自閉症スペクトラム傾向・発達凸凹の息子には、変なクセがあります。
見れば分かるのですが、言葉で表すと難しい…。簡単に言うと「両手で感触を確かめている行動」です。なかなか来ないから振り返ると、いつも何かの感触を確かめています。
両手の「ひら」と「甲」で交互に触る
感触の確かめ方が、実にユニーク。指先や手のひらでサワサワと触って確かめるわけではなく、自分の「手のひら」と「手の甲」を代わりばんこにひっくり返しながら、何度も何度もタッチしている感じです。両手同時に。
視線は、触っているものではなく、どこか違う所を見ています。何かをじ~っと考えている時に、どこを見ているわけじゃないけど視線は正面にある時に似ているかな?
だから、私から見た印象としては、触っているモノそのものが気になっているのではなく、意識は別のところにありそうです。
触って確かめるのは地面や壁が多い
「触っているモノ自体が気になっているわけではない」と感じるのは、その時の息子の視線だけではなく、触っている物からも分かります。
両手を同時に、手のひらと手の甲をひっくり返しながらペタペタ触っているモノの多くは、固定された平面で、息子にとっては物珍しくない場所&面です。
一番よく「確かめて触っている」のは、床・地面・壁・テレビの画面です。
「触って確かめている」場所とシチュエーション、ベスト3は、
【第1位】 どこかに出掛ける時、出発してばっかりの場所の床(マンションの廊下・駐車場の地面・マンションを出た道路の地面)
【第2位】保育園に迎えに行って帰る時、保育園の階段の床
【第3位】「触るな!」と夫に強く叱られた自宅のテレビの画面
です。
そういえば、この癖が酷くてピークだった頃は、「自宅の廊下」「自宅の床」を いつもペタペタ触っていました。最近、自宅の床は、まったく触らなくなりました。
息子にとって今は安心できる一番の場所である自宅ではやらなくなり、その自宅からどこかへ出かける時にやること、夫に怒られたテレビ画面に固執していることを考えると、このクセには不安要素が影響している気がします。
ADHD(注意欠陥・多動症)の特徴に当てはまる
この変なクセが出始めてから、ずっと見守り続けながら、原因や心理状態を探っています。
残念ながら、まだ答えや結論に行き着きませんが、専門的に言うならきっと、ADHD(注意欠陥・多動症)の類に当てはまるのだと思います。
もともと「行動の切り替えは極度に苦手」で、ADHDの『不注意の症状』である「好きな事や興味ある事に集中しすぎてしまい、切り替えが難しい」「音に敏感に反応する」「刺激にすぐ反応して注意が長続きしない」などに当てはまります。
もう1つ、ADHDの『衝動性の症状』から見ると「自分の感情や行動を抑えるのが苦手」という主な特徴に当てはまります。
『多動性の症状』から見ると「無意識に体が動く・それを抑えられない」という特徴があるのですが、これが少し引っ掛かりました。無意識に体を揺らすような目立った行動はしませんが、「抑えられずに行動に出てしまっている」部分は、このクセに一致するのかも…。
これらの特徴を念頭に、息子の「確かめずにはいられない」タッチ行動を思うと、何らかの意識や想いが抑えられずに、行動に出てしまっている結果なのか?落ち着かない気持ちの現れなのか?と、今のところ解釈しています。
怒っちゃダメ!現実世界に呼び戻す
「触っているモノ自体が気になっているわけではない」 ことは分かっているけど、ひたすら何かを触って確かめています。
そんな時、息子の刺激にならないように声をかける言い方があります。こっちに来るように促すために、現実世界に呼び戻すために、あえて言っているセリフです。
コンクリートの地面に、素手(手のひらと手の甲)をペタペタ直接付けて、衛生的にも良くないし、いつまでも触っている光景はちょっと異様です。
でも絶対に、怒っちゃダメ!!
「早くしなさい!」「何やっているの!」「汚いから止めなさい!」は絶対禁句!!
誰に教わったわけではないけど直感的に、『早く・汚い・止めなさい』は絶対言ってはいけないのです。
暫く見守って、なかなか止めない時は、「気になっちゃうけど、おいで。」と優しく言います。
すると息子は、「気にしちゃったの」と言います。自分でも、その行為の自覚はあるようです。
本当は「気にしちゃった」わけではなくて、無意識にひたすらやってたのだと思いますが、「気にしちゃったの。」と我に返った後は、謎のタッチ行動を止めて、私の方に来ます。
プチパニックの手前「プチ葛藤」の現れ?焦ると”クセ”が始まる
少し分かったような気がしたのは、レゴブロックを一緒にやっている時です。
幼児には少し難しい、説明書を見ながら組み立てるセット物のタイプのブロックで遊んでいる時。
説明書1ページずつ進みながら、私が部品の集め役、息子が組み立て役をやるのが定番です。
・息子が部品集め役をやり、探しているブロックが、なかなか見つからない時
・夕食の準備のため「早く見つけて完成させたい」気持ちで私が焦り、息子を急かした時
つまり、息子が焦り出した時。
途中まで組み立てて片手に持っているブロックに対して、 あの「触って確かめずにはいられない」謎のタッチ行動を、 片手でやっているではありませんか!
小さなブロックの塊に、手のひらを擦り付け、手の甲を擦り付け、手のひらを擦り付け、手の甲を擦り付け、繰り返し。
片手に持っているブロックの塊の感触自体が、気になるワケじゃない。精神的な焦りが影響していると、気が付きました。
精神的な安定・不安定が大きく影響
この「確かめずにはいられない」謎のタッチ行動癖には、ピークがありました。ピーク時には、自宅の床をペタペタ触って確かめていたのは、上述の通りです。
自閉症スペクトラムの子供と向き合うにあたり、「悪いことをしていない時は、怒らない・叱らない」という姿勢に本腰入れて、約半年。
その効果が、息子の精神的な安定に繋がっていると実感しています。この「確かめずにはいられない」クセの出方が軽減したのも、その実感の1つです。
多動性の症状の1つかもしれないし、何もしなくても症状は軽減するのかもしれない。今、私なりに確証できたのは、精神的なものが影響しているということ。
だから、少しでも息子が安心して、精神的に安定した毎日を過ごせるように、丁寧に向き合っていくだけです。