自閉症スペクトラム傾向にある息子が、保育園に行くのを嫌がり、起床から自宅を出るまで一番大変だったのが、3歳児クラス(年少クラス・4歳前半)の時です。
中でも、その日が始まる起床「朝起きる」場面は、大きな山場。目を覚まして第一声が「保育園イヤだ!」でした。
そんな息子が、起床時に「保育園イヤだ!」癇癪をしなくなった、1つの工夫(方法・きっかけ)を紹介します。
3歳になると「平日の起床=保育園」を完全に理解している

まだ1日はこれからだと言うのに、朝の起床時は大きな山場でした。目を覚ますと同時に「ほいくえん、いく?いかなーい?」
「行くよ。今日は〇曜日だから、保育園だよ。」
次の瞬間、というか、それを言い終わらないうちに、目をギュッと瞑って顔グシャグシャの表情。足をジタバタさせて、当たったら肋骨が折れそうな、強力な空中キック!イヤだイヤだ!の大癇癪でした。
発達障害を指摘されているとはいえ、鋭く賢い子。平日に起きる、イコール「保育園に行く」であると、起床と同時に、即座に理解しているのです。
いや、厳密に言うなら、前日の夜、寝る前から理解している。”明日になって保育園に行くのがイヤ”だから、眠るのもイヤ。その想いが、この、4歳になっても5歳になっても「寝ない子」の、寝ない原因の1つでもあるのだから…。
視覚優位だから作ってみた!『朝カレンダー』
初めて見学した療育施設の園長先生から言われたように、息子は視覚優位な特徴があります。
言葉だけでなく目で見て分かるように、ジェスチャーや絵に描いて説明すると、その理解度は雲泥の差。日常の親子の会話や生活において、それはとても良く分かっていました。
朝起きてボーっとしている脳は、日中の活発な脳よりも更に、言葉だけじゃ情報を整理し切れず、プチパニックになっているに違いない…。
そこで、お金も時間もかけずに、すぐに実践できる「朝カレンダー」の準備をしました。「朝カレンダー」の目的は、朝起きたら「今日は保育園」と認識し、頭で整理しながら納得できるようにすることです。
それでは、具体的にご紹介していきましょう。まずは、ベッドに持っていける・置いておけるカレンダーを用意します。
準備1.「今日」は平日!を視覚に訴える『きょうシール』

枕元に持ってこられるカレンダーが用意できたら、「今日」がどこなのか、明確に分かるようにします。

私は『きょう』のシールを作りました。
貼り直し可能なシールタイプにして、毎日の「今日」の日付に貼り替えていくのが楽です。私は、自宅にあるマスキングテープ(白色)を使いました。
マスキングテープだから、何度も繰り返し、貼り剥がしができます。
劣化しても、すぐに「同じもの」が作れることがポイントです。こだわりの強い子は、慣れたモノが変わった時に、「どうして変わったのか」「前のモノはどうしたのか」etc、質問攻め間違いなし。変えなくて良いモノは、変えずに「いつも同じ」方が、平和なのです。
そんな心配ご無用な方は是非、かわいい付箋紙やシールなどで工夫してみて下さいね!
準備2.「保育園」行かなきゃ!を視覚に訴える『保育園の絵』

『きょうシール』と共に準備したのが、保育園の絵です。
茶系の壁、グリーンがかった屋根、どこかに丸い窓・・・。息子が通う保育園の外観を思い浮かべて、私なりに「ほいくえん」を伝えようと色鉛筆で描きました。
紙が柔らかいと扱いにくい?と思い、自宅にあった画用紙を使いました。
この絵を初めて息子に見せた時。

と言いました。
なんと、保育園であることが(下手な絵でも)瞬時に伝わっている!…と同時に、第一声が「イヤだ!」じゃなかった。それが、とても嬉しかったです。
「今日は保育園」を視覚に訴えてスムーズに起こす方法

「朝カレンダー」の準備が整ったら、それを見せるだけでは効果半減。実際の使用方法にも、ポイントがあります。
『朝カレンダー』(「きょうシール」&「保育園の絵」付き)を利用しながら、どのような工夫が必要なのか、まとめました。
ポイント1.体を動かし始めたら静かに「おはよう」の声をかける
体をゴソゴソ動かし始めたら、「おはよう~」と声をかけます。
このコツは、質の良い寝起き話を調べていた時の知識なのですが、寝返りも打たず静止してスヤスヤ寝ている時は、深い眠り。寝起きの悪い人の家族が、よくやってしまうミスが、ここで声をかけてしまうということだそう。
そろそろ起きる時間というタイミングになったら、モニタリング強化!です。最初の「動き」を見逃してはいけません。モゾモゾ動いたり、寝返りを打ったり、「動き」を見せた時が声掛けタイミングの合図です。
朝の陽光を感じて、身体を動かし始めたら、脳はまだ寝ていても、起きようとしているサイン。ここで静かにゆっくり声をかけていくことで、「自分で起きようとしている」ところを手伝ってあげる形になるそうです。
これを守るようになってから、見事に朝の癇癪(=足を空中に蹴り出し、ベッドで暴れる)はありませんよ!
ポイント2.聞かれる前に「朝カレンダー」を見せて「今日は保育園」と教える
これは、療育施設の先生に受けたアドバイスが関連します。
保育園を嫌がって「保育園に行く?」と聞いてくるなら、聞かれる前に「保育園に行くよ。」と教えてあげましょう、と。
質問させてしまうと、質問に対する答えを期待し、期待していた応えと違うことが、プチパニックの原因になる、と私なりに理解しました。
×
本当は、保育園に行かなければいけないと分かっている。
行きたくないから、聞いてみる。(質問)
もしかすると、「行かなくていいよ」と言われるかもしれない。(期待)
行きたくないけど、「保育園だよ。」と言われた。(期待と違う)
行きたくないのに、やっぱり行くのか!(期待と違う)
モヤモヤモヤモヤ(癇癪)
〇
本当は、保育園に行かなければいけないと分かっている。
行きたくないけど、「保育園だよ。」と言われた。
行きたくないけど、やっぱり行くのか。(諦め)
息子が「保育園じゃない?」と聞いてくる前に、「今日は、保育園だよ。」と言うようにします。
イヤイヤが続くうちは、必ず『朝カレンダー』を見せながら。
視覚優位の子は、「保育園だ」と認識する過程で、言葉だけだと勝手に、
・・・保育園?保育園だ!イヤだ!お母さんとバイバイ?イヤだ!お休みなら一緒?今日は?保育園!イヤだ!・・・
と、思考回路で迷子になって混乱します。(と思っている)
絵を見せて、「今日は保育園なのだ」という事実をまず、頭脳にストンと置いてあげます。
ポイント3.「今日」を自分で認識させる

と質問し、今日が何日なのか、指さして当ててもらいます。
「あたり~」と言いながら、『きょうシール』を今日の日付枠に貼ります。
最初のうちは、『きょうシール』を貼ること自体を面白がって、自分で貼り直していました。次第に、「きょう何曜日?」と聞くようになりました。
カレンダー上で「今日」の場所が自分で分かった!という感情は、プラスに働くのだと思います。そのなんとなく嬉しい気持ちが、「今日は保育園」に対する不安な気持ちを和らげます。
ポイント4.曜日の違いを感覚的に覚えるまで「日付の色」を認識させる

日付の色を明確に言って、保育園の日は「平日」であることを認識させます。

平日(黒の日)は、お父さんとお母さんは仕事があり、子供は学校に行く日であることを認識させます。(現在続行中)
同じように、青や赤の日は、お休みであることを教えます。根気強く半年ほど続けると、連続する黒の日は「ガッコウ」を頑張る日と理解できるようになりました。
※息子は、保育園を「ガッコウ」と呼ぶ
朝カレンダーで「今日はここ」と教えるだけで、イコール保育園と理解できるようになりました。
ポイント5.保育園の絵を見せながら、保育園での「予定」を教えてあげる
私の下手な「保育園の絵」が、自分が通う保育園であると、息子がすぐに分かってくれたのは、前述の通り。朝起きると「今日は、保育園でーす。」と、保育園の絵を見せながら教えてあげました。
それに加えて、有効だったのは、今日の保育園での「予定」を教えてあげることです。
意識しないと、保育園で何をするのか知らない日があることに気が付きました。「何をしたか」の結果は知っていても、「何をするのか」予定を知らない日があったのです。
※今までの私のダメっぷりは、別記事で書こうと思います
明日は何をするのか?これを(ざっくりでいいから)把握して、翌朝に備えるようにしました。


ベッドで足をバタンバタンさせて暴れて「ヤーだ!ヤーだ!」と癇癪を起していた子は、保育園に行くことを前提にした会話ができるようになりました。
「今日は(保育園の)体操教室?」
「火曜日だから(保育園の)絵画教室かな?」
朝カレンダーを見ながら、朝の段階でその日の保育園の予定を把握することで、その後の行動が、だいぶスムーズになりました。
保育園を嫌がる視覚優位な子をスムーズに起こす方法まとめ
自分の世界に入りやすい自閉症スペクトラム障害傾向の子は、言い聞かせば分かるのに、一生懸命に説明しても聞く耳を持たず、言い聞かすまでに至らない-。という事も多いと思います。
そんな時、伝えたいメッセージを絵にして頭にストンストン落としてあげると、スムーズにいくことが多いです。視覚優位な特徴があれば尚更です。言い換えれば、ガミガミ言葉だけで言っても、改善するわけはないということです。
朝起こす(&保育園に行く)というゴールは同じなのに、やり方を間違えれば雲泥の差。子供の特徴をうまく利用したいですね。
今回は、嫌がる保育園がある平日に、いかに視覚に訴えながら朝起こすか?をまとめました。「朝カレンダー」は、息子には効果てきめん。朝起きない!保育園を嫌がる!子供に悩むママに、少しでも役立ちますように!