怒鳴らない、怒らない、叱りつけない-。
その方がうまくいくと気が付いてからは、自己流で「怒らない子育て」を続けています。
子育てに正解はないと言いますが、この時点でこの方向性でいいのだと思わせてくれたのは、ある療育センター長の言葉でした。
「怒らない子育て」の定義と解釈
「怒らない子育て」「叱らない子育て」≠「躾しない子育て」「注意しない子育て」
はじめに、私が表現している『怒らない子育て』について、定義しておきます。
人に迷惑をかける行為、危険なこと、常識に反すること、いわゆる「悪いこと」をしたにもかかわらず、注意もせず正しいルールを教えもせず、親が何もしない-。これは、私が解釈する「怒らない子育て」ではありません。
文献や著書で「怒らない子育て」を説いている内容は、「怒らない子育て」=「躾しない・悪い事をしたのに怒らない」ではないと思います。
便宜上「怒らない子育て」という一言で表現する子育ては、「叱る時に、突然怒鳴らず、言い方やタイミング等を工夫する子育て」のことです。
関連子育て本によっては、「怒ること」と「叱ること」は違うという表現で説明している場合もあります。
これで言うと、後者「叱る」はもちろん実施派です。
感情コントロール未熟なASD児は、強く怒ると癇癪がエスカレート&悪循環!
自閉症スペクトラム傾向にある息子(5歳現在)は、行動の切り替えが大の苦手です。
自分から次の行動に移すことは難しいから、とにかく声掛けが必須です。
声掛けと言っても、「~しなさい」「もう~する時間だよ」と普通に言ってもダメ。
言えば癇癪。
癇癪を避けて、子供のペースに合わせれば、時間が過ぎるだけ。
どうしたら良いのか・・・途方に暮れていたのが、半年ほど前です。
このままではいけないと自分でも分かっていました。
その時、書いた(ただの愚痴状態の)記事がこちらです。
ASD息子は、怒られることで癇癪を起し、癇癪を起すことで何も進まない。また言えば癇癪がエスカレート。悪循環でした。
強く叱るほど癇癪は悪化!”悪い子になる”事件で「怒らない子育て」を決意
床をドンドンうるさくした時か、食べながら横を向いて膝を立てた時か?
堪えきれず「こら!!」と一発、突然怒鳴りました。
息子(当時4歳)は体をビクっとさせ、両手で耳を抑えました。
それから、わざとドンドン足で音を立て、わざと大声をあげました。
そして
「悪い子になる、悪い子になる、悪い子になる!悪い子になる!悪い子になるの!!」
と、泣きながら連呼しました。
な、なんだろう?
この、反発するように、こっちを見ながら、怒られる事をわざともう一度やるような態度。
この、自分が「悪い子なんだ」と変なアピールをするように、更に「悪い子になる」と連呼する姿。
なんだか、私が大きな声を出して怒ることが、息子の”普通じゃない”何かのスイッチを入れてしまっている感じがしました。
聴覚過敏である息子に対して、怒鳴る・突然声を上げるということは、「脅かす」と同じことなのかもしれない。
怒鳴ることでパニックを助長している気がしました。
これじゃダメだ。
「怒鳴る」でも「突然声を上げる」でもなく、もっと言い方を考えなきゃダメなんだ…。
悪い事をした時は叱る・注意する・教える…という姿勢はそのままに、自分のイライラや怒りに任せて、声を荒げたり怒鳴ったりするのはやめよう。
それが、私なりの「怒らない子育て」の始まりでした。
「怒らない子育て」を始めた効果
「怒らない子育て」を意識し始めて約半年。
息子の笑顔は増え、一時に比べると精神的にも安定してきた感があります。
1つ1つのエピソードは、別記事にまとめていきたいと思いますが、目に見えて分かるのは、”あのドア”で耳を塞がなくなりました。
最近は、”あのペタペタ触って確かめる行動”も、だいぶ減ってきました。
「怒らないで」とアドバイス!療育センター長の後押し
初めて見学した療育施設は、入園を見送り、一旦キャンセルしました。理由は、前段の記事の通りです。
息子に合った療育施設・放課後デイサービスを探す前に、小児科で発達相談することにしました。
施設に通うための受給者証の交付申請するにあたり、医師の意見書が必要だからです。
※かかりつけの小児科医経由で療育センター長に出会うまでの経緯は、こちらの別記事で紹介しています。
息子の特徴を話し、小児科医兼療育センター長の質問に答え、初めての診察は終わりました。そばで一人で遊びながら、時々私に話しかける息子の姿を見て、先生は言いました。
「ちょっと(発達障害・自閉症スペクトラムの可能性が)あるかもしれないねぇ。」
そして、診察室を出る直前に言われた、念押しの言葉。
「ヘンなこと、たくさんすると思うけど、絶対怒らないであげてね。怒っても、なんで怒られているか、本人わかってないから。その場では理解できないから。」
確かに、確かに、そうでした。
怒っても、私が怒ったこと自体に泣き、怒っていること自体を嫌がり、怒っていること自体に癇癪を起す。
その場で怒りながら、なぜ怒られているか?を問いても「分かんない!怒んないで!」と返ってくる。
時間をおいて、本人が冷静になっている時に、怒られた理由やダメな理由を問いかけて説明すると、素直に理解してくれます。
「怒らない子育て」をこのまま続けていいんだ、と思えた瞬間でした。
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