ASD息子は、「朝起きる」ことが苦手です。
それもそのはずで、そもそも行動と気持ちの切り換えが苦手なので、「寝る→起きる」の切り替えがスムーズにできるワケがないのです。
そんな息子にとって、「早起き」は難関。今回は、就学に向けて対策が必要だった「早起き」問題について、まとめました。
朝起きない!早起きできない幼少時代
息子は、小さい頃から寝起きの悪い子でした。「朝の癇癪」が酷くて、試行錯誤した時の対策の1つが、上のブログ記事です。
こうした中、息子の特徴と気持ちを読み解くと、どうやら本人も「起きなければいけない現実」は理解していることが分かりました。
そこに、保育園に行きたくないから、「起きたくないという現実逃避」の気持ちが混ざり、その複雑な感情をコントロールできない状態が”朝の癇癪”でした。
以来、平日の起こし方を工夫し続け、朝の癇癪はなくなったものの、起き上がるまでに時間がかかります。
息子の朝と言えば、「もう起きないとヤバイ」というギリギリの時間に到達した時に、やっと起きる感じです。
卒園を間近に控えた頃、一人で起きれない息子を目の前に、私の方が一人で焦り始めました。
小学校になったら自分で起きれるのか。時間通りに起床できるのか。いやいや、この現状で無策のまま、急に早起きできるワケないじゃないか!
就学に向けて「朝起きる練習」をしなければ!…と思いました。
小学生は朝が早い!「早起き練習」が必要!?
家から小学校までは、徒歩20分ほどの距離ですが、かなりの余裕を持って出発する必要があります。
息子の場合、
・安全優先のため、通学路が遠回り(危険な場所を迂回するコース)
・重たい手荷物に不慣れ
・「行きたくない場所」へ向かう時は、かなり遅い速度で歩く or 歩みが途中で止まる
・教室に到着後も、始業準備に時間がかかる
…などの事情を加味しなければいけません。
そうすると、通学に40分、 教室での朝支度20分。
逆算すると、始業時間(8:10)の約1時間前、つまり朝7時10分頃に自宅を出発です。
は、早い…。
しかも、保育園児は親が手伝う朝支度。小学生になったら自分でやることが求められ、朝支度の所要時間が未就学時代より多くかかるでしょう。
保育園時代と比べると、起床時間は実に1時間半くらい早まります。
やはり、「早起き練習」は必至!…と思いました。
起きる練習で「目覚まし時計」は失敗
「早起き」と言っても、まずは目覚まし時計を使って起きるところからスタートです。
目覚まし時計をセットして、鳴ったら止めて、起きる。これを一人でできるようになる姿がゴールだと思いました。
ところが、息子には目覚まし時計が不向きだと判明。感覚過敏の傾向があり、特定の音に過敏な息子にとって、驚かせるように突然鳴る”目覚まし時計の音”がダメでした。
★息子に「目覚まし時計」が使えない状況(詳細)は別記事でご紹介予定
私は「小学生からは目覚まし時計を使って起きるものだ!」と思い込んでいました。
息子の就学に向けて、『こどもせいかつ百科』とか『できるよ!せいかつ366』など子供向けの生活啓蒙本を読み、典型的な規則正しい生活をお手本にしていました。
だけどここで、息子の「規則正しい」が必ずしも皆と同じとは限らない!と気づき、ASD育児の初心に戻りました。
他の小学生は目覚まし時計で起きるかもしれないけど、息子は息子の方法で起床できればいいや。
そこで確立したのは、息子と一緒に予め決めておいた「音楽動画」を流す方法でした。
★最近の起こし方の詳細は別記事で!(後日リンク予定)
就学準備は「早起き練習」より「起きる方法」の確立がポイント
息子が小学校に入学した4月は、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、緊急事態宣言が発出。感染防止対策のため、小学校は入学式の翌日から休校でした。
早起きの練習ができる期間が、実質延長。
だけど「早起き」の動機が、なかなか「学校があるから」「遅刻しないように」という理由に繋がらず、早起きを習慣付けるには難しい環境でした。
私は学校がない日でも、自宅学習用の時間割に合わせて行動したくて、早起きを促しました。
親としては、早起きを習慣付けて欲しいという願いもあります。
ところが、息子にとって嫌なこと(=早起き)をするためには、それなりの理由が必要でした。
「今日は学校に行かない日なのに、どうして学校の日と同じ時間に起きないといけないの?」と息子に質問されました。
息子の持論は、こうでした。
・例え今日遅く起きても、学校の日は頑張って早起きする
・今日の起きる時間を早くしても遅くしても、学校の日に早起きするのは変わらない
・今日は遅く起きても、自宅学習が始まる時間に間に合う
息子は極端に合理的な一面もあり、納得しないと行動をすぐに切り替えられない子ですが、この言い分には「なるほど、一理あり」と思いました。
入学式を終えたばかりの1年生。学校が休校で早起きしなくても良い日に、学校に行く日と同じ時間に起きろと言う方が無理か。
本人は「学校の日は起きる」と言っているのに、その日に必要のない「早起き」をさせる方がおかしいか…。
就学準備で必要なのは、強引な「早起き練習」ではなく、自分はこの方法で起きられるんだと思える「起きる方法」を確立しておくことなのかもしれません。
「起きる練習」を辞めたら見えたこと
休校が明け、分散登校が始まると、「学校の日」と「自宅学習の日」が交互でした。
つまり、「早起きの日」と「少し遅く起きる日」が1日おき。
息子は約束通り、「自宅学習の日」は少し遅く起きても、「学校の日」は早起きしました。
分散登校が終わると、いよいよ通常日課。毎日の通学が始まりました。
息子は約束通り、早起きを頑張っています。
※「起きる」というより「起こされる」状態ですが、起きてベッドサイドに座るところまで出来れば花丸にしています。
当初は就学準備として必至だと焦った「早起きの練習」ですが、本人に指摘されて意義が分からなくなり、あえて練習を辞めました。
結果的に、練習を無理強いせず、本人の無意味・無駄だという気持ちを優先したことが、功を奏した気がします。
息子の論理で行くと、「学校の日は早起きできる」だから「練習はしなくていい」というロジックだったため、逆に「学校の日は早起きしてみせる!」という自覚と決意に繋がりました。
寝起きが悪かった幼児時代。それをずっと見てきたので、最初は親である私の方が焦って「就学に向けた早起き問題」に翻弄されましたが、結局、子供の意思を尊重することで解決しました。
朝の癇癪で宙を蹴り飛ばしていた子は、毎日決まった時間に起きています。
※起こし方には「こだわり」があるので、別記事でご紹介予定です。
就学に向けて、私自身がこの手の「生活本」を読み漁りました。
息子が何ができて、何ができないのか把握するため。何を練習するべきなのか見極めるためです。