就学に向けて「特別支援学級・通級指導教室の合同説明会」に参加しました。
今回は、大半の時間を占めた「保護者からの質問」セクションの内容を紹介します。
※「Q」は保護者からの質問内容、「A」は学校側の回答です。
特別支援学級「知的」「情緒」の違いは?
Q:特別支援学級の「知的」と「情緒」は、対象児童も異なり、クラスも異なり、別々の学級だと理解しました。実際の対応内容としては、何が違うのでしょうか?
事前調査や学校側の説明によって、知的障害を伴う場合は「知的」、伴わなくとも強いこだわりや情緒不安などで通常級としての集団生活が難しい場合は「情緒」に該当…という切り分けは分かりました。
ただ説明会で話を聞く限り、それぞれの特別支援学級(自立活動)で、実際に受けるサポートに対する、その違いがよく分かりませんでした。
A:
「知的」学級では、視覚支援を意識しています。
算数も物を使って体感的に理解できるように心がけています。
ほめて成功体験を増やすこと、大勢の中で学んでいくことを意識しています。
「情緒」学級では、交流という形で普通学級に参加することが主ですが、コミュニケーションや社会性に問題があった場合のサポートを意識しています。
「情緒」学級でも、視覚支援が必要な子供はたくさんいるんだけどな…。(まさに息子)
「情緒」学級に属した場合、視覚支援という意味では、効果的で充分なサポートは受けられないと、心積もりした方が良いのかもしれない、と思いました。
週に一度の自立活動は、どの教科の授業を抜けて参加する?
Q:特別支援学級の子は、週一度の自立活動のために、通常クラスを抜けるとのこと。それは、いつも決まった教科の時間に抜けるのでしょうか。それとも週によって、抜ける時間帯は違うのでしょうか?
週一度とはいえ、普通級を抜けるタイミングが、いつも同じ教科の場合は、その教科の授業の遅れが気になりますよね。
A:
ほぼ「同じ」です。
毎回、担任の先生とも相談して、どの時間帯に抜ければ、授業への影響が少ないか検討して、決定しています。
その結果、毎年「国語」の授業の時間帯に、自立活動を充てることが多いです。
「国語」は、他の教科に比べると、自習やホームワークで復習できる作業が多く、結果的に「国語」の授業の時間帯が選ばれています。
また、運動会の練習など特別な行事予定がある場合は、そちらを優先して、交流先である普通級で一緒に参加できるようにします。そういう時は、自立活動の予定曜日をずらすことがあります。
確かに「国語」は、漢字の練習、文章の音読練習、プリント問題など、自宅でも後追いで、宿題としてできるものが多そうです。
毎週、普通級の子よりも、「国語の宿題は多い」と覚悟すべきかもしれません。
定期的に抜けることで授業は遅れない?
Q:クラスを抜けても影響が少ない時間帯を選んでいることは分かりましたが、毎週毎週、定期的にクラスを抜けることで、授業に遅れないのでしょうか?
この質問は、保護者の心配がよく分かり、私も同感でした。
学校側としては、「普通の授業」と「特別支援」を天秤にかけなければならない、難しい質問でした。
A:
その時間を抜けて、通常の授業ではなく、特別支援・自立活動として、その子に合った支援を行うわけです。
当然、抜けていた授業については後から補う必要はありますが、特別支援は、その授業の内容をサポートするものではありません。
必要だと判断された「支援」に関する、自立活動をする学級です。
週一度の時間帯を「自立活動」に充てるべきか「普通の授業」に充てるべきか、選択するのは保護者さまです。
「自立活動」よりも「その授業に遅れないこと」を重視するのであれば、”普通学級へ就学”という選択になるかと思います。
抜けた時間に進んだ授業については、宿題などでフォロー出来ている子が多いです。
その保護者の選択が難しいのは、週に一度の特別支援学級の自立活動が、どれだけ有意義か?という、活動内容に掛かっている所だと思います。
自立活動と言われる時間が、息子にとって「学校は楽しい」という想いに繋がる時間なのであれば、週一度の(国語の)授業を抜けるくらい何ともない!と言えると思います。
授業を抜けることによって、勉強が遅れるかどうかは、個人によって差が出そうです。
私は、クラスを抜けることが、「授業の遅れ」ではなく「いじめに繋がらないか」が心配でした。
特別支援学級の子が名乗るクラス名は?
Q:特別支援学級のクラス名が、通常の「1組、2組、3組…」ではなく、ひらがなの「〇〇〇組」などです。
特別支援学級に在籍した場合は、子供が名乗る組は「1年1組」とかではなく、「〇〇〇組」になってしまうのでしょうか?
これは私が質問しました。
皆が「ぼくは1組!」「わたしは2組!」と言い合う中、息子だけ「ひまわり組…」(←例)とか答える場面を想像すると、純粋に嫌でした。
そういう部分が、”からかい”に繋がり、そういう小さな事が「行きたくない」に繋がるじゃないですか。
A:
特別支援学級に在籍した場合、交流先となるクラスが決まります。
そこに自分の机もあり、自分の居場所もあり、自分が「普段過ごす」「授業を受ける」クラスです。
普段は、その交流先のクラス名(〇組)を名乗ります。
ただし、通信簿には、正規の在籍クラス、特別支援学級の「〇〇〇組」と記載されます。
なるほど、大丈夫そうです。
「何組?」と聞かれたら、息子も「ぼく1組!」(←例)と答えられることが分かりました。
同じ特別支援学級の中でも「程度の差」がある?
Q:知的障害を伴わない場合であっても、症状の差ってあると思います。同じ特別支援学級の中に、重度の子と軽度の子が一緒にいるんですよね?
一人だけ騒いでいる子がいるとか、フラフラしている子がいるとか、そう思っていた方がいいんですよね?
この質問には、学校側がザワ付いていました。誰が答えるべきかすぐに決まらず、マイクをたらい回していました。
私も色々な意味でスゴイ質問だな、と思いました。
「自分の子は騒がずにフラフラしなくても、他の子が騒いでいるんですよね?」と聞こえてしまいました。
A:(やっとマイクを持った先生)
同じ支援学級の中で、「程度の差」があるかないかと言えば、「あります」。
以上!みたいな終わり方でした。
一人一人の特徴も違うし、1つ1つの特徴の強さも違うから、当たり前なQAでもありますが、同じ特別支援学級に在籍する子供同士のトラブルも想像できるから、考えさせられる質問でもありました。
母子分離不安で「行きしぶり」がある場合、付き添い登校して良いか?
Q:母子分離不安の症状があり、学校に行くのを嫌がる「行きしぶり」が出ると思います。親が一緒に、登校に付添っても大丈夫ですか?
私も気になっていたことを、他の方が質問してくれました。
”学校に行っちゃえば大丈夫なのに、行くまでが大変”というパターンの子は、多いはず。そういう場合に備えて、
- 途中まで一緒に行く
- 正門で「バイバイ」のルールを作る
などの対策が可能なのか、把握しておきたいです。
A:
もちろん、大丈夫です。
その子が、「付添ってなら登校できる」と言うのであれば、毎日でも付添ってあげて下さい。
実際に、1~2年生の頃は保護者付き添いで登校、3年生になると途中まで一緒に登校、高学年になると1人で登校できるようになった、という生徒もいます。
学校に気持ちよく通えることが大切だと考えています。
これについては、期待以上の答えでした。
正門まで付き添って「バイバイ」ができない時に、支援級の先生を呼ぶことはできますか?
Q:同じく母子分離不安に関連します。
保育園時代は、担任の先生に直接引き渡せる環境があり、行くのを渋る子供が、親を追いかけてこない状況で登園することができました。
小学校では、行くのを渋る子供が校内に無事に入ったか確認できないため、不安な部分があるのですが、もしも入り口で「行き渋り」を起こした時に、支援級の先生を呼ぶなどの対策はとれますか?
私が不安に思うことを、そのまま質問しました。
A:
支援級の先生が駆けつけられる状況であれば、もちろん大丈夫です。
ご心配されているパターンは、実際にも(事例が)あります。たいてい最初に気が付くのは他の生徒で、その生徒が先生を呼びに来てくれます。
支援級の先生とは限りませんが、 その時に行ける先生が迎えに行きます。
始めから先生が(下駄箱で)待っていることはできないため、呼びに来てもらう感じで対応しています。
なるほど…。
先生方も、同じような事例を経験済みというのは心強いです。
入学後に在籍する学級(特別支援学級or普通学級)を変更できる?
Q:就学時に、特別支援学級か普通級か、在籍する学級を決めなければなりませんが、最終的には保護者の判断であることが分かりました。
でも、就学時の判断が、100%正しいものである自信はありません。入学後あるいは2年生になる時に、所属する学級を変更することはできますか?あるいは、その実例はありますか?
これも私が質問しました。
特別支援学級に所属してみて、1年生として1年間過ごした後に、「普通学級」在籍でもやっていけるかも-。と思えるかもしれない。
普通学級を選んだけど、やはり「特別支援学級」でサポートを受けるべきだと、しばらく経ってから思うかもしれない。
そんな時、どうすれば良いのでしょう?
A:
結論から言えば、変更できます。
ただ、就学時相談の流れと同じように、保護者の申し出→面談→発達検査などで現状把握→結果を以って在籍する学級の相談・・・という一定の手続きが必要なことは同じです。
在学中は、まずは担任の先生を通して、相談して頂く形になります。
先生に相談して、手続きを踏めば、在籍する学級の変更が可能であることは分かりました。
実際は、特別支援学級に在籍したまま、ほとんど支援級の先生にはお世話にならない、という過ごし方をする生徒さんもいるそうです。
「特別支援学級・通級指導教室の説明会」保護者Q&A総括
私がキャンセルした療育施設の園長は、昨年「この辺のマンモス校では、発達支援サポートが機能していないも同然」と言っていました。
だから「特別支援学級・通級指導教室は機能していない」という先入観があるまま、合同説明会に参加しました。
でも実際に説明を聞いてみると、思っていた以上に、息子が小学校に通えそうなサポート体制が存在する印象を受けました。
保護者からの質問に答えたのは、実際に特別支援学級や通級指導教室の担任をしている先生たちでした。
実際に在籍する一人一人に合った支援なのか?は、まだ見えません。でも、発達が気になる子たちが、気持ちよく小学校に通ってもらうための体制づくりや努力をしている学校側の姿勢はうかがえました。
合同説明では確認しきれなかった細かい疑問や心配ごとは、この先の「就学先相談」の過程で、少しずつ明確にしていきたいと思います。
※次のステップは、「発達検査」です!
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