息子は感覚過敏(聴覚過敏)な傾向があり、幼い頃から音に敏感でした。
とはいえ、小さな些細な音に良く気が付くかと思えば、私が不快に思う音にも平然としていることがあり、息子にとって「特定の音」だけ過敏に反応している様子でした。
息子が 3歳頃、その過敏さが最も目立った特定音は、「風船」が”割れるのを想像した音”でした。
もともとは風船が大好きだった
3歳頃の息子は、風船を見ると怖がりました。
もっと小さい頃は風船が好きだったのに、どうして嫌がるようになったんだろう?
他の子と同じように、風船を追いかけたり風船で遊んだりして風船が好きだったはずなのに。
お気に入りの室内キッズパークに行くと、風船コーナーで遊ぶのが好きだったのに。
風船コーナーでは、たくさんの風船が扇風機の風によってあちこちに舞っていて、それを追いかけて捕まえたり、結んだ口をつまんで振り回したりして一緒に楽しんでいました。
それなのに気が付けば、息子は風船を嫌がり、とても怖がるようになっていました。
風船恐怖症!?割れる前から耳を塞いで怖がる
風船が割れる音にびっくりしたり、驚いて泣いたりする子供は珍しくないし、大人でも突然割れれば驚く風船。「風船恐怖症」という言葉も聞いたことがあります。
だけど、まだ割れていない風船、割れないかもしれない風船を見て、なぜあんなに嫌がるんだろう?
3歳頃の息子は、風船を見かけただけで、耳を塞いで怖がっていました。
「風船が割れる音」というよりは、風船そのものを怖がっているように見えたので、風船恐怖症なのかもしれないと考えることもありました。
なぜ!?「風船ガム」さえ嫌がり怖がり耳を塞ぐ
風船ガムのCM映像を見ていた時、息子が突然パニックになりました。
「消して!消して!消して!見ない!見ない!」
と叫んで嫌がり、耳を塞いで怖がりました。
その風船ガムのCM映像に、風船ガムが割れるシーンはないのですが、後からゆっくり理由を聞くと「風船ガムが膨らんでパンっと割れると思ったから」と言っていました。
この時、息子が「風船が怖い」と思う気持ちには、かなり想像力が働いているんだなと分かりました。
風船が膨らむ前から「割れる音」を想像している
息子には感覚過敏・聴覚過敏の傾向があって、些細な音を気にする敏感な子です。
いわゆる発達障害・ASD(自閉症スペクトラム)の特性もあると、興味やこだわりを持った「特定の音」や気になる嫌いな音にだけ過敏になる事例もあります。
もしかすると息子にとって「風船の割れる音」は特定の音の類だったのかもしれませんが、実際にまだ音が聞こえていない、「割れていない風船」を極端に怖がるのは不思議でした。
そして、息子は実際の「割れる音」に反応しているのではなく、「風船ガム」が割れそうな場面で怖がっていたように、風船が膨らむ前から「割れる音」を想像して怖がっているようだ…と分かってきました。
実際の「風船が割れる音」に耳を塞いでいるワケじゃない
実際に発生した「大きな音」ではなく、鳴るかもしれない音。
「大きな音が鳴るかもしれない」と想像することで、聴覚過敏を助長している感じでした。
息子が普段、風船を見て怖がっている時は、実際の割れた音に対して耳を塞いでいる訳ではなく、風船が割れた時に備えている感じでした。
風船が割れた時のショックがトラウマに!?
でもなぜ、まだ割れていない風船に近づけないほど、怖くなってしまったのだろう?
もしも割れたら音が怖いからとはいえ、風船が大好きだったはずなのに、こんなに極端に苦手になったのはなぜだろう?
風船への想いが極端に変わったことが、ずっと不思議でした。
大好きだった風船への息子の態度が、変わりだした時のことを一生懸命考えました。
すると…。息子の「目の前で風船が割れる事件」が2回立て続けにあったことを思い出しました。
風船が割れたその時は、息子が泣いたり嫌がったりする様子がなかったので、私としても印象深い出来事ではなく、風船が割れちゃったことを忘れていました。
改めて考えて見ると、泣いたり喚いたりしなくても、風船が割れちゃった後に呆然と立ち尽くしていた息子にとって、かなり精神的にショックだったのかも。
風船が目の前で割れたことが、息子にとってトラウマになったのかもしれません。
【原因1】大好きな場所でいつもの風船が目の前で割れた
風船が目の前で割れたショック。
1回目は、室内キッズパークに来て、息子のお気に入りの遊び場だったエリア「風船コーナー」で遊んで時のことでした。
フェンスで囲まれたエリア内に、扇風機の風がボーボー拭いていて、この風に煽られたたくさんの風船が舞っています。風船を捕まえたり掴んで弾いたりして遊んでいました。
ある日、いつものように遊んでいたら突然、風船が1つ割れました。
息子は泣きもせず、ただ黙って立っていました。
「割れちゃったね」と声を掛けても、息子は黙って何も言わないので、それ以降はあまり気にしなかったのですが、今思えばこの時から、この風船エリアで遊ばなくなりました。
息子は不安が強い子で、自宅以外に慣れて安心できる場所なんて少ないのに、寄りによってお気に入りの安心していた場所で起きてしまいました。
【原因2】大事なヨーヨーが一瞬で消えた(割れた)
2回目は、保育園の夏祭りのヨーヨー釣りで、水風船(以下「ヨーヨー」)をゲットした時でした。
息子は嬉しくて嬉しくて、ヨーヨーを振り回していたのですが、ヨーヨーが地面にかすった瞬間に突然、割れて水が飛び散りました。
突然、ヨーヨーが自分の視界から消えたので、空中を探すような仕草をして、何が起こったのか一瞬理解していない感じでした。
息子は、呆気に取られて唖然とした顔。
「割れちゃったね。大丈夫だった?」と言う私の声を聞くと、ヨーヨーが割れた事実が分かった様子で、引きつった顔をしていました。
泣きもせず、ただ「なんで割れちゃったの?」「なんで割れちゃったの?」と、小さな声で質問を繰り返すだけでした。
今思えば、泣いたり喚いたりしなくても、相当ショックだったんだと思います。
やっとゲットできて嬉しくて、家に持ち帰ってお風呂に浮かべようとか考えていた矢先に、自分が振り回したせいで割れてしまった、というショックが大きかったんだと思います。
風船を「割れるからいらない」と避けるようになった
2回の「風船が目の前で割れちゃった」出来事以来、あんなに好きで欲しがっていた風船に近づかなくなりました。
息子が街で風船がもらえる場面に遭遇しても、「いらない。割れちゃうから」と言って断るようになりました。
誰かが、風船を膨らませている場面を見ると、「もうやめな!割れちゃうよ!」と遠くから警告していました。
音の大きさだけじゃない!受けた精神的ショックが影響
苦手になる特定の音(ここでは風船が割れる音)は、その音の大きさだけじゃなく、その時の精神的なショックが影響するんだと思いました。
聞こえた音だけじゃなく、その時に受けたショックな気持ちが、その後の苦手感や恐怖感に大きく影響するんだと思いました。
息子の場合は、
・(不安が強い子にとって)数少ない慣れて安心できるはずの場所・お気に入りの場所で、いつも遊んで好きだった風船が目の前で割れた
・やっとゲットして家でも遊ぼうと思っていたのに、自分の不注意で呆気なく割れた
という大きな精神的なショックが重なりました。
それ以来、風船がパンっと割れる音がとても苦手になり、割れるかもしれないという理由で、風船自体から遠ざかるようになりました。
「割れない風船」を経験して、不安や恐怖感は軽減(改善)する
4歳で訪れたディズニーランドで憧れの風船を見た時は、最初は欲しい気持ちと警戒心で葛藤していました。
「あの風船は割れない?」「あれは割れない風船だよ」「本当に割れない?」「ディズニーランドの風船はとても丈夫だよ」と繰り返しやり取りした後、やっと購入しました。
風船ガムのCM映像で風船ガムを怖がっていた息子ですが、私が実際に風船ガムを買って膨らませて、息子にプニプニ触ってもらい、風船ガムへの恐怖心はだいぶ克服しました。
風船職人が作ったバルーンアートをもらえるイベントでも最初は断っていた息子ですが、私が代わりにもらって持ち歩き、割れないアピールをしていると、息子も「持ってみる」という気持ちになり、最後は自分で持ち歩いていました。
このように、4歳になると「怖い」より「欲しい」気持ちや興味が勝った時にうまく誘導して、実際に「割れない風船」を何度か経験したことで、風船への苦手意識が軽減(改善)しました。
聴覚過敏で特定の音「風船の割れる音」が怖い…理由/原因まとめ
息子の「風船を怖がる」「割れる前から耳を塞ぐほど嫌がる」という風船恐怖症のような行動を通して、聴覚過敏に関して色々考えさせられました。
「音に敏感」と言っても、全ての音に対して同じように反応しているわけでもない。
「特定の音」だけに敏感だけど、実際の音に反応しているわけでもない。
むしろ、実際の音より、鳴りそう・聞こえるかもしれない・大きな音がするかもしれない…と想像している時の方が怖がっている。
苦手な「特定の音」が、大きな音・突発音などパターン化しているわけではなく、精神的なショックも同時に受けた場面で「驚いた時の音」が嫌いになっている。
元々の感覚過敏症がなければ、その音に驚いてその場でおしまい、泣いておしまい、となるのかもしれない。
そういう意味では、苦手で嫌いな「特定の音」は、そもそも聴覚過敏の傾向がある上で、トラウマ的な体験が過敏さを助長(悪化)させちゃったものかも。
などなど…。
持って生まれた敏感さや繊細さはあると思うけど、感覚過敏(聴覚過敏)を考える時に、大きく影響している精神面のケアも大切だと学んだ気がします。
聴覚過敏の傾向がり、特定の音が苦手な子。次に私を悩ませたのは「ドアの音」です。
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