軽度ASD(自閉症スペクトラム障害)の息子は、”自分の気持ちを言葉で表わす”トレーニング中です。
息子が通う療育施設の発達支援計画書でも項目として取り上げ、自宅での家庭療育でも意識していることです。
そこで、最近分かってきたことがあります。
こ、これは!?
一歩間違えると、息子の気持ちを理解してあげられず、癇癪を煽ることに繋がる!・・・と思い、まとめました。
好きな事をやめられず癇癪!は付き物
息子は、気持ちと行動の切り替えがとても苦手で、好きなことをやっている時に”終わりの約束の時間”が来ても、スムーズにやめることはできません。
”おしまいの時間”を視覚にアピールする工夫をしたり、”おしまいの時間”を予め決めてから始めなければならないルールにしたりと、やめるための工夫をして、何もしないよりは癇癪が減っていますが、最後に癇癪は付き物です。
叫び声をあげたり、のたうち回ったり、泣きながら宙を蹴り飛ばしたり、すごい癇癪が始まります。
癇癪に”怒鳴り声”は逆効果!言葉で気持ちを代弁しながら本音を探る
毎日毎日、何かをやめる度に、何かを始める度に、息子は癇癪を起こします。
だから、何度も何度も癇癪に直面します。
そんな中、癇癪に対する対処方法を色々試してきました。
一番ダメなのは、癇癪を起こしている時に、怒鳴って怒ることです。
ギャーギャー喚き、聞く耳も持たない、宙を蹴り飛ばしている足に当たったクッションやら畳んでいた洗濯物やらはソファから落ちる。
思わず怒鳴りそう!
でも、ここで怒鳴るのが一番、事態が悪化します。
何度も思わず怒鳴ってしまい、失敗してきました。
怒鳴れば余計泣き出してパニックになる訳ですが、なぜ泣いているのか問えば、「お母さんが怒っているから」の答えです。
その場で怒鳴っても、息子は怒られた本質を理解できないのです。
そこでどうしたかと言うと、ひたすら言葉を投げかけました。
「言葉」というのは、言い聞かせや理由などの「正論」ではなく、息子の頭の中にあろう”本人の気持ち”の「代弁」です。
そんな感じで、息子本人が上手く言葉にできない”気持ち”を、探るように言い当てていきます。
すると、私の言葉に合わせてうなずいたり、首を振ったりします。
そうして、本人が言葉では表せずに癇癪を起こした理由が、とりあえず分かるようになりました。
ASD息子なりに上達!癇癪の”激しさ”が軽減、”過去形”言葉で気持ちを表すようになった
ず~っと続けていると、少し変化が見えました。
のたうち回って宙を蹴り飛ばして暴れていた癇癪ぶりが、うつぶせになり泣くのを堪えて真っ赤な顔をして耐える!という感じになりました。
まあ、ここで何かの弾みで声をかけ、腫れ物に触れてしまうと、癇癪スイッチが入り、宙を蹴り始めたり「んーん!んー!」と動物の威嚇のような声を発したりはしますが。
何より、愚図りながらも「まだ〇〇したかった!」という表現で、自分の気持ちを言葉で言うようになりました。
この”過去形ことば”にご注目。
気持ちを言葉にすることが苦手な息子の過去形表現、「〇〇したかった」発言には、”言葉通りの意味”以上の意味があったのです。
少ない過去形表現にギュッと凝縮された想いとは?
気持ちを言葉で表現するのが苦手な子にとって、溢れる複雑な気持ちを「言葉だけ」でうまく伝えられるわけがありません。
私も時々、それを忘れてしまいます。
だから、息子が「まだ、見たかった!」と言った時、ガミガミと注意したことがありました。
と、まるで正論のような言葉を並べて、ガミガミ言いました。
それでも「見たかった!」と連呼するので、怒鳴ったこともあります。
でも、なんか腑に落ちない感じがしました。
繰り返す「見たかった!」の言い方かな?
過去形「~だった」にあたる部分をやけに協調する、というか。
どうして気が付いたんだろう?
とにかく、後から分かったのは…
私がガミガミ注意した後の、息子の「見たかった!」連呼は、「見たかった!って言っているでしょう?」という意味。
最初の息子の「見たかった!」発言は、「見たかったけど、我慢しようとしている!」というニュアンスだったのです。
理解するって難しい!分かったのは「代弁で探る」ことの大切さ
「だけど、我慢しようとしている」という部分が略されている言葉。
普通は、気持ちを伝えられません。
もし私が略された気持ちに気が付いていなかったら、「見たかった!」「やりたかった!」と言われる度に、正論を言い聞かせてしまい、癇癪はエスカレートすると思います。
息子本人は、言っていることを分かってもらえない”もどかしさ”も加わり、余計に喚き、癇癪レベルがアップするでしょう。
ASDの子を理解するって、難しいです。
だけど、「代弁」の強みや大切さも実感しました。
例えば、こちらが何を言っても「見たかった!」と連呼されて意味不明でも、
「見たかったよね」
「”おしまい”にしようと頑張っているね?」
「泣きたいね?」
「我慢できないね?」
「モヤモヤするね?」
「空気をパンチしようか?」
と、気持ちを代弁で探ることで、うなずき&首振りで気持ち自体は、なんとなく伝わってきます。
息子は、更に進歩。
「見たかった!」の後に、「空気パンチする!」と言うようになりました。