CT検査の予定がある方の中には、とても緊張している方もいることでしょう。
CT検査後には、不安な診断が待ち受けている上に、慣れない検査を目前にしているのですから、無理もありません。
CT検査に至るまでの経緯は千差万別ですが、検査の手順や方法は皆ほぼ同じ!
造影剤の使用有無、事前説明の詳細度、最新機器か否か・・・などの条件によって、若干変わりますが、基本的な流れは同じです。
そこで、CT検査を何度も受けている私が、「造影剤を使用するCT検査」の手順をまとめました。
1)血液検査(クレアチニンの測定):約3か月前~
CT検査から3か月以内に、クレアチニンの数値を測定するため、血液検査を行います。
腎機能が低下していないか調べるためです。
クレアチニン数値によって、造影剤が使用できるか使用できないか、事前に一次判断されます。
実は、数年前まで、クレアチニンの数値検査は、必須ではありませんでした。
2年くらい前のCT検査のタイミングで、
「あ!そうだ、クレアチニン診ないといけないんだった。」
と主治医が思い出したように言っていました。
造影剤投与マニュアルでは、「CT検査の3か月以内に~」という記載があるようですが、実際は3か月以上前のクレアチニン数値を参考にして、判断することもありました。
造影剤を過去に何度も使用した経験があり、体質的に問題がなさそうな患者の場合(=私)は、”3か月前から”というタイミングは結構アバウト、と言えます。
造影剤の使用が初めての場合は、医師も慎重になって規定通り、CT検査前日~3か月前の間に、血液検査が実施されることでしょう。
なぜ腎機能?
私も疑問に思いました。
造影剤は、腎臓で代謝されるそうです。
2)食事制限:CT検査6時間前~
腹部のCT検査を受ける場合は、検査前6時間前から、飲食が制限されます。
水・お茶のみ、飲んで大丈夫です。
水・お茶以外は、飲食禁止です。
牛乳やクリームの入ったものは禁止です。
朝食後、6時間が経過してからCT検査を行う方は、朝食OKということになりますが、念のため、事前に医師に聞いておくと安心です。
事前に配布される資料によると、腹部の検査ではない方は、飲食の制限はありませんでした。
3)食事制限:CT検査4時間前~
造影検査を受ける場合は、検査前4時間前から、飲食が制限されます。
水・お茶のみ、OKです。
水・お茶以外は、飲食禁止です。
牛乳やクリームの入ったものは禁止です。
造影剤使用のCT検査が午前中の方は、朝食禁止の指示を受けていると思います。
朝食抜きは心身ともに辛いけど、水を飲みながら我慢です。
子供がいると、朝食を食べないことを指摘されることがあります。
余計な心配や不安を煽りたくないから、返答に困りますが、なんとかやり過ごしましょう!
4)問診・注意事項の説明
検査機関に到着。
注意事項の説明と、体調・体質について問診があります。
※CT検査の予約をした時に、事前説明される場合もあります。
身長、体重
造影剤を使用する場合、体重によって造影剤の使用量が異なるため、鯖読まず正しく申告しましょう!
アレルギーの有無
花粉症や食物アレルギーがあるからと言って、この時点で検査中止にはならないと思います。
心配な方は、隠さず、自分のアレルギーレベルと症状を打ち明けます。
妊娠の可能性
妊娠の可能性がある方は、影響やリスクを説明された上で、実施判断を委ねられることになります。
「本当に大丈夫か?」という問いに、「大丈夫です」とは答えてくれません。
授乳中ではないか
授乳中でもCT検査はできますが、検査後48時間は授乳を避けるように言われます。
5)同意書に署名
注意事項について説明を受けたら、同意書に署名します。
A4用紙1枚に、ズラズラ書いてあること全てについて、きちんと説明してくれません。
説明されていなくても、サインしなければならない事態になります。
良心的な医師・医療機関では、注意事項の1項目ずつ要約しながら説明してくれるかもしれません。
怠惰的な医師・たいていの医療機関では、ほとんど説明はありません。
「アレルギーないね?妊娠中じゃないね?はい、ここにサインして下さい。」
という感じです。
注意事項の説明の後、最後に署名することには変わりないので、不明点や腑に落ちない事は、勇気を出してその場で言いましょう!
”たいして説明してくれない。”と、事前に心構えしているだけでも、サインを求められた時の動揺具合が軽減できます。
私は「ここの説明は、しなくていいんですか?」と、突っ込んだことがあります。
説明を飛ばされた部分の多くは、「何千人に1人の割合で〇〇の合併症が発症する事例がある」的なものです。
これから受ける検査で、自分がその、何千人のうちの1人になってしまうかどうかなんて、誰も分からない。
この後、CT検査を受けるためには、署名するしかありません。
6)着替え
検査着に着替えます。
プラスチックや金属のない、Tシャツやズボン姿の場合は、着換えなくても良い場合があります。
私は、検査着に着替えた確率100%ですが、検査着の下にTシャツを着てもOK、と言われました。
検査着「1枚姿」に抵抗のある方は、タンクトップやTシャツなど、検査に差支えのない衣類があると安心です。
湿布、眼鏡、時計など、身に着けている物を外します。
首から下のCT検査であれば、眼鏡やコンタクトレンズはそのままでも大丈夫と言われますが、私は念の為いつも外しています。
何を「外すべき」なのか、忘れても大丈夫です。
検査時の格好について書かれた注意書きが、更衣室に必ず貼って(or置いて)あります。
ここでは、参考程度に認識するだけで大丈夫です。
7)点滴の準備
処置室に行って、点滴の準備をします。
造影剤は、点滴を通して注入されます。
そのため、まずは点滴で血管を確保します。
看護師さんの指示に従い、腕を差し出します。
私はいつも「右腕を出して下さい」と言われます。
血管が太い、利き腕をあえて指定されているのだと思います。
前腕の内側で、針を刺す血管を特定してもらいます。
針を刺す場所を消毒します。
「アルコールにかぶれたりしませんか?」と必ず聞かれます。
「はい」と答えたらどうなるんだろう?と毎回疑問に思いながら、「大丈夫です。」と答えます。
特定した血管に、真ん中が空洞になっている、細い針を刺します。
針の長さは3~4cmあるか?
意外と長いので、緊張しますが、あがいても仕方ないので身を委ねます。
針が取れないように、テープで止めてくれます。
点滴の中身は、まだ、ただの生理食塩水です。
生理食塩水自体は、薬でも何でもない、身体に入っても無害な透明の液体です。
でも、生理食塩水は常温で保管されているらしいから、夏場で冷房が効いた部屋に置いてあったり、冬場の常温保存だったりすると、点滴を通じて体内に入ってきた時に、スーっとヒンヤリします。
もし違和感があって心配だったら、びっくりせずに「なんかスースーします。」と言いましょう。
上記のような事情を説明してくれるので、安心できます。
8)造影剤の準備
まだ造影剤は使わないのですが、CT検査室に持って行く造影剤を準備(選択)します。
造影剤は、年齢・体重・症状・目的によって、使用量が変わるものですが、私が今回問題だったのは「体重」です。
45kgを境に、CT検査室に持っていくシリンジ (注射筒)が変わります。
45kg未満なら80mlのシリンジ、45kg以上なら100mlのシリンジです。
私が申告した体重は、その境界「45kg」だったため、ここで再び、体重計に乗るように指示されました。
結果は、45kgに満たず。去年までは、100mlのシリンジを使っていたのですが、今回初めて80mlのシリンジとなりました。
80mlの注射筒(造影剤)を握りしめた看護師さんと一緒に、処置室を出ます。
これで、準備はOKです。
待合い室や廊下で、呼ばれるまで待ちます。
9)CT検査室に入る
この時点で、ほぼ手ぶらですが、着替えた場合は、ロッカーの鍵を持っているはずです。
名前を呼ばれて、CT検査室に入ります。
ロッカーの鍵を置く場所を教えてくれます。
ここで本当に「手ぶら」になり、いよいよ検査台へ上がります。
10)検査台に上る
検査室には、細長いベッドのような検査台があります。
どちらが頭で、どちらが足なのか、教えてくれます。
靴(またはスリッパ)を脱いで、仰向けに寝ます。
下半身に、バスタオルや毛布を掛けてくれます。
11)両手をバンザイして待つ
両手をバンザイするように言われます。
待っている間、看護師さんが、造影剤をセットします。
造影剤をセットした機械から出ている管が、自分の点滴の管に繋がれます。
12)造影剤なしで撮影(2回)
まずは、造影剤なしで、2回撮影します。
検査台が動いて、宇宙船の通路のようなトンネル状の機械の中に入って行きます。
トンネルの内部は、なんかグルグル回っていますが、大丈夫です。
気になる方は目を閉じてしまいましょう。
「息を吸って・・・。止めてください。」とアナウンスが流れるので、その音声指示に従います。
息を止める時間は、約10秒です。
心の中で1,2,3,4・・・と数えている間に、だんだん検査台がトンネルから出て、元にいた場所に戻ってきます。
「楽にしてください。」と言われた時には、もうトンネルの外に出ています。
13)造影剤ありで撮影(2回)
今度は、造影剤を使って、2回撮影します。
いよいよ、造影剤を使います。
造影剤の注入
数年前までは、造影剤の注入は、看護師さんによる手動でした。
太い注射筒に入った造影剤を、ゆっくり手動で押し出して、必要量を一気に注入するイメージです。
しかし(2017年くらいからか?)、今は、機械で自動注入になりました。
処置室から持ってきた造影剤シリンジは、既に機械にセットされ、管で自分の点滴に繋がっています。
造影剤は、看護師さんが機械のスイッチを押せば、点滴を通じて体内に自動注入されます。
私は、人的リスクを恐れてしまう傾向があるので、自動式の注入方法の方が、安心できました。
身体が熱くなる
看護師さんか検査技師さんから、事前に説明があると思いますが、造影剤は身体が熱くなります。
造影剤は、前腕の血管から入ってきて、どんどん全身に回って、1~2分で全身に巡ります。
前腕から肩のあたりに到着した時に、喉のあたりが熱くなり、胸からお腹に降りてきた時には、膀胱のあたりが熱くなります。
全身がポカポカ温かくなります。
撮影(2回)
造影剤が全身に回ったら、撮影です。
造影剤なしで撮影した時と同じ手順で撮影します。
14)CT検査室を出る
検査台から降りて、CT検査室から出ます。
入室時に、入り口付近に置いたロッカーの鍵を忘れずに持ちましょう。
15)点滴を取る・止血
処理室で点滴を取ります。
※医療機関によっては、CT検査室で済ませてしまいます。
針を抜き、止血のための消毒ガーゼで、30秒くらい押さえます。
絆創膏を貼って、1分くらい押さえます。
【検査終了】CT検査を終えて
「造影検査を受けられた方へ」という、注意事項を書いた用紙が渡されます。
- 造影剤は、ごくまれに、投与開始から数時間~数日後に副作用が出てしまう場合があり、緊急時には救急病院か119番
- 検査後は水分を多く摂って、体内の造影剤を尿から排泄する
- CT検査後48時間は、授乳を避ける
等の注意事項が書かれています。
CT検査が終わったら、なるべく水分を摂って、造影剤を体外に早く出してしまいましょう。
着替えと会計を済ませて、CT検査は終了です。
お疲れ様でした!!
CT検査にかかる時間
CT検査室に呼ばれて、撮影準備から撮影終了までは、約10分です。
CT検査室に入るまでの準備や、CT検査終了後の会計待ちなど、当日の所要時間としては1時間が目安になると思います。
救急や診療の都合で、予約以外のCT検査が発生する医療機関だと、もう少し時間がかかる可能性があります。
私が、救急も外来もなく検査専門の機関でCT検査を受けた時は、到着から帰路につくまで約1時間で済みました。
CT検査にかかる費用
ずばり、3割負担で、9,770円でした。
これに加えて、結果(画像)を別の医療機関に送る場合、配送費として650円がかかりました。
クレジットカード払いができる機関と、現金払いのみの機関があります。
現金払いのみの医療機関の場合は、1万円+α(交通費+昼食代…etc)が必要です。
CT検査に向けて、少しでも不安を拭えますように。
CT検査当日は、少しでもリラックスできますように!
※癌は治る時代ですが、絶対に「早期発見」が重要です。