軽度ASD(発達障害・自閉症スペクトラム障害)の息子は、些細なケガをとても気にします。
「痛い」とか「見た目」とかじゃない。「触り心地」とか「臭い」とかです。
またしても保育園で、転んで擦り傷を作ってきました。
たかがケガ、されどケガ。治るまで、私の奮闘が続きます。
何が大変?ASD児の軽いケガ
ASDの息子が、軽いケガをすると、治るまでの対処として少し工夫が必要です。
ケガそのものを治す対処ではなく、ケガを気にする息子の心理状態のケアです。
息子には、こだわりが強く、感覚過敏の特性があります。
息子の「気にしすぎ」を刺激しないように、対応しなければならない。
「気にしすぎ」な気持ちを刺激してしまうと、余計に気にして、こだわりに発展します。
分かりやすい例が、「かさぶた」かな。
「かさぶた」の触り心地を気にして、ずっと触ってしまいます。
少しでもザラザラするのが嫌だから、すぐにむしってしまいます。
「取っちゃダメ」と言えば、余計に気になって取ってしまいます。
”自分が気にしている”という事実が、私の「ダメ」という禁止文によって強調されてしまい、「ダメだけどやっちゃった!あーやっちゃった!」と言いながらパニックに発展します。
だから、そうならないように、言い方や態度を工夫しなければならない。
息子がケガをした姿を見ると、そういう対処が1週間ほど続くのかと覚悟しなければいけないから、精神的にガックリきます。
そして今度も、息子は転んで、膝を擦りむいて帰ってきた!
「あまのじゃく対応」が効果的?本人が気にする前に、こっちが気にし過ぎの素振り
息子が擦り傷のかさぶたを触り出して、気にし始めてからでは、対処が後手に回って、やり取りが大変になります。
今や先に、息子が気にし出すより先に、私が息子のかさぶたを触って、感想を述べます。
私がわざと、あえて触るように促すと、息子は自分の患部を触った後、その感触にあまりこだわらず、「あ、ホントだ」とひとこと言う程度。
そして、しつこく何度もそれを繰り返すと、「もう分かってる」と言って、患部を触りもしない。
こうやって「あまのじゃく対応」とも言える、気にし過ぎを先手にとる方法だと、自分のかさぶたに興味を示さず、気にしないで済むことが多いです。
ひざの擦り傷は「かさぶた」を”触る”問題だけじゃなかった!
ところが今回、新たに私を悩ませたのは、触って気にしてしまう触覚ではなく、嗅覚!
息子が、臭いに敏感なのは把握済み。無香料なのに「臭い」とか言う子です。
今回の”発覚”は・・・
自宅のトイレでは、息子は大も小も座って用を足します。
この時、両足が安定するように、ステップ台に足を下せるようになっています。
という場面では、便座に座って視線を落とすと、自分の膝が目の前にある状態。
トイレで臭いと叫びながら、私を呼ぶ声がしました。
「なに!?間違っておしり触っちゃった?なに?ウンチ?」
息子はよく、臭い物が手についてしまった時に、それをクンクンと嗅がずにはいられないので、また間違って触ってしまい、臭いを嗅いでいるのかと思いました。
トイレに駆けつけると、息子は何かをクンクン嗅いでは「臭い」と言っているのですが、何が臭いか分からない。
「なに?どこ?トイレの中?」
便座に座ったまま、少しかがんで、トイレの水の中をクンクンしているように見えました。
何度か、そんなやりとりを繰り返していると、ようやく息子がどこの臭いをかいでいるか分かった!
膝のケガ。
膝の傷口の「かさぶた」になりかけた部分をクンクン嗅いでいました。
トイレに行く度に、「くっさ!」と叫んだ後、「おかーさーん」と呼びつけるようになりました。
呼ばれて出向くと、「臭いから、におい嗅いでみて。」と共有しようとします。
でも、私には”その匂い”がよく分かりませんでした。
否定せず一緒に嗅ぎつつ1週間…
着替える時も、ソファに腰かけてパンツやズボンをはくので、目に付いた膝のかさぶたの臭いをクンクン嗅ぐようになりました。
必ず「くっさ!」と言った後、「臭いかいでみて」と私に促すので、私もクンクン嗅いだ後、「分からない」と答える。
これが1週間ほど続きました。
1週間ほど経つと、息子は「あれ?臭くなくなった!」と言いました。
へ~。
治ると臭くなくなるんだ…。
私にも、傷口が膿んだ臭いとか、絆創膏に雑菌が付いた臭いとか、そういう”臭い”は分かります。
でも、息子の今回のケガは、本当に擦り傷で、かさぶたも薄く、どんなに鼻を近づけてクンクン嗅いでも、臭いは分かりませんでした。
もしも、時間の経過と共に治る傷口ではなく、いつもいる場所に漂う匂いに対して、過敏に反応したら、どうすれば良いのだろう?
特定の感覚に過敏。臭いに敏感。
そんな特性は理解しているものの、嗅覚過敏に対して考えさせられる体験でもありました。