療育に通い始めて軌道に乗った頃、私の油断から「療育に行けなかった日」がありました。
母子分離不安だけでなく、ルーチンや行動パターンが崩れることが苦手なのに、そういう状況を作ってしまいました。
療育施設に行けなかった日のことを振り返ります。
3歳過ぎても母子分離不安はつづく
息子は小さい頃から私と離れる時には大泣きし、その不安がる様子はとても強くて、時には過呼吸になるほどでした。
特定の人との関係に依存的だったり過敏だったり、「お母さんと離れられない」傾向がある子供もいると理解していましたが、やはり離れる場面が増える3歳を過ぎても”困りごと”の1つでした。
発達障害や特性について調べて勉強して、これが「母子分離不安」ということが分かってからも、やはり困りました。
保育園に行くために離れる毎朝はともかく、習い事を初めても母子分離不安からくる行き渋りに苦戦しました。
成功体験が油断につながり…
この母子分離不安は、息子の療育の通い方を決める時にも大きく影響。
療育施設の送迎車が保育園に来るまでに、私との分離は完全に終えていなければなりません。
そうしないと、息子は気持ちと行動の切り替えがうまくできないのです。
それなのに、保育園と療育の併用通園することに私自身が慣れたからといって、油断を生んでしまいました。
併用通園が何回かうまくできたという成功体験が、油断に繋がってしまいました。
行動パターンの”解釈”を勝手に変えた
息子にとって療育がある日は、この行動パターン(ルール)が鉄則だと言うのに、私は(無意識に)油断して、この息子の決まり事を都合のいい解釈で変えていました。
『30分くらい遊ぶ』という行動パターンを『ちょっと遊ぶ』という、自分の都合が良い意味に勝手に読み替えてしまったのが始まりでした。
その解釈によって「療育のお迎えが来るまでに、園庭に出てちょっと遊んでいれば大丈夫だろう」という気持ちになっていました。
「時間までに母子分離しなければ!」焦って、行動を急かした…
療育施設の送迎車が来る時間を考えると、保育園に到着したのは園庭で30分も遊べない時間でした。
上述の通り、療育のお迎えが来るまでに、私との母子分離は完全に終えていなければ、息子のペースが狂います。
早く息子とバイバイして、私が保育園から去らなければ!という焦りが生まれました。
「早く、タオルかけて」
「早く、コップ置いて」
「早く、帽子かぶって」
私の何気ないセリフが、登園後のセッティング準備中だった息子の行動を急かすことになり…
時間に合わせて急かすと、逆に「違うこと」をして困らせる
時間に合わせて行動を急かしたり、息子の不安より時間を優先し始めたり。そんな雰囲気を息子は敏感に感じ取り、逆にやりたいことが進まなくなります。
やっと教室でセッティングを終えて下駄箱に向かうも、
「早く、靴履いて!」と急かした途端
不安で行動が進まないのに、時間重視で行動を急かした結果、わざと?命令には従わず、逆の「違うこと」をして困らせるのです。
息子の不安を無視して、行動を急かすことは、(もともと苦手な)気持ちと行動の切り替えを悪化させる感じ。
やばい!間に合わん!
不安が強い子に最悪手!怒鳴って不安を煽った…
「早く!車が来ちゃうよ!!」
思わず、大声で怒鳴ってしまいました。
ヤバイ、私がこんな口調で言ったら…と思うと同時に、息子は愚図りだし、癇癪。

抱っこ!抱っこして園庭に行くの!
体操教室、行かない!
お母さんが、いいの!
行動を急かし続けて煽ったことで、息子の不安も爆発。私が怒鳴ったことで、更に情緒不安にさせてしまいました。
本来なら「療育に行きたくない」という不安を軽減させるために、急かすなんてご法度。嫌なことは知っていると受け止めて安心させなきゃいけないのに!
不安が強い子の行動を急かして、言うことを聞かないと怒鳴る…再悪手です。
ここで、療育施設から迎えに来た先生が登場。園庭でバイバイどころか玄関でバッタリでした。
ルーチン乱れて、行動パターンも崩壊
こうして、ルーチンの1つ「園庭で遊ぶ」を省略したどころか、「先生と手をつないで」→「お母さんとバイバイ」→「園庭で遊ぶ」という行動パターンそのものが大きく崩壊。
息子の情緒が不安定になるのも当たり前です。
しかも、「私にとってのいつも通り」を取り戻そうとしていた私は、息子を療育の送迎車に乗せなければ…と必死で。
なんと、嫌がる息子の手を引きながら、駐車場へ向かったのです。
決断の遅れ…不安な情緒のまま療育に行かせようとした
今思えば、この日の療育通いは、ここで諦めれば良かった。笑顔で「今日はやめて、保育園で過ごそう」と言ってあげれば良かったのに。
予定を守ってほしい、支給量通りに療育を受けてほしい、「嫌なら行かなくていい」と覚えてほしくない、嫌でも行ってしまえば大丈夫…等々、親として色々な葛藤がありました。
私に手を引かれて送迎車の座席に座らせられた息子は、泣きはしない、でも嫌がっていて、私の首にしがみついて離れませんでした。
車の自動ドアを閉めようとしても、私の首にしがみついた手を離さず、私がドアに挟まれて終了。結局、私にも息子の手を強引に引き離して去ることは、出来ませんでした。
私の決断が遅れて、息子が情緒不安定なまま、「嫌な場所に無理やり行かせようとする」行為だけをダラダラと続けてしまった。(約20分!)
息子がしがみついて私の頭はボサボサ、ヘアアクセサリーは外れて下に落ち、心身クタクタでした。
ルーチン崩れて「できなかった自分」に罪悪感
「今日は、諦めましょう。他の子も待ってるし、始まっちゃうから。」
一緒に説得にあたってくれた療育施設の先生が、これ以上は待てないと宣言。この日の療育は諦めることになりました。
息子を下ろした送迎車が去る時、駐車場に落ちた私のヘアアクセサリーを踏んで引いて行き…これがまた、私の凹んだ心を現しているようでした。
療育に行けなかったことを保育園に報告し、息子はしゃがんだ先生に抱かれる感じで私とバイバイ。
今日は「体操教室」に行かず、夕方までここで過ごすんだよ。
声を掛けても、息子は私の方を見ようせずに背を向けていました。
息子は状況をよく理解していて、本人が一番「罪悪感」を感じていたのでしょう。
本人が一番引きずって気にしていた
今日ね、体操教室に行かなかったんだよ。
その日の夕方、保育園に迎えに行くと、息子が走ってきて真っ先にそう言いました。
いつもは、見て見ぬふりをしてブロック遊びを続行するか、見せたい制作物を持って走り寄ってくるかどちらかなのに、手ぶらで駆け寄って来て第一声が「体操教室に行かなかったよ」。
療育に行けなかったことを1日中ずっと、引きずって気にしていたんだなぁと感じました。
※「体操教室」…療育のこと
母子分離不安、不安が強い子が行動するために大切なこと
今日は、「お母さんとバイバイ」して園庭で遊べなくてゴメンね。いつもと違うし、体操教室に行けなかったよね、ごめんね。
と言いながら頭をなでなですると、安心したような表情をして走り去り、元の場所に戻ってブロック遊びを続行していました。
母子分離不安で、不安が強い子が行動するためには、不安を和らげることが初手で重要なのに、この時の私は、その逆で最悪手である「不安を煽る言動」をしてしまいました。
時間に追われたり約束があったり、世の中の正論に合わせて行動しようとすると難しいですが、可能な限り「息子の不安軽減ファースト」でいくしかない。
息子からの視点では「ルーチン」「行動パターン」をこなして安心感を得てもらう
そのために私は、予定を先読み・時間に余裕を持って導き、結果的に息子がその「ルーチン」「行動パターン」をこなせる環境をつくる
翌週(次回)の療育では、今回の教訓を活かして、スムーズに通所することができました。
保育園に着いたら担任の先生と手をつないで「お母さんとバイバイ」し、30分くらい園庭で遊んでいると、療育のお迎えが来て送迎車に乗る。