「入学式の練習」から一夜明け、いよいよ入学式(本番)です。
息子は、急ぐのが苦手、煽られるとパニック、いつもと違うと不安、母親と離れられない母子分離不安症…等の特性があります。
そういう部分をサポートするためにも、特別支援学級の在籍を決めました。
そんな息子が、入学式当日はどのような様子だったのか。
私が失敗したこと、工夫したことを含めて、まとめてご紹介します。
小学校は親がトイレに付添えない!卒園式と同じスーツでもサスペンダーは外す
入学式本番に来ている洋服を準備していたら、私はあることに気が付きました。
サスペンダーをしていたら、自分でトイレに行けないよね!?
息子は、靴下を除き「保育園の卒園式と同じ服装」で、小学校入学式に臨みます。
一度は”本番”で着ているスーツだから、服装について完全に油断していました。
入学式前日の夜に初めて、「サスペンダー付きズボンがヤバイ」と気が付きました。
保育園の卒園式でも、息子はトイレに行きました。
でもそれは、私か夫が付き添い。ジャケットを脱がして持ってあげて、サスペンダーを肩から降ろしてあげて、ズボンを自分で下ろせる状態にしてあげて…というサポート付きでした。
※息子はまだ、フックとファスナーがあるズボンで、ズボンを履いたままおしっこはできない。
サスペンダーをしていたら、自分でトイレに行けないよ!
小学校は、親がトイレに付添うわけにはいきません。
今から息子に、新しい何かを練習させても混乱するだけ。
入学式は、「サスペンダーなし」で履くことにしました。
ウエストがブカブカのズボンは、ウエスト内側に白いゴムを縫い付ければいいか?と思ったら、元から「ウエスト調整ゴム」が付いていました。
サスペンダーとセットでお下がりで頂いたスーツだから、保育園の卒園式の時は気が付きませんでした。
卒園式ではサスペンダー付きで着たスーツ(ズボン)は、小学校の入学式では、サスペンダーを外して臨みます。
ウエスト調整ゴムを一番キツイ所で調整しました。
当日の服装は、用意して安心ではありません!
試着はもちろん、トイレに行くところまで、行動シミュレーションを忘れずにしておきましょう。
ポケットにハンカチ・ティッシュは入るか?
ジャケットは脱げるか?
ジャケットを脱いでもおかしくないか?
座ったり立ったりできるか?
など
行動が遅い子は「入学式の服装」で歩くスピードを事前に把握しよう
早めに家を出たつもりでも、家族3人で歩き始めた時、予想以上の「歩みの遅さ」に愕然としました。
普段着で運動靴で、息子と手を繋ぎ、私と二人で歩く練習をした時、家から小学校まで約30分かかりました。大人が一人で歩けば、約15分の道のりです。
でもこの日は、私はスーツでヒール靴、息子は重たいランドセル姿。夫は汗をかくのが嫌いな人です。
「急いで歩く」はできそうもない。家族3人でこのまま歩けば、30分どころか40分以上かかるかもしれない。
ランドセル姿で歩く息子のスピードは、想像以上に遅かった!
慣れないスーツ、慣れないランドセル姿、片手に慣れない上書き袋…を想像すれば、当然か?
5分も歩かないうちに、このペースの”ヤバさ”を察知しました。

もしも、この時「もう少し様子を見よう」と歩き進めていたら、タクシーがつかまらない大通りに差し掛かり、きっと後悔したでしょう。(しかも汗だくで)
タクシーに乗る決断をするなら、タクシー乗り場が近い今しかない、と思いました。
この早めの決断は、結果的に幸いでした。
車窓から見える人通りに、入学式に向かう他のファミリー達の姿が目立ち始め、「ここから歩けば間に合う」という所まで来ました。

私たち3人はタクシーを降りて、途中から”歩いて”、小学校に向かいました。
最後は、他のファミリーと同じく、歩きながら小学校に近づき、ゆっくり落ち着いて校門をくぐることができました。
「入学式の服装」で歩くスピードを事前に把握しておきましょう。
貼り出されたクラス名簿で名前を探す!親が先行確認して目の前に誘導を
校門前で記念撮影をしたい所ですが、時間がないので帰りに予定を回します。校門に到着後、すぐに受付に向かいました。
私は前日の「入学式の練習」で、当日の”大まかな流れ”を教わっていました。
貼り出された名簿を見て、自分のクラスが判明した後に、該当クラスの受付テーブルに行き、名札類を受け取る手順です。
だけどマンモス校では特に、この名簿がズラっと掲示板に続きます。新入生の名前は大きな模造紙にマジックで手書きされていて、その模造紙がズラっと貼り出されているのです。
何組なのか分からないまま、子供に名前を探させると、とても時間がかかります。
息子のように1つの行動が遅い子は、周囲が急ぎたい時に、上手く急ぐことができません。「急げ」と仰げば、あたふたするだけで、肝心な「急いでほしい行動」はストップします。
ここで急かせば、名前を探すどころか、「早く早く!」と呟きながら、文字が頭に入らない思考回路になるでしょう。
私は手元の「入学のしおり」に掲載されているクラス名簿一覧を見て、息子の名前を探しました。
貼り出された名前一覧(模造紙)から、息子が自分の名前を探し始める前に、私が先行して何組なのか把握。
それから「自分の名前を探してね。何組かな?」と息子に言いながら、本当はもう分かっているクラスの名簿前に連れて行きました。
そして、貼り出された名簿を指差して、名前の一覧を見て探すように促しました。

息子の名前は、皆と同じように、普通級のクラス名簿に載っていました。
特別支援学級・情緒クラスの子は、普通級に混ざっていました。
これは、私があの時(↑)に、気にしたこと。
「特別支援・情緒学級に在籍しても、皆と同じように”1年○組”と名乗れるのか?」と心配していました。
でも、特別支援学級に在籍する息子が、普段は「1年何組」として生活するのか分かって、心配が吹き飛びました。
いったい自分は何組なのか。自分の名前を探す時、子供自身に見付けさせてあげたいですよね。
行動が遅い子の場合、親が先行してクラスを把握して、見付けやすい場所に誘導しましょう。
そうすることで、息子は”とても早く”、見付けることができました。
【入学式・式典】「母子分離不安」対策!広い体育館は実際の”保護者席”を目視確認
新型コロナウイルス感染防止対策のため、入学式当日は日程を3部構成【入学式】【学校探検】【説明会・呼名】に分けて、交代制で実施されました。
息子のクラスは、【入学式】からスタート。受付を済ませた後、体育館へ向かいました。
前日の「入学式の練習」で椅子に座る練習までした場所です。既知の体育館に、一緒に入る時はスムーズでした。
問題は、親がランドセルを預かり、子供だけが前方のエリア「新入生の座席」に行く時でした。
私と夫は、体育館後方の「保護者席」に残り、息子だけが「前の席に行って座る」と促された途端、「お母さんも!お母さんも一緒に!」と愚図り始めました。
「ここにいるから、大丈夫だよ。」となだめても、「一緒に!一緒に!」と言って、私にしがみついていました。
この様子を遠目で見ていた特別支援員が、じわりじわりと近づいて来ます。
もしここで、特別支援員が息子に声を掛けたら、息子は「自分とお母さんを引き離すために、自分を説得しに来た!」と察してしまうでしょう。
私は、こっちに来ようとする特別支援員に、手でストップ合図をして、「大丈夫です」と目配せしました。
それから、「ここでお父さんと待っててね」と言って、夫と息子をその場に待たせ、私が一人で「新入生の席」に行きました。
空いている椅子に座ってから、後方にいる息子に手を振りました。
息子が手を振り返すのが見えてから、「保護者席」にいる息子の元に戻りました。







そんなやり取りをしながら、息子はだいぶ「新入生の席」に行く気になっていました。
5mくらい離れて見守ってくれていた特別支援員に、「よろしくお願いします」と言って、息子を引き渡しました。
息子は、特別支援員に連れられて、”新入生の席エリア”に行き、空いている席に座りました。

息子は席に座ると、それから一度も振り返りませんでした。(上の写真)
ずっと前を向いて、式典が始まるのを大人しく待っていました。
【学校探検】先行きが分からないと不安な子は、今の状況と次の予定を伝える
息子のクラス、入学式の次の工程は【学校探検】です。
子供はそのまま列を作って校内へ、保護者は教室へ向かいます。
子供が体育館を出る時は、”保護者席エリア”を通ります。
保護者は移動のために、既にザワザワして荷物を持ったり立ち歩いたりしている状況なので、私は息子が通る通路沿いに行きました。

お友達の後ろに着いて歩く息子は、ちょっと不安そう。でも、私が声を掛けると笑顔になりました。
息子は、先行きが分からないと不安が大きく、先行き分かれば安心する傾向があります。
これから自分はどこに行き、お母さん(とお父さん)はどこで待つのか。私の声掛けによって理解すると、少し安心したようです。
広がってしまった”前のお友達との間隔”を、華麗なステップと小走りで詰めていました。
男性教諭と男子トイレへ!移動ポケットに○○ができない
私と夫は教室に行き、息子の席を探してランドセルを置きました。
ここで改めて、出席番号が一番後ろの意味を理解しました。
出席番号順に並んだ席は、一番後ろ。出口に近く、サポートもし易い。後から入室しても、他の子の邪魔をせずに座れる場所です。
保護者が「休校中の課題(宿題)」や「預かり学級」について説明を受けていると、子供たちが【学校探検】から帰ってきました。
自分の席には自分の親が座っているので、子供たちが自分の席を探すのは簡単でした。
席に座る役を私と交換する時、息子が「トイレに行きたい!」と言いました。
サスペンダーも外してあるし、ホック付きのズボンを下ろす練習もOK。でも、保護者が付添って勝手に行ったらダメだよね?
そう思ってキョロキョロしていた時に、「トイレに行きたい人、いますかー?」と声が掛かりました。
男子では息子一人だけでしたが、廊下にいた男性教諭が連れて行ってくれました。
息子は、小学校のトイレで、一人で用を足すことができました。
だけど、「できない」と分かったこともあります。
それは…
移動ポケットにハンカチを畳んで入れること。
・ハンカチ、ティッシュを取り出せるか
・ハンカチを畳んでしまえるか
・ティッシュを使った後、ゴミをどうするか知っているか
など
息子は、「移動ポケット」を使っています。
入学式の時点では、「移動ポケット」自体を自分で外すことは、難しいから諦めていました。
※後日、練習済み
「移動ポケット」から、ハンカチ・ティッシュを取り出す練習はしていました。
だけど、「ハンカチがあった場所に、入る大きさに畳んで、突っ込む」という練習をしていませんでした。
ズボンのポケットに丸めたハンカチを突っ込むことはできても、「移動ポケット」の仕切られたマチの無い部分に入れるのが難しい。
丸めたハンカチを突っ込むことさえ、できませんでした!
【初めての呼名】恥ずかしがり屋・声が小さい・場面緘黙な子は口パク練習がおススメ
教室では子供たちが席に着き、担任の先生が自己紹介を始めました。
それから、担任の先生による、初めての呼名。
先生に名前を呼ばれたら、右手を挙げて「ハイ!」と返事をします。
息子の名が呼ばれると…

私の方がドキドキしていましたが、立派に返事ができました!
息子は恥ずかしがり屋ですが、出席を取る時の「返事」は出来ます。
恐らく、保育園生活で毎朝、呼名されて培った賜物です。
実は保育園時代、恥ずかしくて小さな声でしか返事できない時期もありました。
その対策として、私が先生役で出席を取る真似をして、息子と返事の練習をしたことがあります。
無理やり大きな声で返事の練習をさせるのではなく、返事をする生徒役は、右手を挙げて「声無し」「口パク」です。
これが面白おかしく出来た時にわざと褒めていると、天邪鬼だから反発して「大きな声」で返事をしたり、「ハイ」に続けて「元気モリモリです」「ヤバイです」と余計なことを言ったり。
「もっと小さな声で言って下さい」と言うと、もっと大きな声で返事していました。
恥ずかしがり屋、声の小さい子、場面緘黙症があって上手く返事できない子が、入学式の呼名に備える場合、そういう無理のない「遊び」をして、いざと言う時には声が出る準備をしておくと良いかもしれません。
もう1つの教室!不安が強い子に「小学校の安心部屋」を教えて安心感を与える
普通の入学式と同日に、特別支援学級の入学式もありました。
息子は特別支援学級・情緒クラス(以下「情緒学級」)の新入生。案内係の先生の後に続き、情緒学級の教室に行きました。
ここで初めて、「入学式の練習」で集まったあの3人が、情緒学級のクラスメイトで、新入生「全員」であることが分かりました。
3人は既に顔見知りです。互いに、リラックスした様子でした。
そして、情緒学級3人だけの入学式を行いました。
・担任の先生の自己紹介
・自己紹介(名前のみ)
・「この教室は何?」の説明
・記念撮影
・挨拶
目の前の3人は、まだこの時点では、「なぜ自分の教室が2つあるのか」という事を気に留めていません。
先生が、
「みんながツライなって思ったり、疲れて休憩したいなって思った時には、ここに来て休むことができます。静かなここで、少し休んでから、教室に戻ったりできます。」
と簡単な説明をしてくれました。
この教室は何だろう?ということを説明してくれましたが、3人とも何も気にしていないようでした。
今日から、小学校1年生です!
全てが終わって帰る時に、校門で記念撮影をしました。
その時に、「やってはいけない育児」のようなシーンを目撃してしまったので、別記事で紹介しています。