息子が療育に通い始めてから、丸1年が経とうとしています。
さて皆様は、息子が「いつも何かを手に握りしめて行動する」という特徴を覚えていますでしょうか。
息子には、こだわりが強いという特徴がありますが、玩具や小物を握りしめて常に持ち歩く、という”こだわり行動”がありました。
療育の成果なのか、私がASD児のこだわり行動について勉強して対処した成果なのか、その両方の甲斐あってなのか・・・は分かりませんが、その”こだわり行動”が今ではすっかりなくなったのです!
「毎日」から「気に入った時だけ」に!こだわり行動の軽減
私は、ASD児の”こだわり行動”について、本人が飽きる・周囲に移行する(移る)という衝撃の事実を知り、実際に試しながら対処方法を少しずつ学びました。※詳細は、上記リンク記事をご参照
あれから約半年。
半年をかけて、息子の”常に何かを握って持ち歩く”という行動は、徐々に軽減。今ではすっかり見られなくなりました。
私は、息子が握って持ち歩くアイテムを「こだわりモノ」と名付け、息子本人には「今日のアイテム」という言葉を使っていました。
玄関で靴を履いている時、息子の手のひらが左右とも”空っぽ”なことに気が付くと、私は必ず「今日のアイテムは?」と聞いていました。
数か月前まで息子は、「あ!忘れた」と言って、部屋まで取りに戻っていました。
それが1~2ヶ月くらい前からでしょうか、「今日はいいや」「今日はいらない」と言って、何も持たずに家を出る日が増えました。
毎日毎日”こだわりモノ”を手に握って持ち歩いていたのに、あんなにこだわって見失えば見つかるまで一緒に探していたのに、実物が存在しなければ一緒に作り出したのに。
”こだわりモノ”を握りしめて行動する日は、毎日から時々に変わり、時々から「気に入ったモノがある時だけ」に減りました。
【軽減までの道のり】こだわり行動を理解して寄り添った半年間でやったこと
息子と全く同じ”こだわり行動”をする子はいないと思います。
でも、似たような”こだわり行動”の対処で困っているお母さんお父さんがいたら、参考になればと思い・・・
こだわりモノを持ち歩いく行動が、軽減・消失するまでの半年間で、私が心掛けた対処方法をご紹介します。
こだわる気持ちは否定しない
「ストラップのチェーンだけ外して、チャームの部分だけ握って持ちたい」
…と思っているのに、チェーンを付けたままストラップとして使用することを強要したり、ポケットにしまえと命令したり…は絶対にしませんでした。
親としては、手に持っていたら失くすことが想像できて心配だけど、手のひらで握りしめたい気持ちを尊重しました。
ストラップならチェーンを外さない方が利用できるし価値もあるし、親としてはせっかく買ったストラップのチェーンを外したくないけど、チェーンを外したいという気持ちを受け止めました。
「そんなことしない」「そんなのおかしい」という言い回しで、子供の気持ちを真っ向から否定する言葉は、絶対に使わないようにしました。
こだわるモノを大切に扱う
その日の”こだわりモノ”を宝物のように握りしめて行動することを知っているから、私も一緒に、その日に息子が握りしめているアイテムを宝物のように扱いました。
車に乗る時・降りる時、野外で何かをする時・その場を移動する時などいつでも、「アイテム持ってる?」と息子に聞いて、存在を確認しました。
失くしてないかどうか常に気にしてあげるだけでも、それを大切にしている気持ちが通い合います。
その延長で、部屋に置き忘れて外に出てしまった時でも「あ!忘れた~」というショックな気持ちも共有できて、だんだん私の方が忘れた時のショックが大きく、息子に「大丈夫だよ、家の中にあるから」と励まされるようになりました。
こだわりの理解者として妥協案を探る
こだわりに関して、親子で信頼関係が生まれると、私はこだわりの理解者という立場になりました。
何も理解していない人が「そんなの持って行くなよ」と言っても効果はありませんが、良き理解者が理由を添えて言えば納得します。
「今日は〇〇を買いに行くから、帰りはきっと新しく買ったモノが”お気に入り”になる。△△を持って出掛けると後で2つになっちゃうから、△△は置いて行った方がいいんじゃない?」
「ココ(玄関)に置いておけば、帰ってきたら目の前にあって安心だし、すぐに持てるよ。」
理解者(=私)の説明に納得すると、あんなに頑なに持ち歩いていたアイテムも、玄関先に置いて外出できるようになりました。
そう言えば、息子が”こだわりモノ”を持ち歩かなくなる少し前は、玄関先に置いて出掛けるか、私のバッグに入れたまま出掛けるか、のパターンが暫く続きました。
友達が一緒とか、手が汚れているとか、何らかの持ち歩けない状況にある時に、
「お母さんのバッグに入れておこう。この中にあるって思えば安心だし、持ちたくなったらいつでも持てるから。」
と代替え案を提案したのが最初です。
始めは妥協して従った方法でも、実際にそれでも「大丈夫だった」という実績を積むと、「持っていなくても大丈夫だった」という自信になるようです。
こだわり呪縛を解けた時は褒める
そうして時々、”こだわりモノ”を持たずに外出できた時は、「今日は何も持たないで〇〇に行けたね」と言って、頭をなでて褒めました。
「友達がいる時は、お母さんのバッグに入れたまま、手に持たないで遊べたね」と褒めました。
こだわりの呪縛を解いて行動できた時は、何ができたのか具体的に言いながら、褒めまくりました。
息子も、いざとなったら何も持たなくても大丈夫!と自覚できたようです。
こだわり消失!もう何も持ち歩かない
こうして、今では、”こだわりモノ”を握りしめて歩く姿は、全く見られなくなりました。
私:「今日のアイテムは?」
息子:「今日はいいや」
と断られるシーンが増え、次第に私も「今日のアイテムは?」と尋ねることがなくなりました。
”こだわりモノ”を自作するために、買い貯めた画用紙・のり・テープ類がたくさん残っています。一時期は、毎日何個もアイテムを作るから、すごい勢いで大量に消費したのに!
息子は現在6歳、就学目前、もうすぐ小学生です。
5歳の時にピークを迎えた、いつも何か(玩具、文具、他)を握って持ち歩く…という「こだわり行動」は、6歳で卒業しました。