軽度ASD(自閉症スペクトラム障害)の息子の癇癪に、ずっと悩んできました。
今でも、今よりベターな癇癪対応を模索中ですが、癇癪がエスカレートする原因が分かったので、対策を練りやすくなりました。
今回は、癇癪スイッチが入る時から、態度や言い方を変えれば、事態が好転する事例もあるのだと、伝えていきたいと思います。
”否定・買い言葉・突き放し”は癇癪をエスカレートさせる!…ということは?
今までの私の言い方では、ASD息子の癇癪をエスカレートさせてしまいました。
息子の気持ちを頭ごなしに否定し、売り言葉に買い言葉で言い放ち、突き放した態度では、癇癪スイッチが入り、エスカレートすることが分かりました。
ということは、その逆の言い方と態度で接してみよう!
と、決意しました。
イライラしても怒らず歩み寄る!遊び気分で近寄ると”掴みはOK”率が高い
前回同様に、夕食の約束の時間が来たのに、声をかけてもソファや床に寝転んでグズグズした時の事例を見てみましょう。
始めから怒った態度で近づいたら、台無しです。
息子本人も、「本当は夕食の時間なんだ」と分かっているのです。だから怒る必要はありません。
”グズグズし始めた”ということは、(息子にとって面倒or嫌いな)次の行動に移らなければと理解し、「今やっていることを続けたいのに辞めなければならない」と思っている証拠。むしろ褒めていい気がしてきます。
おばけのような手の形で、「ご飯だぞ~」と息子に近づき、抱きしめます。
私が「時間が来たら、ご飯って言ったでしょ(怒)!」と、怒って近づいた時と同じように、「やーだー」とは言いますが、その言いっぷりに変化が。
”反発”ではなく、甘えてるような苦悩しているような感じで、「やーだー」と言いながら、抱きしめた私の腕から抜け出そうとします。
息子の「やだ」という気持ちは、まだ消えていませんが、”私の腕からうまく抜け出す”という別のミッションに、気持ちが少しシフトしている様子。
息子の「やだ」という強い気持ちが、少し和らいだかのように見えました。
頭ごなしに否定せず、気持ちを受け止め共感する!
息子の「やだ」という気持ちがあることは事実なのだから、それを否定してはいけません。
別にウソを付いている訳ではない。
冷静に考えると、”イヤだ”と本当のことを言っているのに、「”やだ”じゃない!」なんて否定したら、言われた方は不愉快に決まっています。
「やだ」と思っているのは本当なのだから、
「そうだね」
「イヤだよね」
と、まずは気持ちを認めます。
複雑な気持ちを言葉で上手く表現できない、息子のような発達障害の特徴を持つ子には、とても有効な「共感」です。
自分の1つ目の「やだ」発言については、息子にとって解決しているような雰囲気に見えました。
その代わり、次の”想い”が、ぐちゃぐちゃになって頭の中にあるようです。
「ねむい」とか「トイレ」とか思い付くまま、混乱しながら発狂しています。
気持ちを”代弁”、頭の中を代わりに”整理”!行動の順番を決めて一緒に辿れば本人もスッキリ
まずは共感。鉄則です。
そして、息子のモヤモヤの中には、「眠い」「おしっこしたい」「ご飯も食べなきゃ」という気持ちがあると分かっているので、1つずつ行動を促しながら、一緒に動いていきます!
まずは、トイレに行かせてスッキリさせないと、他の事までスムーズに行かないので、「イチ、トイレに行こう」と言って、手をつないでトイレに向かいました。
用を足している途中でゴチャゴチャ言うと、また混乱してしまうので、トイレが終わってから(手を洗っている時)、次の行動を促します。
この時、息子の「眠い」という気持ちも、忘れてはいないことをアピール。
手をつなぐか、後ろから肩を持って電車ごっこのように歩き、食卓へ向かいます。
この時点で、ほとんど癇癪はクールダウンです。
けっこう重要なフォロー:
私はなるべく、癇癪最中には「モヤモヤしちゃったね」と言うようにして、
行動に移した時は「モヤモヤが1つなくなったね」と言うようにして、
癇癪が終わった時には、「全部ごちゃごちゃだとモヤモヤだけど、1つずつにして、トイレ・ごはん・〇〇って順番に終わると、スッキリするね。」と言うようにしています。
状況を説明する「声掛け」を意識しています。
そうすると、息子自身が、
・癇癪を起こしているのは、頭がぐちゃぐちゃ&モヤモヤしているからであり
・頭の中にあることの順番を決めると落ち着いてきて
・1つずつ(お母さんと一緒に)やれば、なんか大丈夫
と認識してくれるようになるからです。
途中で怒っても、目の前の事だけに注目!”今”関係ないことを引っ張りださない
もう1つ注意していることがあります。
一連の癇癪対応で、私も神や仏ではないので、怒りを堪えきれず声が荒げることもあります。
そんな時でも、絶対に、目の前の事だけを叱咤し、過去の別の出来事を引っ張り出さない。ということです。
今日怒っていることが、昨日もできなかったかもしれませんが、「昨日もできなかったでしょ!」と言わないようにしています。
言うと、癇癪がエスカレートします。
声を荒げて怒る時は、”今”を怒る時です。
ASD息子の癇癪対応まとめ
上記のような対応を続けていると、息子の癇癪はとても緩和しました。
一人で何でもできるようになって欲しいから、結果的に突き放した言い方をしていた時よりも、上記のような言い方で対応した方が、最終的にはスムーズです。
気持ちに共感して受け止め、「おいで」と手を引いて一緒に行動すると、癇癪を起こしていた子が嘘のように、私の後に付いてきます。
その時も「ここまで一緒に歩けたね。」などの声掛けを忘れずに。
いつまでも手を引いてあげないと動けないなんて!
と思うかもしれませんが、続けていると本当に”超”少しずつ進歩します。
手を引かなくても、私が「トコトコトコトコ♪トコトコトコトコ♪」と言いながら、食卓に向かって歩きだす素振りを見せるだけで、後から付いて来てくれる日も多くなりました。
毎日、私は模索しながら奮闘中ですが、息子も成長中です。