の経口負荷試験から期間が空けば、食べられる量が自然に増えているものなのだ」と、勝手に思い込んでいた部分がありました。

小麦アレルギー経口負荷試験うどん1.2gに挑戦!も蕁麻疹でショック

2019/05/15

現に「うどん1.2g」の増量テストで失敗した時、とても凹みました。ここで「失敗」という表現をする時点で、私の”先走り”は明確。

そこで、自分の気持ちを切り替える意味でも、初心に戻って前向きにアレルギーと向き合う意味でも、主治医の言葉1つ1つを紐解き、まとめることにしました。

・息子のアレルギーと今後も長く向き合うため
・向き合っているうちに再び気持ちが先走っても大事なことを忘れないため
・いつかまた意気消沈した時に、自分を励ますため
・今まで何を教えてもらってきたのか、忘れないため

そんな趣旨を胸に、書き留めておくことにしました。
アレルギー対応で凹んだら、この記事を見直そう!

1.増量を目指さない。閾値の目安を知るだけ。

食物アレルギー経口免疫療法を実施している人が、「毎日食べる量」を増やそうとする時に受けるテストが、増量のための経口負荷試験です。

初めて食べる食材に対して、アレルギー有無を検査する経口負荷試験とは、ちょっと位置付けが違います。

増量のための経口負荷試験(以下「増量テスト」)を受ける時、ついつい「食べられる量の増量」を目標にしてしまいます。
これはダメ(by 主治医論)!

そもそも増量テストで食べる量は、”目標”ではなく”確認”するもの。増量テスト自体が、目標をたててクリアできるか?という概念ではなく、本人の様子から判断して”今なら食べられそうな量”を試すものです。

食物アレルギー経口負荷試験では、増量を目指さない。増量を目指す気持ちを忘れて、閾値の目安を知ることに徹すること。

閾値とは?
簡単に言うと限界値。主治医は「いきち」と読み、私が参画したITプロジェクトでは「しきいち」と読みました。ある反応を起こすのに必要な最小(大)値のことで、アレルギー対応で言うと「ぎりぎり食べられる量」という意味です。閾値もしくはこれを超える量で、アレルギー症状がでることを意味します。

2.閾値にこだわらない。安全に食べられる量を決めるだけ。

医師
「閾値」を上げよう上げようと意気込むお母さんが多いけど、そんな必要はないの。別に「ここまで」というラインが決まっているわけじゃない、閾値は曖昧でいい、体調によってだって変わるのだから。

アレルギー対応における「閾値」の考え方を理解すると、この閾値を少しでも上げようと、つい意気込んでしまうのが親心というものです。
これがダメ(by 主治医論)!

増量テストでアレルギー症状がでると、食べられる量の閾値(限界)を察し、それが増えていないことで凹みがち。先生曰く、ここで閾値にこだわって凹む方が間違いだと言うのです。

そもそもアレルギーにおける閾値は、ボーダーラインとして線引きするものではなく、極めて曖昧なもの。疲れた時や風邪をひいた時には閾値どころか少量でもアレルギー症状は出るし、同じ量で昨日は大丈夫でも今日はダメな時もあります。閾値は、体調・気分・その時の免疫の状態…などに左右される、とっても曖昧で流動的なのです。

だから、アレルギー経口負荷試験&経口免疫療法では、閾値にこだわらず、毎日安全に食べられる量を決めるだけ。閾値は、ボーダーラインとして定めるものではなく、”毎日食べ続けても大丈夫な量”を決める目安です。

毎日食べる量は、閾値ギリギリでもないし、閾値の少し下なら大丈夫とも限らない。閾値そのものにこだわらず、だいたいの閾値とアレルギー症状を元に、毎日安全に食べられる量を決めるための目安に過ぎない!と割り切ること。

3.アレルギー血液検査はクラスにこだわらず、抗体が減少傾向にあれば良い。

アレルギー検査における血液検査は当てにならない、とはよく言われますが、実際にアレルギー症状が強くでるアレルゲンでは、血液検査による数値も高いです。そういう意味では、「アレルギーレベルを知る上では参考になる」と考えている派です。

実際にアレルギー経口免疫療法を進めている段階になると、アレルゲンに対してどんどん免疫が反応しなくなっているのでは?と期待します。だから血液検査の結果も、クラスが下がっていることを期待してしまうのが、ここでの親心。
これがダメ(by 主治医論)!

クラス(アレルギーレベル)がどうか?にこだわる必要はなく、以前と比べて抗体が下がってきているか?に着目しましょう。一番高い数値つまり一番ひどいアレルギーの抗体が下がると、他のアレルゲンに対する抗体も下がってくる傾向にあるそうですよ。

アレルギー経口免疫療法を進める中で、アレルギー血液検査をした時、アレルギークラスが変わらなくても、抗体を現す数値が少しでも下がっていれば喜ぶこと。

4.アレルギー症状が出ても落ち込まない。一番大変なのは本人である。

アレルギー経口負荷試験において、アレルギー症状が出た子供を目の前にして、落ち込まない親がどこにいるんか!というのが正論だと思いますが、これは落ち込んだ親を励ますための掟です。

私は落ち込んだ様子が顔や態度に出てしまうし、もともと感情的なタイプなのでパニックになると感情を抑えきれず、抑えていた不満や怒りが爆発してしまうことも。

そんな様子を知ってか知らずか、

医師
お母さんが落ち込む必要なんてないのよ。だって一番大変なのは本人なんだから。

と、よく言われます。

アレルギー症状が出て、落ち込んでも凹んでも、自分よりもっと大変なのは本人である-。目の前の子供を見れば、凹んでいる暇もないのだと涙をふくこと。

5.アレルギー経口負荷試験を急ぐ時・急がない時を見極める。

今まで何回もアレルギー経口負荷試験を受ける中で、検査自体を急ぐ時/急がない時のパターンが分かりました。

アレルギー経口負荷試験を急ぐべきタイミングは-
入園や入学など、食生活を伴う新たな環境での生活が控えているのに、アレルギー有無が分かっていない時、かつ重篤な症状を起こす可能性があって自宅では摂取できない場合です。

【アレルギー児の就学準備】学校給食と書類提出に備える!小学校入学までにやること

2022/04/01

診断書の準備、給食対応、食を伴うイベントに向けた情報伝達などに対して、アレルギー情報を明確にすることは絶対です。該当する場合は急いで予約をとりましょう。

アレルギー経口負荷試験を急がなくていい時は-
経口免疫療法における増量テストを急がなくていい時、に読み替えた方が状況がしっくり伝わるかもしれません。

ずばり本人が食べるのを嫌がっている時、美味しく食べていない時、もっと食べたいという意志を示していない時、です。

経口免疫療法で毎日食べ続ける中で、本人が美味しそうに食べた時・もう少し食べてみたいという意志を現した時に、増量テストをすると閾値が上がっていることが多いそうです。逆に言うと、そうじゃない時に無理やり食べても結果的に食べられないということです。

アレルギーにおける閾値は体調にも左右されると学んだばかりですが、閾値が上がれば自然と食欲や気分にも現れるという、不思議な依存関係ここにあり。

アレルギー経口負荷試験を受けたいと思う時、それが急ぐべきなのか急がなくてよいのか、待ち受ける環境と子供の様子から、適切に見極めること。

6.アレルギーで命を落とさない。目指すのは究極これだけ。

アレルギー経口免疫療法を始める時に、主治医から聞いて肝に銘じた言葉があります。

怖いのは誤食。
アレルゲンを含む食べ物に対して「この”量”なら大丈夫」と思って食べたけど、結果的にダメだった時のアレルギー症状は大したことない。

でも「(アレルゲンフリーだから)大丈夫」と思って食べたら、実はアレルゲンが入っていた時は、命を落とすリスクがある。

それを防ぐために、体に入っても大丈夫なアレルゲンの量を少しでも多くしておく。それが狙いです。

アレルギーを治すためじゃない、命を守るためです。

この言葉を暗記すれば、自分の不注意でやってしまった誤食事故では蕁麻疹で済んだことと、ニュースにもなった誤食事故での悲しい結果との違い。アレルギーっ子には普通の食べ物で命を落とすリスクがあること。経口免疫療法の意義。アレルギー対応の根底が分かる気がします。

アレルギーっ子の命を守るため-。どんなに辛くても、それを肝に銘じること。

これからも、自分にとって大切な「掟」を見つけたら、追加していきたいと思います。


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4 件のコメント

  • 丁寧にお返事いただき、ありがとうございます!
    新たに通うことになった負荷試験の病院は原則日帰りで、「何もなければ14時頃終了、症状が出れば夕方まで、症状が酷ければ一泊入院になります」と説明を受けました。
    日頃受診しているアレルギー科の主治医からは「県内の負荷試験で信頼できる病院は2つだけ」と言われたうちの1つです。
    クラス6ではできないという情報をよそで見かけたので、そういうものだと思っていましたが、実施してくれる病院もあるのですね。
    うちはラーメンの湯気を吸っただけで呼吸困難になった過去もあるので、そういう判断になったようです…。

    ゆきまるくんの病院では、翌日休む指示は出ていないのですね。
    こちらも病院からはそのような話は全くなく、負荷試験の報告を保育所にしたらこのように言われたので、園長先生の判断だと思います。
    (ちょっと偏屈というか…気分で物事を言うタイプの先生なので…今年度は先生4人に取り囲まれてエピペンについて質問責めにされたり、いろいろ保育所対応でストレスがたまりました。汗)
    『発症した場合は家で様子を見て』なら納得できるのですが、スムーズに進んだ場合も強制的に休まされるのは、親も仕事をしてるのになんだかなぁ…と思っていたところでした。
    遅延型ではなく、即時型という診断書も出しているのに。
    必ずしも休まないといけない訳ではないようで、ホッとしました。
    小学校に進めば、また学校の対応が変わるかもしれないですね^^

    貴重な経験談をありがとうございました。
    保育所の対応は今年度はもう変わらないと思いますが、どこも同じでないということを知れて安心しました。
    またブログお邪魔させていただきますね。

    • >こゆりす さん

      負荷試験について、
      「クラス6でやる/やらない」病院がある、という意味ではなくて、
      「実際に出たアレルギー症状によって判断されるから、クラスに関係なく(クラス6でも)実施してくれる病院はある」
      というニュアンスでの意見・返信でした。
      少し誤解があり、申し訳ございません。

      こゆりすさんの病院も、「クラス6だからできない」ではなく、
      「過去にアナフィラキシーショック症状の経験があるか」みたいな病院側のマニュアル(判断基準)に触れてしまい、
      過去の症状をヒアリングしたら「ラーメンの湯気を吸っただけで呼吸困難」という過去が判明して、
      結果「できない」になったんだと思います。

      なるほど、検査の翌日に休む指示は、病院ではなく保育所からなのですね。

      そういう保育所は、何かあった時の対応や責任の矛先を気にしていると思うので、
      検査を受けたら、先生から「明日は保育所に行ってもいい」というお墨付きをもらい、
      保育所には、予め「医者から許可が出た場合だけ来園、許可が出なければ休みます。」
      と言っておけばいいのではないでしょうか?

      結果的に翌日、保育所に行ける気がします。

      ☆いつでもサイトに遊びに来て下さいね。

  • 先日はアレルギーサインカードの件で御世話になりました。
    来月、遅ればせながら経口負荷試験をすることになりました。
    息子はクラス6の小麦はやはり許可が出ず、食べた経験がある卵黄からということになりましたが…。

    負荷試験の心構えの記事、大変参考になりました。
    親としてはつい増量を期待しがちですが、「命を守る」ということを肝に銘じて挑みたいと思います。

    通っている保育所に伝えると「試験の翌日は(症状の有無によらず)休んでね」と先生から言われたのですが、
    保育所の間は親が仕事をなんとか調整すれば良いだけなのでいいとしても、
    小学生になって定期的に2日休むとなると、授業の遅れが気になります。
    息子が試験をする病院では金曜日の対応がないので、連休せざるを得なくなります。
    検査の頻度は2ヶ月に1度くらいなのでしょうか?
    ゆきまるくんが通っている病院や保育園でも2日休むように指示されていますか?
    病院や地域によっても違うかもしれませんが、教えていただけるとありがたいです。

    • >こゆりす さん
      コメントありがとうございます。
      アレルギーサインカードの件、サイトからコメント返信してあります。
      私よりも、クオリティが高く、素敵でした。
      https://yukimaru-life.com/allergy-yumyum/

      クラス6であれば、病院によっては、安易に負荷試験や免疫療法を実施できないと判断されるかも。
      親としては、どこも共通で平等の医療を求めてしまいますが、先生の力量や病院の方針に差がありますから、仕方ないと言えば仕方ないですが…。

      経口負荷試験の「入院対応」ができない病院なのでしょうか?

      ”症状がひどく出たら入院対応”とか、
      ”症状が強く出る可能性がある患者は予め入院での検査対応”、
      という体制をとる病院であれば、
      クラス6だからダメとかにはならないかもしれません。

      あるいは、優先順位をきちんと考えてくれていて、
      今の時点でクラス6アレルゲンを先走るよりも、
      食べた経験がある卵黄から確実に検査していこう。
      という見解なのかもしれません。

      本題ですが、息子が通う病院では、負荷試験&免疫療法の増量検査において、翌日を休む指示は出ていません。
      検査の翌日は、保育園に行っています。

      前に通っていた病院でも、
      検査翌日から3日間の経過観察は必要でしたが、「保育園や学校を休め」という指示はありませんでした。

      「遅延型」を懸念して、そういうマニュアルになっているのか?

      アレルギーレベルや症状は、その子によって違うものだから、一概に「翌日は休んで」と言われてしまうのは、気になりました。
      「もしも〇〇だったら、翌日は安静にしてね。」
      「もしも〇〇だったら、翌日は休んでね。」
      という言われ方なら理解できます。

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