ASD(自閉症スペクトラム)の特徴の1つに「強いこだわり」がありますが、私も息子のこだわりに悩みながら根気強く対処しています。
息子のこだわり特性が集団生活(保育園)や日常生活で目立ち始めた3~4歳の頃は、私自身がこだわりの強い子の対処方法に未熟であり、一人で頑張って空回りしてはイライラすることが多かったです。
当時、息子がこだわっていた「てんとう虫」では、雨なのに虫かごを片手に傘をさして、てんとう虫を探す羽目になった失敗例がありました。
てんとう虫を毎日探して捕まえる、こだわり行動
当時4歳の息子が、強くこだわっていたのは「てんとう虫」でした。
※詳細は、上記のブログ記事でご紹介しています。
平日は保育園の帰り道、土日は外遊びの帰り道で「てんとう虫」を探して捕まえて、虫かごに入れて連れて帰るのが日課(習慣)でした。
最終的には、捕まえた「てんとう虫」をベランダの花壇に放つという行動パターンに落ち着きましたが、それでも毎日どこでも、帰りの虫取りのために虫かごを持参する日々は大変でした。
こだわり過ぎ!雨の日なのに「てんとう虫を探しに行く」
この日は雨だったので、外遊びはせずに、車でショッピングセンターに行くだけで済ます予定でした。
雨なので、虫かごを持参して「てんとう虫」を探しに行くという日課(こだわり行動)に、付き合うことはでいないと思いました。
それなのに、息子は、晴れの日と同じように、「てんとう虫を捕まえに行く」と言いました。
息子にとっては、天候に応じて自分の行動パターンを自ら変えるのは高度だし、「いつも通り決まった行動をする」という単純な発想が先に沸いたのだと思います。
「普通」に囚われて、子供の気持ちに向き合わなかった
今思えば、行けない理由を上手く説明して代替え行動を考えてあげれば、息子も納得して少し我慢することができたのかもしれません。
今なら、「いつもと同じこと」が息子の精神的な安心にも繋がると分かるので、もう少し違った声掛けや対処方法ができたと思います。
しかし、当時の私は、「雨なのにてんとう虫を探して捕まえにいく」と言う息子に、とにかくイライラしてしまいました。
雨の日に虫取りに行くなんて、”普通”に考えたらおかしいでしょ!
”普通”は、雨の日に虫を探しに行くなんて言わないでしょ!
と、「普通」に囚われて、息子の気持ちに丁寧に向き合っていませんでした。
強いこだわり(気持ち)に対して、頭ごなしに否定した
私は、「てんとう虫を探しに行きたい」という息子の気持ちを無視して、”普通”や”常識”を盾にした正論を並べて否定してしまいました。
★実際のやり取りです。
「雨だから、行けないよ。」
「雨なのに、傘さして、虫かご持てないでしょ。」
「雨なのに、虫かご持って虫取りする子、どこにもいないよ!」
「お母さん、傘と虫かご持てないよ!」
「雨の日は、てんとう虫、どこにもいないよ!」
今思えば、こんな否定的な言い方で、息子の「てんとう虫を捕まえに行きたい」気持ちが収まるわけありません。
現に「○○だから出来ない」と私が否定する度に、息子は納得するどころか逆に「できる」と肯定していました。
本当に今思えば、息子の強い気持ち(こだわり)に対して、怒鳴るように頭ごなしに否定していたら、納得してくれるはずないと分かるのに…。
こだわり行動に寄り添わず、怒って否定した結果は「反発」
この時は結局、中途半端な否定止まりで、強く禁止することはできませんでした。
最後は、「勝手にしなさい!傘も虫かごも自分で持ってね!」と言い放ちました。
頭ごなしに否定したり怒ったり、寄り添わず冷たい態度をとると、息子の場合はパニック・癇癪・反発で返ってきます。
この時は「反発」。私が頭ごなしに息子の気持ちを否定したことで、「行く!何が何でも行く!絶対行く!」という思考回路にしてしまい、雨の中てんとう虫を探しに行くことになりました。
雨降る中、てんとう虫を捕まえに…
写真は、私と約束した通り、息子が自分で傘と虫かごを持ち、雨が降る中トボトボとてんとう虫を探して歩いているところです。
なぜこの写真があるかと言うと、この状況もイライラも知らずに仕事している夫に、少しでもこの苦労を伝えて共有するためです。
写真付きで「雨なのにてんとう虫探し!!」と送信しました。
当時の息子は、まだ一人で上手く傘をさせず、普段は両手で持ちながら傘の練習をしている段階なのに、この日は一生懸命に傘を片手で持ち、逆の手で虫かごを持って歩いていました。
きっと歩くだけで大変な状態。てんとう虫を探す精神的余裕はなかったと思います。
もしも気持ちに共感して向き合っていたら?
私と息子の実際のやり取りでは、私が言い放った言葉や声掛けは、否定文ばかりです。
「雨だけど、いつも通り、てんとう虫を探して捕まえに行きたい」という息子の気持ちに、全く寄り添っていません。
こだわり行動の対処法としては悪い例ですね…。
あれから「発達障害」「発達凸凹」「発達が気になる子」「育てにくい子」「発達障害グレーゾーン」「強いこだわり」「こだわり行動」「ASD」「自閉症スペクトラム」…等のキーワードを元に、書物も情報サイトもたくさん読んで勉強しました。
そして、息子の特性に照らし合わせて、私なりに少しずつ対処法が見えてきました。
もしもあの時、息子の気持ちに共感して、息子のこだわりに丁寧に向き合っていたら、きっと息子も辛くて寂しいような負の感情を味わずに済んだのだと思います。
【こだわり行動の対処法】声掛け方法 ~あの時の自分へ~
●雨なのに「てんとう虫を捕まえに行きたい」と言われたら
「そうだね。今日も捕まえたいね。雨だけど捕まえに行きたいね。」
実際に行く行かないに関わらず、まずは気持ちに共感してあげる。
●”全く行かない”のは納得してくれないと思ったら
「雨だけど、虫かごを持って、外に出てみようか?」
実際に外に行くか行かないかに関わらず、気持ちを理解した味方として対応案を言う。
●玄関から出るだけで「てんとう虫を捕まえる」気を済ませたいと思ったら
「虫かごが濡れたらイヤだから、玄関を出て雨粒が虫かごに付いたら、家に戻ろうか?」
何がどうなったら誰がどうするのか、具体的に予定を立てる。
●雨でも外で「てんとう虫を探す」ことを諦めなかったら
「てんとう虫も雨宿りしてるから、あの葉っぱ3枚をめくって、いなかったら家に帰ろうか?」
雨の中ずっと探すことは出来ないと本人も薄々分かっているので、やめる条件を作ってあげる。
「こだわり行動」対処法で失敗したけど…
息子の場合は、パターン化されたこだわり行動に対して、その行動全部を禁止したり行動をやらせずに次に進もうとしたりすると癇癪に繋がります。
一方で、その行動の最初や一部だけやったら「おしまい」という感じで、事前に条件や計画を説明すると、約束した一部だけをこなして終わりにできることが多いです。
実際に、声掛けや対処方法で失敗してみて…
こだわり行動は、ゼロにしようと強制(矯正)するのではなく、
・その気持ち(こだわり)は認める
・量や具合をコントロールする
・途中で言い出したり変えたりせず、最初にキッカリ条件を掲げる
・最初に約束した条件をクリアしたら、キッチリおしまいにして褒める
という流れが、軽減するまでの対処法として近道かなぁと感じています。