これも感覚統合の未熟さが原因か-?
原因を探っても答えは見つかりませんが、息子は小さい頃から、自分で着替えをすると、洋服が後ろ前になりがちです。
今回は息子の「衣服の後ろ前」について、状況と対策をまとめました。
「服の後ろ前」に発達障害は関係ある?
息子を療育に通わせるため、私は目的ありきでASD(自閉症スペクトラム障害)の診断書をもらいました。
発達障害の傾向にある子が全員、洋服を「後ろ前」に着てしまうか?と言えば”違う”だろうし、息子も毎回「後ろ前」に着てしまうわけではありません。
ただ息子の場合は、「教えを忠実に守る」「一度決めたルールは守り抜く」という特性がある一方で、「応用が効かない」「臨機応変にできない」という特徴があります。
つまり洋服で例えると、「ポケットが前」と教えたら、それが息子にインプットされたルール。
本来ポケットが「後ろ」の洋服が登場しても、前例で教わった通り「ポケットは前」なのです。
ルール通りにはいた時、「なんかおかしい」と気が付き、「後ろ前」なのかもしれないと察して、着替え直すことができません。
その「気が付く」「察する」「言われなくてもやる」という”曖昧さ”を言葉や行動で表わすことは、大の苦手です。
一般的な「お着替えポイント」だけじゃダメ!服ごとに「前」を教える
洋服の前と後ろを正しく着るために、気を付けるポイントは一般的に決まっています。
- タグが後ろ(左)
- 絵柄が前
- ポケットが前の横
等ですね。
私も一般論に準じて、息子に教えました。
自宅での朝の着替えだけでなく、保育園では何度も着替えがあります。
外遊びで汚れたら着替え、お昼寝の前にパジャマに着替え、起きたら洋服に着替え、夕方の園庭遊びで汚れたら着替え。
1日に何度も着替えるので、教えた「お着替えポイント」は覚えました。
年少クラスくらいになると、スピードは他の皆より遅いけど、自分で着替えられるようになりました。
だけど、成長につれて洋服もワンサイズ上になり、新しい衣類の出番。新しい服ごとに、どこが「前」なのか教える必要がありました。
一般論だけでなく、「この洋服はこっちが前」というように、実際の洋服を見せながら”具体的に”教える必要がありました。
上(トップス)よりズボンが難しい?「まえ」と書かれたタグがある
もしも教えられた「お着替えポイント」をベースに、「この洋服の場合は、こうかな?」と臨機応変に考えることができれば、他の洋服の着替えもスムーズです。
息子の場合は、教えられた「お着替えポイント」が、着ようとしている服に合致しないと、「印がないから”前後”がない」と理解して、適当に着てしまいます。
そして、とても難しいと思ったのは、「親切すぎるタグ」が付いたパジャマ・ズボンです。
ズボンのお着替えポイントとして、「タグは後ろ」と教えていたのに、
『まえ』
と書かれたタグが、付いていたのです。
お腹のウエストゴムの内側に「まえ」と書かれたタグが付いていました。
つまり、ズボンの「前」にタグが付いていたのです。
息子は、私が教えた通り、ちゃんと「タグを後ろ」にして履いていました。
それなのに、「違うよ」と教えなければならず、複雑でした。
こうなると、今までの普通に来ていた洋服に対してまで、息子が「この洋服は、タグが後ろでいいの?」といちいち聞いてくるようになります。
「まえ」とか「うしろ」とか書いてあったら、その通り。
「まえ」とか「うしろ」とか書いてなかったら、「タグは後ろ」
と、教え直すきっかけになりました。
この「親切すぎるタグ」は、キッズパジャマのズボンに多かったです。
ズボンは1つずつ具体的に「後ろ前」を説明
それから、目印になる「後ろのタグ」がなくて、息子がいつも「後ろ前」に履いていた洋服のズボンがあります。
他のズボンと何が違うのか?と言うと、正面を向いた「大きめのポケット」が前後両方に付いているデザインでした。
ズボンは「お尻のポケットが後ろ」「フタが無いポケットは前」など、ポケットの位置で前後を教えることも多いですが、デザイン性のあるズボンは説明にも工夫が必要でした。
結局、ズボンの数は限られているので、一般的なお着替えポイントではなく、実際のズボンごとに「前後ルール」を決めました。
息子のズボン1つ1つを見せながら、
というように、具体的に説明しました。
息子は、視覚優位で記憶力が良く、視覚から得た記憶については特に優れているタイプです。
だから、実際のズボンを見ながらの具体的な説明には、効果がありました。
6歳になると、自分で「このズボンは、こっちが前」と確認しながら履くようになりました。
◆補足
ASD傾向の子は、具体的に説明すると、質問攻めしてくるかもしれません。
うちの息子も、サイズを表わすタグ「100」を見て、
息子:「100って何?」
私:「身長のこと。100cmっていう意味だよ。」
息子:「ぼくは、100cmじゃなくて、106cmだよ。」
私:「洋服は、90、100、110、120、130のサイズで選ぶんだよ。」
息子:「どうして!?」
私:「100、101、102、103、104、105・・・って全部作れないから、10cmずつ違う大きさで作っているんだよ。」
という具合でした。
「100」タグが後ろだよ、と教えたいだけの時に。
息子の場合は、5~6個の質問に答えた所で、「そっか!」と言って質問攻撃が終わることが多いです。
一度「そっか!」を言わせておけば、次回は「この前、教えたよ。」→「そっか」で済むことが多いです。
無地のインナーには「前」にワッペン
キッズ用インナーには、無地が多いです。
私が購入する息子のインナーも、ほとんどが無地、もしくは胸にワンポイントあるタイプでした。
胸のワンポイントや前に絵柄が描いてあるインナーは、私も「前」を教えやすく、息子も自分で「前」が分かりやすかったです。
問題は「無地」。
5歳頃になると、ユニクロのエアリズムやヒートテックを着るようになりました。
エアリズムやヒートテックと言えば、無地。しかも後ろの襟首に、タグが付いていません。
息子は、「前後が無い」と理解して、前後を全く気にせずに、着替えていました。
「首回りの空き具合が”大きい方”が前」という説明は、難しかったようです。
そこで「無地インナー」の後ろ前対策として、前身頃の左胸にワッペンを付けました。
100円ショップで、息子が好きな宇宙系やキノコのワッペンを購入して、アイロンでインナーにくっつけました。
「ワッペンが前」と具体的に教えることで、後ろ前を防ぎました。
総柄のインナーは首回り(前)に小さな印
「総柄」のインナーの場合は、胸にワッペンを付けても目立ちません。
そこで私は、首回りのわずかなパイピング部分に「前の印」を付けました。
総柄のトップスであっても、この首回りの縁の部分は「無地」であることが多いです。
私が使用したのは、保育園の荷物や洋服に付けるために購入した「フロッキーネーム」の”アイコン部分”。
フロッキーネームは、通常の「おなまえシール」や「ネームタグ」と違って、背景(下地)がない、立体文字だけを布に残せるアイロンシールです。
私が購入した5年ほど前は、フルネームの先頭と末尾に付けるための、好きなアイコン(=絵柄ポイント、プチマーク)を選べるタイプがネット通販で売っていました。
私は、そのプチマーク部分に、”飛行機”を選択。この飛行機のマークを、インナーの「前の印」に使いました。
私が購入した商品と全く同じではありませんが、フロッキーネームと一緒に使える「プチマーク部分」が、今でも楽天市場で売っています。(↓)
プチマーク フロッキーネーム アイロン お名前シールとご一緒に 30個入(1シート) ワッペン アップリケ
小さなアイコン(プチマーク)は、文字が読めない小さな子供に、「自分の物である印」としても教えることができるから、活躍の幅が広がって便利でした。
Tシャツやトレーナーは王道ルール「襟首タグがうしろ」
Tシャツやトレーナーなどのトップスは、襟首(後ろ、内側)にタグがあります。
無印良品や一部のブランドでは、このタグが1cmにも満たない、サイズ表記だけされた小さなタグである洋服がありますが、必ずと言っていいほど襟首にタグが付いています。
ジャンバーやレインコート等のアウターには、襟首のタグがない商品もあるけど、アウターの前後は流石に間違えないからOK。
だから、トップスについては「首のタグが後ろ」という王道ルールで、息子に教え続けました。
6歳になると、ほとんどの洋服は正しい前後が守られ、「総柄のトレーナー」の時だけ「後ろ前」を見かけます。
6歳の冬、ユニクロのヒートテック(無地)には、前を表わす目印「ワッペン」や「プチマーク」はあえて付けず、挑戦中です。
スモールステップで成長しています。
就学に向けて、「明日、着る洋服の準備」を一緒にしていかないとなぁ…と作戦を考えているところです。