発達障害の特徴を持ち、保育園での集団生活に問題があった息子。
持ち合わせる特徴を治すのではなく、ケア&サポートを取り入れることで、過度なストレスなく楽しく集団生活を送れるようにすることが重要である、という事を発達支援カウンセリングで学びました。
では実際に、具体的には、何をしていけば良いのだろう?
実際の改善に向けて、その方向性を探りました。
「発達に凸凹がある」ということ
保育園訪問で息子の様子を観察済みのスクールカウンセラーは、「知的な遅れはない。」と言い切ってくれました。
得意な何かはすごく出来て、誰もができる何かは出来ない。何かが上手で、何かが下手。発達に偏りがあり、発達に凸凹が目立つ子。
と教えてくれました。
「発達凸凹」という表現について、初めて知った瞬間です。
この時のカウンセリングでは、メモをとる余裕などありませんでした。帰宅してから、頭の中の記録を一気に思い出し、殴り書いたメモには、「発達に凸凹がある、という言い方をするらしい。」と書いてあります。
これ以来、私自身も「発達凸凹っ子」という表現を使うようになりました。今ではブログにも、頻繁に登場する単語です。
育てにくかった子は、「発達に凸凹がある子」なんだと分かりました。
集団生活の全てに個別サポートが必要、というわけではない
発達に凸凹があるからと言って、完全に個別指導が必要というわけではありません。
皆と一緒に集団生活を送る中で、全てのことに個別サポートが必要かと言うと、そうではありません。
特徴を加味して、必要なサポートを見極め、サポートする側が工夫していくことが大切です。
スクールカウンセラーが教えてくれました。
発達凸凹の特徴を理解して「工夫」って?
必要なサポートをする事は、発達凸凹っ子本人だけが「楽をする」という意味ではありません。
集団生活・保育園生活を考えた時に、ついつい特に親としては、「本人が快適に過ごせるように」に着目してしまいますが、重要なのは「先生も楽に負荷なく」を目指すこと。
本人も、先生も、保育園にとっても、ストレスを可能な限り減らし、みんなが気持ちよく過ごせるようにしなければならないのです。
後手後手で、サポートが必要な状態が続くことは、先生(保育園)にとっても負担が重いということ。
発達凸凹っ子の特徴を共有することで、どういう指示をすれば良いのか分かり、指示を工夫すれば、その後の行動のサポートが不要になるかもしれない、ということ。
発達凸凹っ子にも理解できる指示が出れば、他のお友達の後について、皆と一緒に行動できる可能性が高い、ということ。
そういう良い方向の、正のスパイラルを生じさせていく-。
何となく、方向性は見えてきました。
ToDo1.発達凸凹の特徴を保育園にフィードバックせよ
まず必要なのは、息子の発達凸凹の特徴について、担任の先生(保育園)に共有することです。
息子が、何を不快に思い、どんな時に気がそれて、声に集中できなくなってしまうのか。
後日、スクールカウンセラーが直接、保育園に伝えてくれることになりました。
- 先生が全体に話している時に、背景や窓の外を気にしてしまうこと
- 聴覚過敏があって、電車や風の音が聞こえると、気になって仕方がなくなってしまうこと
- 感覚過敏があって、匂いや感触が気になって、他に集中できなくなること
- こだわりが強く、切り替えが苦手で、急な指示や変更にはスムーズに対応できないこと
などを伝えてくれました。
ToDo2.発達凸凹の凹みを補うコツを保育園に伝授せよ
息子の発達凸凹の特徴が、何となく伝わったら、次に必要なのは「じゃあ、どうするか。」
先生の声は上の空で、空の雲に着目しているけど、どうすれば良いか。そのままだと、先生の指示は分からず、皆が動き出した時にキョロキョロ状態です。
→キョロキョロしている発達凸凹っ子は、「お話聞いてないからでしょ!」と、先生に叱られてしまう。
→なぜかプライドだけは一丁前にある発達凸凹っ子。
自分の腕をつかんで怒りながら皆の所まで引っ張っていく先生に対して、「痛い!こわい!何するんだ!嫌い!」の感情を抱く。
→「お母さんがいい!」「保育園行きたくない!」「先生キライ!」と始まってしまう。
→先生は、言う事を聞かない息子にイライラし、「嫌い」なんて言う息子に対して、優しく接する事なんてできるわけがない。
保育園の負のスパイラル。これを避けるために!
- 先生が話している時に、上の空だと感じたら、名前を呼ぶか肩を叩くかして、意識を先生(の声)に戻す。
- 窓の音が不安で、ソワソワしているのに気が付いたら、「風で窓が揺れているね。」等、事実/状況/理由を伝えて安心させる。
- 時計の針の位置や実際に使う物など、目に見えるもので説明したり、目印が分かるもので指示を出す。(視覚に訴える)
- 次は何をするのか、事前に教えてあげる。
など、主な対処方法について、スクールカウンセラーが直接、保育園&担任の先生に、アドバイスしてくれることになりました。
また私自身も、担任の先生に直接、「特徴」と「自宅では効果的な対処方法」をセットで伝えるようにしました。
息子がやらかしてしまった行動を背景に、ギクシャクしていた担任の先生との関係も、少しずつ良くなってきている気がします。
ToDo3.進級後(環境が変わった時)に保育園訪問!変化をモニタリングせよ
息子は、保育園の(今のクラスの)担任の先生を怖がり、必要以上に近づこうとせず、むしろ避けている姿を知っていました。
発達凸凹っ子が、ストレスと不安を抱えて集団生活の中にいる時、拠りどころになる優しい先生がいるか否かということは、明暗を分けると言っても過言ではありません。
少しでも息子が安心して保育園生活を送れるように、「先生が好き」という状態で通ってほしい。心からそう願います。
その影響で、私は「先生が変われば、もっと息子がスムーズに保育園生活ができるはず。」という思考回路になっていました。
だから、この時のカウンセリングで、「進級して先生が変わったら、息子も変わるかもしれない。4月以降に、どう変わるのか見てみたい。」と伝えました。
スクールカウンセラーは、4月以降に、もう一度、保育園訪問してくれることになりました。
- 指示の出し方が変わることで、指示を理解できるようになるかもしれない
- 指示を理解して、皆と一緒にできて、自信が付くことで「保育園も悪くない」と思い始めるかもしれない
- 保育園生活そのものを受け入れて、集団生活に慣れていけるかもしれない
そういう変化があるのか、あるいは全く変化がないのか?
4月以降の保育園訪問でカウンセラーが確認し、私自身も日々モニタリングしていくことになりました。
2018年4月。
息子は、3歳児クラス(=年少)から4歳児クラス(=年中)に進級しました。
担任の先生は、変わらなかったのがオチなのだけど・・・