発達障害・自閉症スペクトラム(軽度)の息子は、「こだわりモノ」を握って持ち歩いて行動します。
こだわり行動の1つ「玩具を握って持ち歩く」行動について、絶えない悩みの中で、今回は私にとって深刻な「小さい玩具をわざと口に入れてしまう」問題を取り上げます。
息子の強いこだわりと共に、ご紹介します。
興味やイメージを具象化した”玩具”が存在しない!発端はここから
息子は、小さい頃からテレビではなく、興味のある事をYoutubeで動画観賞するのがお気に入りです。
5歳半頃からでしょうか。
最近では、Youtubeではお馴染みの「ゲーム実況」を好んで観ています。
そして現在、ハマっているのが、スーパーマリオ。
毎日、保育園から帰ってくると、夕食の準備ができるまでの時間、Youtubeで「スーパーマリオ・オデッセイ」のゲーム実況を見ます。
気持ちの切り替えが苦手、強いこだわり満載な息子は、当然、頭の中が「スーパーマリオ」でいっぱいです。
頭の中にあるスーパーマリオの世界。
息子は、頭の中のイメージを具象化して、イメージが一致する玩具を握りしめて行動するから、スーパーマリオの世界を象徴した玩具を一生懸命、探しました。
最初は、以前マクドナルドでもらったハッピーセット・トイが役立ちました。スーパーマリオとコラボした時のシリーズで、効果音が鳴る「1UPキノコ」の玩具が、息子の”キノコ玩具コレクション”の中から見つかりました。
数日間、「1UPキノコ」を握って持ち歩き、生活を共にしました。
ところが、息子としては、マリオが一生懸命コインを集めるシーンをイメージしているらしく、「1UPキノコ」の玩具はイメージと合致しないらしい。
やはり息子のイメージを具象化したものは、「コイン」であることが分かりました。
”すごろく”ゲームに付いていた紙製のお金を見せるも、ダメ。
金色でチャリン♪チャリン♪と集めていく「コイン」をイメージしている様子。金色のコインを求めて、ないないパニックが始まり、私を困らせました。
強いこだわり、納得いく象徴物でなければ我慢できない…、とはいえ「イメージに合わせて新しい玩具を”わざわざ買う”ことは出来ないのだ」と、息子本人が十分に理解しています。
家の中にある物で、イメージに合致するモノが見つからないから、癇癪を起しているということが、私にはよく分かりました。
こ、これだ…。
そこで探し当てたのが、保育園のお友達がくれたお守りコイン。
実はこれ、その子もどこかで拾ったらしく、捨てるに捨てられず、私がお迎えに行った時に「あげるよ」と差し出されたもの。行き場がないので、息子のリュックのキーホルダーの金具部分に無理やりくくり付けていたものでした。
これを思い出すのに時間がかかりましたが・・・
このコインを見た息子は、
イメージに合致した様子で、満足気でした。
本来は”玩具”でも握って持ち歩くモノでもない、これを…
一方で、息子には、咄嗟に「ダメ!」という否定語で怒られた時のことを必要以上に記憶して、それを再現してしまう特徴があります。
今回の「玩具を握って持ち歩く」行動と複雑に絡み合うことになるのですが・・・
かつて、
- 玩具を口に入れてはいけない
- 口に物が入っている時に上を向いてはいけない
という禁止事項を教える過程で、私が「ダメ!」と声を上げてしまうことがありました。
もとい。
息子が、握りしめて行動しているのは、金色のお守りコイン。縦幅が1cmほどの小さなコインです。
本来はキーホルダーやストラップのチャーム役を担うコインであり、子供が手に握って持ち歩く行動を想定されているものではありません。
そこに、あの禁止事項を再現してしまう特徴。
もう想像つくでしょう?
恐怖です。
握りしめている小さなコインを、わざと口に入れようとしてしまうんですよ!
「握って持ち歩くアイテム」が小さいと口に入れながらパニック!
自分で「あっ、あっ、あー!!」と言いながら、小さな「こだわりモノ」を口に入れて、口を開けたまま上を向くんですよ!!
発音としては、「ヤバっ、ヤバっ、ヤバイー!!」と焦っている感じ。
私が気が付くまで、というより、私にアピールしているかのごとく、私が何か言うまでずっと、 「あっ、あっ、あー!!」 と叫びながら口を開けて、上を向いています。小さな金色のコインを口の中に入れたまま。
しかし、ここで、「ダメー!!」と叫んじゃいけないんです。
ここで、咄嗟に「ダメ!」と口走ったら、この時のシーンが再び息子の記憶に刻まれて、何度も何度も同じことを繰り返します。
このパニックに対する対処方法は、難しいです。
「小さな玩具を口に入れてパニック状態」の時の対処方法
「ダメ!」と叫びたい気持ちと一緒に唾を飲み込み、大きく深呼吸。
私自身、ぐちゃぐちゃな感情を、ため息と一緒に全て吐き出してから、超ゆっくり「だいじょうぶだよ」とまず言います。
ニコっとほほ笑むことができれば、最高。自分の気持ちにゆとりがある時は、ここでニコっとすることができます。
それ以外は、無表情。グッと色々堪えているから。頑張って無表情、という状態です。
続いて、実演。
「パクっとお口をガードすれば、大丈夫」と教えながら、唇を閉じて、頬をふくらませた顔を見せてあげます。
”笑うと負けよ、あっぷっぷ”の王道みたいな顔ですね。
小さい玩具を持った手をマネて現した、私の握りこぶしを見せて、そのグーにした手を”あっぷっぷ”顔のホッペや口に当てます。
私の握りこぶしが、私の口の中に入ってこれない場面を、息子の視覚にアピール。
すると息子は、「こう?」と言いながら、私のマネをし始めます。
息子の握りこぶしには、本当に”小さな玩具”(今は”金色のコイン”)が入っているから、コインは息子の口の中から、無事、出すことができました。
そう言って、「口に入れたくなったら、お口をガード」の方法を学びました。
もちろん、これが1回で済むわけがなく、何度も何度も繰り返し。同じことを同じ方法で、何度も何度も言って教えます。
時々、この場面を夫が目撃することがあり、「それ、何のコントなの?」と鼻で笑ってくるから、腹が立ちますね。「このアスペ夫が!」という気持ち。
なんとか緩和したい!本人も気にする「口に入れちゃう」衝動
一歩間違えば、喉に詰まって命に関わる、危険な衝動です。
「握って持ち歩く玩具」が小さいことで、口に入れる衝動に駆られてしまう大問題。私にとって、本当にシビアです。
咄嗟に大声を出して、制すこともできない。とても繊細で複雑な対応をとる必要があり、気が張り続けて疲れます。
でも、私を奮い立たせてくれるのも、息子本人なんですよ…。
息子は最近、「握って持ち歩く」アイテムが自分で決められず、私に聞きます。
それは、本当は「持ち歩きたいアイテム」が決まっているのに、「口に入っちゃうから」という理由で自ら諦めている姿でした。
一番イメージに合致して、一番持ち歩きたい玩具を諦めて却下したから、2番目に持ちたいアイテムが決まらない、という結果でした。
それが分かるまで私は、「人に聞いても、出したアイデアを却下するじゃん!」と腹を立てていました。
でも、それが判明した時は、息子本人が「口に入れちゃう」ことを気にして、「口に入れない」ように、息子なりに頑張っているんだ、と理解できました。
なんとか私が、この小さい子が頑張って葛藤しなければならない現状を緩和してあげなければ!
詳細は、次回に続きます。