自閉症スペクトラム傾向の子を医療機関に連れて行く工夫とは?不安を和らげる説明と練習

息子は、赤ちゃんの時から病院の常連さんです。

アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、小児喘息、停留睾丸…。4歳時点で既に4回の入院経験、5歳になった現在も通院は日常茶飯事です。

さらに息子は、初めてのことが極度に苦手、不安に陥るとプチパニック、母親と離れることを異常に恐れる母子分離不安、気持ちと行動の切り替えが苦手な子です。

そんな息子が、医療機関に行く時どうしているのか、病院でどうやって待つのか?どうやって診察を受けるのか?

…それが、普段よりとっても良い子なのです。

病院で「いい子」にするために、私が工夫していることをご紹介します。

病院に行く理由を「何日も前から」説明

「こだわりの強い子」だから、おしまいには細胞レベルで説明することになりますが、病院に行く理由を何日も前から説明します。

注射や歯医者は数週間前から、継続薬や毎月の通院は数日前から、かな。

熱や風邪は突発的なので当日になってから、「先生のところへ行こうか。」と説明するしかありませんが、事前予約した受診であれば、「何日も前から」説明することが鉄則です。

こだわり強い子には、細胞や免疫レベルで説明!

この時期は、インフルエンザ予防接種の真っ盛り。

体に侵入するウイルスに打ち勝つため、細胞を強くするのだ!・・・という内容を説明するのに、多大な時間がかかりました。

ウイルスって何?
体に入ったらどうなるの?
負けたらどうする?
どういう形?
見たことある?
ウイルスとバイキンマンどっちが強い?

あらゆる質問に答えます。

ようやく…

ゆきまる
注射、痛い?

注射の話ができました。

これから何のために何をするか、分からないと不安になって落ち着かず、癇癪や泣きわめきに繋がってしまいます。

何のために何をするのか子供なりにしっかり理解すると、不安が劇的に減らせて落ち着きます。

当日の嫌なこと(注射の場合は「痛い」こと)だけを我慢すれば、良い状態にします。

先生と会う「利点」を事前説明!

自分が嫌なことを一方的に先生がやるのではなく、先生は良いことをしてくれるのだと念入りに説明します。

  • お腹と背中をポンポンして、悪い音がしないか聞いてくれる
  • お口を大きく開けたら、喉が赤いか見てくれる
  • 咳が治るお薬をくれる
  • お母さんのお話を聞いてくれる
  • アレルギーでかゆくならないか見守ってくれる

自分やお母さんのために何かをしてくれるんだ、というニュアンスを植え付けます。

先生役vs患者役でイメージ固め!診察シミュレーション

説明だけでは不十分!?
そんな時は、診察シミュレーションを行います。

実はこれが一番効いているのかもしれません。

ディズニーチャンネルの人気アニメ番組「ドックはおもちゃドクター」をご存知ですか?

この挿入歌が頭から離れない私は、いつも「診察しよう♪診察しよう♪」と口ずさんでいます。

元アトピー性皮膚炎、今でも乾燥肌の息子に、塗り薬を塗ろうと近づく時も、「診察しよう♪診察しよう♪どこか、かゆい所、ないかな~♪」と歌いながら近づいています。

病院の予約日が迫ってきたタイミングで、「診察しよう♪診察しよう♪ゆきまる君に悪いとこないかな~♪」と始めます。

現実の受診に向けて、診察シミュレーションをする(暗黙の)合図です。

うちには聴診器があります。
本来は、喘息の具合を知るために買ったものですが、診察シミュレーションの時に活躍しています。

まずは、聴診器を持った人が先生役。
「はい、ポンポンするよ~。お腹見せて~。次は背中~。くすぐったいからねー、我慢してねー。」

という決まり文句を言います。

最初にこれを私がやって見せた時、息子はツボにはまったらしい。

それ以来、自分から進んで先生役です。

患者役をやらせて練習した後、先生役もやらせておくと、当日は実にスムーズです。

当日、(本物の)先生に、聴診器をお腹に当てられている段階で、「次は背中だよ~。くすぐったいからね~。」と息子(=患者)自ら発言することがあります。

因みに、診察シミュレーションで、息子が歯医者の先生役をやった時は、面白かったですよ~。

やられることをイメージしておく、遊びながらのシミュレーション。

この無意識的なイメージトレーニングが、効果を発揮していると感じます。

何万円もする高価な本格的な聴診器ではなく、1000円台で買える聴診器もたくさん売っています。

待ち時間もゲーム感覚で!病院ならではのスポットを楽しむ

当日は私自身がカリカリせず、穏やかにいることを意識します。

私がイライラしたり、難しい表情をしていると、敏感な子はすぐに察してしまい、息子自身が不安になるからです。

並ぶ時も、ゲーム感覚。

受付で並ぶ時・会計機の前・トイレの入り口など、床に書いてある足型のマークを見つけたらチャンス。

「ここに並んで下さい。」を現す足型がある所に並ぶ時は、ぴったり足型を合わせることができるか挑戦します。

手元の受付番号(or 会計番号)が表示された用紙は、息子に渡して番号を覚えてもらいます。さあ、暗記できるかな?

同じ番号がモニターに表示された時、すぐに気が付けたら勝ち。

「同じ番号が出たら、すぐに教えてね。」と言ったら、ゲーム開始です。


キッズスペースの利用ルールを「最初に」約束

名前が呼ばれたら、すぐにオモチャを置いて靴を履き、先生のところへ行くことを最初に念押しします。

私の両手掌で息子のホッペを挟んで、息子が「はい!」と言うまで、ホッペを離さない。

「終わり」と言ったら終わりにできる約束ができたら、キッズスペースの利用を許します。

「いっぱい遊んでいいよ」「あ!あのオモチャ、楽しそう」と、プラスの言葉を投げかけて、ウキウキした気持ちでキッズスペースに足を踏み入れさせます。

時間を忘れそうな雰囲気作りができれば、もしもすぐに呼ばれず、長い待ち時間になった時でも、結構、暫く遊んでいられます。

­名前が呼ばれたら、「オモチャにバイバイできるかな?」と、最初の約束を思い出させます。

ワンテンポ置いてから、「バイバーイ」と言って、おしまいにし、靴を履きだせるパターンが多いです。

できない時は、私の両手掌で息子のホッペを挟み込んで、顔を近づけ、最初に約束した時のことを思い出させます。

「終わりって言ったら、終わりじゃなかった?」と低い声で言います。


自分にもマインドコントロール!「絶対に怒鳴らない」と決める。

自分自身に「絶対に怒らない。」と暗示をかけます。

何も考えていないと、すぐイライラして「コラ!」っと起こる羽目になります。

だから、自分自身にもマインドコントロールが必要です。

「絶対に怒らない。病院が終わるまでは!」と自分に言い聞かせます。

もちろん、明らかなマナー違反や他人様に迷惑をかける行為については、きちんと怒ります。

誰もいないベンチに寝そべったり、誰もいないキッズスペースでキッズチェアに立ったり…、誰にも迷惑をかけていない時は、怒らずに優しめに注意します。

診察が終わるまで、息子自身が一番、不安で不安定な気持ちを抱えています。

自閉症スペクトラム傾向の子は、怒られことで不安が助長されたり、理解されないことにパニックを起こしたりします。

「大好きなお母さん」が怒ると、それだけで不安倍増、気持ちは乱れて、癇癪化します。

そしてもう怒っていないのに、「なんで起こるの?」「怒らないで、ねえ、怒らないで!」と足に抱き着き、纏わりつき、どうしようもなくなります。

だから、「怒鳴らない」ことを意識して、余計な”怒り”が沸きあがらないように、自分に言い聞かせておきます。

発達障害の特徴がある子を病院に連れて行く工夫まとめ

「怒らない育児」については、怒らないことで他人様に迷惑をかけた事例ばかりが取り上げられ、解釈に誤解がとても多いのですが、ASD傾向の子には「怒らない育児」が本当に役立ちます。

息子のようなタイプは、怒鳴ることでパニックや癇癪を起し、その後に語る正論を全く耳に入れることができません。だから「怒らない育児」が有効なのです。

発達障害の特徴がある子を病院に連れて行く時のコツ、≒私がやっている工夫を整理すると、

  • 病院では、無駄に怒らない
  • 病院に行く理由を事前に説明する
  • 先生がやることや薬は、自分にとって”良い事”だと教える
  • ごっこ遊びを兼ねた「診察シミュレーション」で診察の練習をする
  • 病院で過ごす時間を楽しむ

という感じです。

私にとって、残る課題もあります。

それは、アレルギー経口負荷試験の日帰り入院です。

こればっかりは、上記の工夫と対策により病院に行くまでができても、アレルギーを警戒する本人が、「あえてアレルゲンを口に入れる」ことを断固拒否します。

事前説明と言い聞かせが成功しても、最初の1回しか口に入れることができない。「食べる検査」と言われる負荷試験は、1回だけではなく時間差で何度も食べなければならないのです。

普段は「食べてはいけない」と教えられているアレルゲン。検査の時だけ食べる挑戦。これができる何か工夫。これからも考え続けなければなりません。


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