息子が1歳くらいの頃、家ではよく「シール」を使って、一緒に遊んでいました。
それなのに、保育園の先生から「シールとか、家であまりやらないんですか?」と聞かれたことがありました。
今回は、家では「できる」はずなのに、保育園では「できない」と指摘されたシール遊びについて、分析します。
先生の質問「家ではやっていない?」は”保育園でできない”ということ
親は敏感だから、分かります。
園の先生が「〇〇を(あまり)家ではやらないのか?」と質問してきたら、それは「保育園では、〇〇ができていない」という意味です。
この「できない」の中に、感覚統合の問題があるのかもしれない…と思ったのは、だいぶ後になってからです。
保育園1歳児クラスの時、先生に指摘されて一番ビックリしたのは、シール貼り作業(シール遊び)でした。
実際、息子は家でシールを使って遊んでいたし、私も「息子がシールを貼る場面」を何度も見ていたからです。
そのため、遠回しに「シール貼りができない」と言われた時に、とても驚きました。
「シール貼り」には、たくさんの工程があった!
家で息子のシール遊びシーンをじっと見て、分かったこと。
それは、息子は「シール貼りができない」のではなく、「シール貼りで”できない工程”がある」ということでした。
シールと台紙の境目を見つける。
シールを台紙から剥がす。
シールの粘着面の一部を指先にくっつける。
シールを貼る場所を決める。
シールを貼る場所に、シール裏(指先にくっついていない粘着面の部分)を近づける。
シールを貼る場所にシールを合わせる。
シールを貼りながら少しずつ指先から剥がす。
指先に付いているシールを離す。
シールを軽く押す。
などなど、その作業工程をザっと言葉で表わすだけでも、こんなにあります。
改めて「シール貼り作業」について分析してみると、一見簡単そうに見える動作の中にも、たくさんの工程で成り立っていることが分かりました。
意外と複雑なシール遊び、全部できる?息子ができたこと・できなかったこと
息子は与えられたシールを、「気が向くまま適当な場所」に貼ることはできますが、「決まった枠」に貼ることが出来なかったのです。
そして、この時の私には盲点でしたが、「シールを台紙から剥がす」という作業ができませんでした。
確かに家では、私が台紙から剥がしてあげたシールを息子に差し出していました。
「好きな所に貼っていいよ」と言って、何も書いていない画用紙やノートの上に向かって、シールを貼らせていました。
「できる」ことを「できない」と言われた後、何を見て「できない」と言っているんだろう??と真剣に考えてみて良かったです。
本当に全部できているか?…つまり「どの部分ができていないのか」を見極めることが、とても大切だと感じました。
・シールを決まった場所(枠)に貼る。
逆に、指先に持ったシールを、枠がない「好きな場所」に貼る作業、「シールをくっつける動作」自体はできる!と確信できました。
できること・できないことが整理できると、その後の練習内容を決めることができました。
感覚統合の問題?ココに苦戦!「ここ」と言って指差しても顔を見る
まず苦戦したのは、息子にとって、私が言葉で発している「ここ」と、私が指差している「紙の上」が一致していない!ということです。
シールを決まった場所に貼ってもらうためには、「シールを貼る場所はココである」と教える必要があります。
この時、「ここ」言いながら貼付先を指差せば、「ここだ!」とすぐに伝わるのが定型発達の子?
息子は「…ここ?」と聞き返しながら、私の顔を見てきました。
息子の言いっぷりは「ここってどこ?」というニュアンスがあったので、私の言葉「ここ」に対する”オウム返し”ではないと思います。
だけど、私の人差し指で、バッチリ紙の上の〇(丸)を指差しながら「ここ」と言っているのに!
こっち(私の顔)じゃない、こっち(紙)、こっち(紙)。
これを理解させるためには、息子自身の人差し指を使って、「ここ」という感覚を覚えさせる必要がありました。
私が息子の人差し指を持ち、私が「ここ、ここ」と言って対象を指差してあげると、「ここ」が伝わりました。
シール貼り作業は、たくさんの感覚(感覚統合)が必要
シールを貼る作業は、とても沢山の工程があって、たくさんの感覚が統合することで完成します。
息子の場合は、先生が制作物を指差して「ここに貼ろうね~」と言っても、目の前の制作物・先生の言葉・先生の動作・自分の手元のシール・自分が貼ろうと思った場所…等が全く噛み合っていませんでした。
私の奮闘の甲斐あって(?)、「シールをどこに貼ればいいか?」と考えた時に、「ここだよ」と指示された場所に貼ることは覚えました。
だけど、視覚優位な特性もあるので、何もない所を指差して「この辺に貼って」という、曖昧な指示では再び苦戦。
円や絵など「実際のターゲット」を指差して、ターゲットは「ここ」だと明確に伝える必要がありました。
「この辺」とか「少し離して」などの曖昧な表現は、指でさした場所が一見「空気中」に見える場合もあるし、「この辺ってどこだっけ?」「少しってどれくらいだっけ?」と混乱させてしまう要素もあります。
息子の場合は、距離感をつかむ”感覚の成長”は、とてもゆっくりでした。(今も)
それは、実際に目で見て「視覚で捉える距離感」だけでなく、「人が言葉や動作で示す距離感」も含めてです。
「あっち」「そっち」「この辺」「こっち側」など、指を差しながら場所を教える時に、言葉と動作を読み取って”その距離感”を察する能力は疎いです。
そのため、今いる場面で「あっち」と言ったらここ、「そっち」と言うのはここ、と実際に立ち示して教えました。
シール貼り遊びは、たくさんの「ここ」や「この辺」が登場し、貼る作業自体もたくさんの感覚が必要な動作でした。
シール遊びに練習は必要?自然に上達することも
感覚(統合)は成長と共に発達していくので、年齢が進めば「ここ」「この辺」という表現が、自然に伝わるようになる場合もあると思います。
息子も4歳頃になると、「この辺に」という指示に対して、「どの辺?」と聞き返し、シールも上手に貼れるようになりました。
「シール貼り」に特別な練習なんていらない、シール遊びの中で自然にできるようになる、という気持ちも少しあります。
ただ、そうだと言い切れないのは、やはり息子の事例では、練習したからこそ次第にできるようになったのか、練習しなくても出来るようになったのか、区別が付かないからです。
私は息子が「台紙から剥がす」作業ができないと分かったので、自分でシールを剥がすように促して、練習しました。
「決まった枠に貼れない」と分かったので、ターゲットを決めてその上にシールを貼ろう!と促しながら、練習しました。
この練習をしたから「できた」のか、練習しなくても「自然にできた」のか。育児に答えはないので、分からない。
だけど、できないことを明確にする → 遊びを通じて何気に練習する…という経緯を繰り返して良かったかな、と思います。
けっこう本人の自信に繋がった場面が多かったからです。
シール遊びについては、保育園で「できない、できない」と本人が認識する前に、何気なく自宅で練習を積んで「自分はできる」という気分に持って行くことができました。
どんな練習する?シール貼り練習は遊びの延長・ゲーム感覚で!
最後に、これは絶対、子育てで大切だと思ったこと(今でも思っていること)は、親が介入する練習は「できる」「できた」を楽しんでこそ上達する!ということです。
息子がシール遊びで、「決まった枠」にぴったりシールを貼れない時、最初からシールと同じ大きさの枠に貼ることを目標にするのではなく、シールの20倍くらいの大きな枠(円)の中を目指しました。
できた時に大喜びしてあげて、まずは「できた」という嬉しい感覚を覚えてもらいました。
息子から見ると「練習」ではなく「ゲーム」という雰囲気を心掛けました。
練習に誘う時も、「シールの練習しよう」ではなく「シールで遊ぼう」と言いました。
シールの2倍くらいの大きさの枠に貼れるようになった時に、シールブック、シール絵本、ごうほびシール類を導入しました。
シールの貼付場所に、始めから点線でシール型の枠が書いてあるシート類です。
シールを好きな場所に貼れるタイプと、シールと同じシルエットを探してピッタリ貼るタイプがあります。
前者はシールの絵柄に合わせて、貼るのに適切なページやシール方向を考えながら貼る知育的なものがあるので、シール遊び技術だけでなく感性も養えます。
両方のタイプを取り入れて、ゲーム感覚で遊びながら”練習”するのがお勧めです。
保育園の1歳児クラスの時、黒い丸型のカラーシールを2つ使って、顔の「目」の部分に貼る制作がありました。
この時の息子の作品は、右目と左目のバランス悪く、片目はオデコ、片目はホッペのような場所に貼ってありました。
2歳児クラスでは、目・目・鼻・口の位置関係を認識して、制作物のかわいい顔の”目”をカラーシールで作れるようになりました。
「シール遊び」しながら感覚を鍛える!シールブックご紹介
息子が実際に使ったシールブックの1つが、アンパンマンのシール絵本シリーズです。
ハードブックなので子供が何度めくっても破れず丈夫。食品スーパーの陳列、カゴの中、冷蔵庫の中など、食品の保管場所や置く方向を考えながら、シールを貼る練習ができます。
「ごほうびシール」は、当時大好きだったプラレールのものを使いました。
シールとパズルの要素を兼ね備えた「シールパズル」は、興味のある分野のブックを探すと良いと思います。
シール絵本にはユニークな本がいっぱいあるので、お気に入りを探してみてくださいね。
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