食物アレルギーがある子供が、小学校に入学する時、学校給食の問題が立ちはだかります。
私が自治体の定める「学校給食における食物アレルギー対応ガイドライン」を読んだ時、個々の食物アレルギー対応は行われないことを知りました。
調理現場の混乱や子供の安全を優先すると、ガイドラインにある基本方針は理解できました。
それでも「年間弁当」になってしまうのか、「一部代替弁当」で済むのか、入学前によく分からないのはなぜでしょう?
今回は、その問題をまとめながら、教育委員会にも問合せました。
食物アレルギー対応ガイドラインを見ても、年間弁当か一部代替か判断できない
文部科学省が定めたガイドラインでは、生徒への「給食の提供」は大原則になっています。
更に、もう1つの大原則として、「学校や調理場が人員などを鑑みて無理な場合」はその限りではない…とあります。
だから結果的に、学校給食における食物アレルギー対応は、アレルギー児への「給食の提供」を約束したものではなく、地域や学校の采配によって異なるのが現状です。
調理現場の実情、アレルギー事故の未然防止などの観点から、その地域・学校に見合ったアレルギー対応になるのは、理解できるし仕方のないことです。
だけど、提示されたガイドラインを見ただけでは、「年間弁当」か「一部だけを代替弁当」かなんて、決められないのです!
だって、どんな食材・食品を使って、どんなメニューが作られているのか、分からないのですから。
実際の献立表を見ないと、年間弁当か一部は食べられるのか、判断できません。
【小学校入学・就学準備】学校給食の食物アレルギー対応「提出書類」まとめ
入学前は、実際の献立表をチェックするよりも、アレルギー対応方針や給食対応をどうするか問われる書類が先です。
この時点で、「年間弁当」か「一部弁当」か選択する書類があるので、とても悩みました。
大原則「給食の提供」に相反する「年間弁当」…これは食品選定の責任がある
「年間弁当」になる場合、大原則である「生徒への給食の提供」に反することにもなります。
ここで重要なのは、調理現場の環境や人員に関係する「アレルギー対応」云々ではなく、給食に使われる食品の選定だと思います。
アレルギー児が食べられないメニューが、なぜ食べられないのか?
これを考えた時に、「添加物に、余計なアレルゲンを含む調味料や加工品」を採用しているから、という結果だとしたら、仕入れ食材(食品)の選定責任を果たしていないと思います。
つまり…
学校側は、自身の環境・人員などを考慮して、アレルギー対応基本方針を決めます。それに従って保護者側は「年間弁当」か「一部弁当(一部給食)」か決めます。
その時、学校側には「余計なアレルゲンを含まない食品」を選定する責任があると思います。
例えば加工品。小麦や乳成分を含まない「ハム」の仕入れを考慮する責任
分かり辛いので、実際のメニューを例に挙げてみます。
(主原料として)「乳成分」を含むチーズを仕入れました。
◆ガイドラインより:
チーズの除去対応はできません。
◆給食対応:
乳アレルギーの生徒に「チーズ入り」チャーハンを提供しない。
◆アレルギー対応:
代替弁当(チャーハンの代替食)を持参
これは、問題ありません。
私が疑問視(問題視)しているのは、次のパターンです。
(添加物として)「乳成分」を含むハムを仕入れました。
◆ガイドラインより:
ハムの除去対応はできません。
◆給食対応:
乳アレルギーの生徒に「ハム入り」チャーハンを提供しない。
◆アレルギー対応:
代替弁当(チャーハンの代替食)を持参
どちらも、「チャーハン」を提供しない対応で、一部(チャーハン)を代替食として、弁当持参する例ですが、原因となる食品の意味合いが全く違います。
文部科学省の食物アレルギー対応指針では、
加工品は、添加物に原因食物(アレルゲン)が使用されていない食品を選定する等の対応を考慮することが定められています。
つまり上の例で言うと、学校給食では「乳成分を含まないハム」の使用を考慮すべきなのです。
考慮もせずに、「今までと同じ」「仕入価格が安い」「外注業者任せ」等の理由で実現できていないとしたら、指針違反なのです。
逆に言うと、考慮した結果、何かしらの理由があって、「乳成分を含むハム」が給食で使用されているなら、責任を果たしていることになります。
添加物にアレルゲンを含まない食品の選定が、保護者(家庭)に偏るのはおかしい!
ハム入りチャーハンの代替食を作ることになった、乳アレルギー児の保護者は、乳成分が入っていないハムを使います。
食品選定の責任が、保護者だけに偏るのはおかしなことです。
この場合、学校給食側が、乳成分を含まないハムを採用すれば、本来の大原則「生徒への給食の提供」が実現できるのですから。
文部科学省の食物アレルギー対応指針を読み解くと、
・全ての生徒に給食を提供する
・「添加物に原因食物(アレルゲン)を使用していない加工品」の選定を考慮しなければいけない
ということが分かります。
もしも、この努力がされない状況で、アレルギー児の保護者による「代替え弁当対応」になるなら、おかしいのです。
「添加物にアレルゲン未使用の加工品の選定」の責任が、保護者(家庭)に偏ることになります。
ハムの例で言うと、学校側が(考慮もなしで)対応しない代わりに、保護者が「乳成分不使用のハム」を購入して、ハム入りチャーハンを作り、代替え弁当として持参するとしたら、これは食物アレルギー対応指針としてはおかしいのですよ。
「年間弁当」対応になるのか、「一部弁当」で済むのか。
これは、学校側の食品選定の責任が、大きく関わってくると思います。
「添加物に7大アレルゲンを含有しない加工品」を仕入れる努力はしているのか?教育委員会に問合せ
Q:学校給食の食物アレルギー対応について
(一部略)
文部科学省のガイドラインは、全ての児童に給食を提供することを前提としています。
「給食の提供」を保護者側が弁当をもって代替えするなら、学校給食側も〇〇〇(←実際の給食業務の委託業者)に対して、添加物として7大アレルゲンが含有されていない加工品を仕入れること等、要請するべきだと思います。
例えば、添加物に乳成分が含まれるハムを使っているために、乳アレルギー児童が弁当対応になり、保護者が乳成分を含まないハムを使って弁当を作った場合、
文部科学省のガイドラインにもある「原因食物を含まない食品の選定」に関する対応が、保護者に偏っていることになります。
これについて、現状確認および何らかのご意見を頂きたく、問合せさせて頂きました。
どうぞよろしくお願い致します。
コンタミOKなら「一部代替弁当」で手続き&入学がベター
A:回答
(一部略)
「添加物として、7大アレルゲンが含有されていない加工品」の仕入については、対応可能な範囲において、以前からすでに行っておりますが、納入の際に誤って納品される可能性もあることから、安全性を最優先し、アレルギーの原因食材の除去については、あくまでも保護者の責任において決定させていただいております。
栄養士はそのために、翌月分の詳細献立、配合表を保護者に配付し、保護者からの回答に基づき、慎重に対応を進めておりますので、御理解と御協力をお願いいたします。
学校給食部 学校給食課
上記が回答です。
要約すると、
- 「添加物として、7大アレルゲンが含有されていない加工品」の仕入れは、対応可能な範囲で行っている。
- 誤納入に備え、食材の除去については保護者の責任で決定
- 栄養士が毎月、詳細献立&配合表を作成し、保護者の回答をもって慎重に対応
とのこと。
「納入の際に誤って納品される可能性」というところは、保護者側では拭えないリスクのため、かなり引っ掛かりました。
事前に知らされた原材料とは、異なる原材料の食品が納品される事情は理解しますが、保護者だって、その食材の除去の判断はできないです。
この「誤った納入」は別の問題として、「添加物として、7大アレルゲンが含有されていない加工品」については、既に可能な範囲で行っていることが分かりました。
コンタミに問題がないアレルギーレベルの場合、「年間弁当」にすべきか判断できない時は、アレルギー対応として「一部代替弁当」を選んで手続きするのが良さそうです。
教育委員会の言いっぷりからも、「栄養士と個別相談することで、個々の食物アレルギー対応を決めて下さい」という印象あり。
学校給食に不安があっても、「年間弁当」と割り切る前に、栄養士さんとの相談の余地を残しておいた方が良さそうです。
「年間弁当」か「一部代替弁当」で大丈夫か?…は、栄養士面談で決定できる
一部だけ代替弁当でいけるのか。
食べられるメニューがあるのか。
食べられる加工食品を使ってくれる日はあるのか。
何かと不安は多いですが、決め手となるのは、やはり食物アレルギー対応に関する面談の場です。
私は就学時の提出書類では、「年間弁当」ではなく「一部弁当」で提出しました。
そして、栄養士さんとの面談の場で、アレルギー情報を共有しつつ、「一部弁当」で対応できるかどうか確認しました。
実際に、どのメニューが食べられるのか、どのメニューを代替食(弁当)にするのか、詳細は毎月の「献立表チェック」で決まります。
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