息子は感覚過敏、特に聴覚過敏の傾向があり、大きな音や突発音が苦手。空気の振動にも敏感に反応します。
そして初めての場所には、強い警戒心を示します。
そんなASD特性がある息子が、初めての飛行機に挑戦!
空港から機内までの息子の様子と共に、私の奮闘記(工夫・対策・教訓)をまとめました。
「初めての飛行機」に向けて
不安が強く、警戒心も強く、聴覚過敏もある息子が、初めて飛行機に乗ることになりました。
・耳を塞いで立ち止まる
・先行きが不安で警戒し、目先のことに注力してわざと次に行こうとしない
・不自然にテンションが高まり、時間に合わせた行動が難しい
等々、どんなことになるのか容易に想像できました。
不安が強い子に「飛行機の練習」は役立つ
そこで、「先行きが分からず想像できないゆえの不安」を可能な限り取り除きました。
JALの「スカイちゃれんじ」で予習
子供の特性や不安レベルに合わせて、自宅や航空博物館で練習するのはお勧めですが、JALの「スカイちゃれんじ」で予習もできます。
写真や絵による視覚的なイメージが、不安・警戒心を軽減させることに繋がりました。
「スーツケースを手放す」不安と警戒心…
事前に「飛行機に乗る練習」をしてきたとは言え、当日は「初めて」だらけでした。
羽田空港に到着してから最初の(不安と警戒心の)関門は、手荷物カウンター。ここで大きなスーツケースを預ける時、「手荷物を手放す」ことがとても不安なようでした。
スーツケースは「先に飛行機に乗ってもらう」
自宅を出発してからずっと一緒に行動してきたスーツケースが、自分と引き渡され、ベルトコンベアーに乗ってどこかに行ってしまう!?

そんな雰囲気もあり、息子はスーツケースを手放すことに不安を感じたので、「同じ飛行機に乗るから大丈夫」と説明しました。
「行き先タグ」を自分で付ける(配慮)
事情を察した(神のような)JALの係の人が、スーツケースの取っ手に「行き先タグ」を付ける時、息子にも手を添えて一緒に付けるような雰囲気にしてくれました。
息子は「このシールを付けたからもう安心」と思ったのか、急に表情が和らぎ、次へ行こうと動き出しました。
機転の利いたちょっとした配慮で不安を解消し、気持ちと行動を切り替えることができました。
JALの人ありがとうございました…
「水筒の蓋をあける」保安検査に超警戒…
1人でゲートをくぐる保安検査場は、空港科学博物館でも自宅でも、何度も練習しました。練習しないワケがない。
それなのに、対策不足だったのが…水筒検査!
JALの「スカイちゃれんじ」に水筒検査は載っている

JALの「スカイちゃれんじ」は利用していたのに、水筒検査の事前説明を忘れていました。
そしていざ手荷物検査で、検査員が前方グループの水筒をあけて臭いを嗅いでいる姿を見て、「水筒!」と思い出しました。
「毒じゃない、水だよ」とドヤ顔をさせる
案の定、水筒の中身をクンクンしている検査員に気が付き、息子は怪訝な面持ち。
僕の水筒も勝手に開けられるのではないか…?という不安気な顔をしています。

そこで、私は息子の水筒を振りながら、「水筒検査」の存在を息子に伝えました。

水筒の中身が「毒」ではないか臭いでチェックされると知り、息子は「毒なわけないでしょ、水に決まってるでしょ」と呟いていましたが、水筒に気を取られているうちに無事にゲートを通過しました!
「水筒は水だから大丈夫」の自信で保安検査通過

後からゲートを通過した私が息子に追いつくと、息子が検査員に向かって「お水だよー!」と言っていたので少しウケた。
息子なりに「水筒検査」を乗り越え、1人でゲートも通過し、得意気な感じでした。
飛行機に乗り込むまではスムーズ
こうして無事に、保安検査を終えて出発ロビーにやって来ました。
飛行機に乗り込むまでは、意外とスムーズでした。
というか、息子は飛行機に乗るのが初めてだったので、どこからが機内なのか分かっていなかったかも?
ボーディングブリッジ(旅客搭乗橋)と飛行機の境目部分で立ち止まり、「ここから飛行機だよ」と教えてあげました。
離陸までが長い!何してる?なぜ飛ばない?不安だらけ
自分の座席番号を張り切って探し、席に座ったところまでは良かったのですが…
長い!離陸までが長過ぎた!
発達障害/ASD/不安症とか云々関係なく、なかなか出発しない飛行機の中で、園児(当時5歳)をこれ以上静かに待たせることは無理では!?
と思うくらい長い時間、機内で待機しました。どうやら、急病のお客様がいたようです。
息子は「なんで飛ばないの?」「なんで動かないの?」「今の音、何?」と質問攻めで、理由が分からないと不安な様子でした。
フライト準備の様子を実況中継
これ以上、息子の「なぜなぜ」が溜まれば、愚図って癇癪になりかねない。息子の不安を軽減させるため、私はひたすら実況中継しました。

窓からコンテナドーリー(荷物を詰め込んだコンテナを乗せて繋がっているやつ)を牽引する車を指差して、息子に教えてあげました。
始めはコンテナを乗せていたけど、今は飛行機に乗せ終わり、空っぽになりました、もうすぐ出発の準備が整います…etc、実況中継。
ドア音、エンジン音、モーター音…聞こえてくる音の正体を説明
また機内待機中は、足元、床下で「バタンッ」「グオォォ」と音がするたびに、何の音か敏感に反応して気にしていました。


ドア音、エンジン音、モーター音など、想像もあるけど可能な限り、音の正体について説明しました。
フライト前の「非常時の案内」内容に警戒
やっと飛行機が動き出すという時、「非常時の案内」が始まりました。
暇だったところにモニターに映し出されたため、視覚優位な息子は前方モニターに釘付けです。
そこで説明される「非常時の行動」について、質問攻撃が始まりました。
「なんで、マスクするの?」
「なんで、飛行機にすべり台があるの?」
「なんで、リュックが”ブッブー”(←『×』が表示された時の音)なの?」
:
緊急時の対応内容を説明
マスクをする意味、緊急脱出時にすべり台を使うこと、荷物は持たずに脱出すること…
等々、説明しましたが、その場で子供が分かるように一気に説明するのは大変なので、事前に説明しておけば良かったです。
当日に「非常時の案内」を聞いて、「あ!これ知ってる」という状況に持ってくる方がスムーズでした。

滑走路までのノロノロ運転に不安
まもなく離陸とはいえ、「滑走路までゆっくり走っている時間」が長い!
右折しては走り、右折しては走り、のような感じで、いつまでも滑走路で助走が始まりませんでした。

私は最初、「滑走路を探せ!」と題して、ノロノロ運転を繰り返す飛行機の動きに合わせて実況中継していたのですが、だんだん息子も飽きて来て、早く誰もいない滑走路を探して走り出せ!と言わんばかりのイライラした様子でした。
もう、このネタでは実況も持たない・・・と言う時、
ゴォオォォォォォ
すごい加速。
無事に離陸しました!
息子は、目を丸くして、飛んだ感覚を体で感じていました。
過敏に反応「シートベルト脱着のサイン音」に耳をふさぐ
聴覚過敏が心配だった息子ですが、予想に反して、飛行中の「ゴォー」という音は大丈夫でした。むしろ全く気に留めていない様子でした。
一方で、全く心配していなかった音に、過敏に反応していました。
それが、シートベルトの脱着タイミングを示す「サイン音」。
飛行機の中で、唯一息子が耳をふさいでしまう音が、シートベルトのサイン音でした。
※「シートベルト着用のサインが消えました」という音声案内が入る前に鳴る「…ポン♪」という放送音。シートベルト着用のランプが付く時にも鳴る「ポン♪」というあの音です。
「シートベルト着用ランプ」に注目
息子の場合は、特に「突発音」が苦手なので、突然&大きく&短く聞こえる、シートベルト着用サイン音がダメだったんだと思います。
息子は視覚優位な特性面もあるので、「シートベルト着用ランプ」に着目し…
突然音だけが鳴るのではなく、ランプも連動しているから、目でも分かると教えました。
音とランプの連動、音の意味を説明
・あのランプが付いた時に、音も鳴る。
・ランプは「シートベルトを付ける」合図。だから安心して良い音。
・突然鳴るから、びっくりするだけ
・みんなに聞こえるように鳴らす音。
・むしろ安全のための音。
など、音とランプが連動する仕組みや、どうしてこの音が鳴るのか説明することで、
ランプが付く(消える) = 音が鳴る = 大丈夫
と認識してもらいました。
座席は窓側が正解!
空の旅では、座席を”窓側”にして正解でした。
息子は、ずっと窓から見える「海」や「雲」を観察して、感想を述べては、質問攻めという感じでした。
時折、飛行機の羽の一部が動くので、その動きをじっと見ている様子でした。
機内では、窓から見える「自然」が時間潰しになりました。
JALオリジナルグッズで工作

搭乗したのはJAL。
子供は、オリジナルグッズが1つもらえます。
プラスチックコップ、工作セット等があったかな?
息子は、飛行機の組み立て模型を選びました。
→遊べるグッズを選ぶことで、少し時間が潰せます。
初めてのフライトを終えて
飛行機に乗ってから、長いフライト時間に備えて準備をしていても、
・飛行機に乗ってから離陸までが長い
・”非常時の案内”にこだわる
という所まで、考えていませんでした。
途中で、赤ちゃんが泣く声も聞こえましたが、息子にとっては大丈夫でした。
不快に感じる特定の音や、何を不安に思うかなど、人によってそれぞれ違うから難しいですね。
あんなに色々想定して練習した飛行機ですが、盲点だったことが沢山ありました。
実際にフライトを経験したことで、息子が何を気にするのか更に理解できました。