息子が小さい頃、家では「できる」のに、保育園で「できない」と指摘された遊びや動作があります。
この「できない」には、未経験・不器用・説明不足などの他に、とても多くの理由が含まれていました。
私自身が、色々勉強するうちに、「感覚統合」という観点が影響しているのかもしれない…と、気が付きました。
感覚統合の発達に問題?最初に気付いた「動作面」
「感覚統合」とは何か。私も勉強を継続中ですが、簡単に言うと「感覚を統合する機能」です。
複数の感覚を集めて、脳で整理して統合する機能。
これがうまく機能しないと、うまく話せなかったり、うまく動けなかったり、うまく手足を動かせなかったりと弊害が出ます。
多くの関連書物も出版されているので、詳しく知りたい方は専門の方が監修した書籍やサイトを参考にして下さい。
親が気が付きやすいのは、感覚統合の中でも「動作面」だと思います。
実際に私も、息子の行動を思い出すと、
・ボールが上手く投げられない
・スキップがぎこちない
・力はあるのに、草を引っこ抜けない
・握力はあるのに、お菓子のパッケージが開けられない
等々、運動面や何気ない動作について、違和感を覚えることが多かったです。
実際に何を指摘されて、何に気が付いたのか。
いくつかの「息子の事例」をご紹介します。
【シール遊び】たくさんの感覚と作業工程が必要!(1歳頃)
息子は1歳頃から、自宅でも保育園でもシールを使って遊んでいました。
それがある日、保育園で「シール遊びとか、あまりやらないんですか?」と指摘されたのです。
その指摘が「シール貼りが上手くできない」という意味であることは、上記リンク記事の通りです。
その後、シール遊びの動作を分析すると、「シール遊び」は多くの作業工程で成り立っていることが分かりました。
台紙からシールをはがす感覚、「ここに貼って」と指示された時に「ここ」を認識するための距離感、指先でシールを運ぶ感覚、狙いを定めてシールを離す感覚。
たくさんの作業の中で、たくさんの感覚を必要とします。
それをひっくるめて統合して、ようやく「シール遊び」の完成でした。
【ブロック遊び】ブロック同士がはまらない?問題は角度と力加減(2歳頃)
息子は家でいつも、ブロック遊びをしていたのに、保育園の先生から「ブロックで上手く遊べない」と指摘を受けました。
意識しなければ気が付かなかったけど、言われて初めて気が付いたことは、「やって」と頼まれた時に、すぐにブロックを受け取り、代わりに「はめてあげる」ことが多い…ということ。
これはすぐに反省して、「自分ではめる」ように促しました。
次に気が付いたのは、「え?実は自分で上手く、はめられない?」ということ。
息子は、無意識の”感覚”でブロックをはめていくことができても、「手に伝わる感覚」を意識して、どの向きや角度にすれば凹凸が合うのか考えたり、「力を入れる感覚」を意識して、どのタイミングでグっと力を入れるか見極めたり、そういうことが未熟でした。
複数の意識的な?感覚が必要になる動作は、あえて説明が必要でした。
【フタの開閉】水筒は開ける・飲む・閉める・こぼさない…複数の動作と感覚が連続!(3歳頃)
開閉時の手の動きと力具合、口の感触、水筒を支える腕の力、実際に飲む…。
「水筒で飲む」という動作は、とても沢山の感覚を統合した動作です。
一連の動作ができるようになるために、かなり細かく動作を分けて、練習しました。
【おねしょシーツを敷く】大人のマネは難しい(4歳頃)
息子は昼間のオムツが外れても、寝る時は暫くオムツでした。
4歳の頃、保育園では普通のパンツで過ごしていましたが、お昼寝タイムでは、おねしょをしてしまう日が多かったです。
ある日、先生から、「防水のおねしょシーツを持ってきて下さい。」と言われました。
保育園に、おねしょ対策の「防水シーツ」を持参しては、おねしょで濡らして、持ち帰って洗濯。こんな日々が暫く続くと、息子は「お昼寝は、シーツがグシャグシャになるからイヤだ」と言うようになりました。
話を聞くと、息子が自分で、その「防水シーツ」を敷いていることが分かりました。
しかも、本来は「敷布団」と「シーツ」の間に、「防水シーツ」を挟むのに、一番上に「防水シーツ」を敷いていました。
「防水シーツ」はたいてい、その上に直接寝ることは想定されていないため、肌触りは悪いです。
防水機能がある裏面は、ツルツルした生地です。
その「防水シーツ」を四隅のゴムバンドも止めずに、一番上にして寝るとどうなるか?
寝返りや足を動かす度に、くるくる丸まってグチャグチャです。
私は、先生が防水シーツをセッティングしてくれると思い込んでいたので、息子にシーツを敷く練習をさせていませんでした。
月曜日に一度、先生が「防水シーツ」を挟み込んだ状態で布団を敷いてくれて、火曜日~金曜日は息子がそれを広げるだけ…と思い込んでいました。
真相が判明してからは、「防水シーツ」を敷く練習をしました。四隅に付いているゴムバンドを、布団の四隅に引っかける練習もしました。
・この方法だと、シーツが平らになるまでバサバサやり続ける。
・布団の上にシーツを置いてから、四隅を1つずつ布団のコーナーに向かって引っ張る方法がやりやすい。
大人がシーツや毛布を伸ばす時にやるような、端を持ってバサっと仰ぐ動きは、バサっとやる一瞬に強い力を入れるので、タイミングも力の入れ具合も難しいです。
・表を上にしてシーツを置く。
・短い方を頭(足)方面に、長い方を横に持ってくる。
・1つ目の角のゴムバンドをコーナーに引っかける。
・2つ目の 〃
・3つ目の 〃
・4つ目の 〃
「動作を細かく分けて、1つずつ順番に説明する。」が鉄則です。
※息子は家では、「防水シーツ」ではなく「防水スカート」(ズボン型もある)を使っています。
6歳(年長クラス)にもなると、自分の布団(ベビー布団サイズ)にシーツをスピーディに敷けるようになります。
大人がやるように、バサっとシーツを宙に浮かせて、布団にウワリとかけた後、端を入れ込んでいく…という動作ができるようになりました。
「感覚統合の発達」を知ることのメリットは?
子供に対しては、ついつい「できないこと」に着目してしまいます。
赤ちゃんの時から、少しずつ何かが出来る度に、「しゃべった」「立った」「歩いた」と喜んでいたのに、集団生活に入ると、いつの間にか他の子と比べて「なぜ、出来ないのか?」と感じることが増えました。
体力・筋力・能力もいろいろ、その成長スピードに個人差があることは分かっているけど、私の失敗としては、「まだ練習していないから出来ない」と考えていた時期があることです。
これは、「練習しても出来ない」という自信喪失につながる恐れもあるし、本人が「自分は出来ないから練習するんだ」という意識を持ってしまい、自己肯定感の低下につながる恐れがありました。
今回の事例のように、出来るはずなのに「できない」と指摘されて、1つの行動の中に「できる動作」と「できない動作」が混ざっていることに気が付くことができました。
「できない動作」だけに着目すると、その動作は、とても沢山の工程や感覚を必要とすることが分かりました。
例えば、クローバーの葉を1枚取る時、引っ張る力だけでなく、葉を離さないために親指と人差し指をくっつけておく感覚と、茎を持つ左手は右に動かさず、葉を持つ右手だけ右に動かす時の力の関係と、距離感とか。
色々な感覚が統合されることで、1つの動作が遂げられるんだな、と分かりました。
そして「感覚統合」というキーワードを知り、「感覚統合の発達」や「感覚統合の問題」と捉えて対処すると、状況が好転しました!
息子が「できない動作」の中には、複数の感覚を要する「複雑な動き」があるはず!と捉えて考えると、見え方も教え方も激変しました。
「感覚統合の発達」について知れたことは、息子が何に苦戦するのか見えるようになり、息子への「言い方」や「教え方」の工夫に繋がりました。
そうすると、息子の理解度もアップ!
良い循環が生れました。
私自身が、息子の不可解な癇癪や、保育園からのナゾの指摘に振り回されず、精神的にも落ち着けたこともメリットです。
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