息子は、赤ちゃんの頃から寝ない子、こだわりが強い子。敏感で繊細で、悪く言えば扱いにくい-。特徴を調べると、いわゆる「育てにくい子」。
でも、発達障害とは別のものだと思っていました。
これは実際に、「それ」を指摘された時の記録です。
「育てにくい子」に向き合い、特徴を理解しながら対処していく道は、ここから本格的に始まったのかもしれません。
うちの子が”発達障害”?こみあげた怒り
実際に、「発達障害なのでは?」という事を遠回しに指摘された時、最初にこみ上げてきたのは、ショックより怒りでした。
しかし、「発達障害かもしれない」という事を受け入れ、物事が好転し始めたのも、ほぼ同時でした。
状況を冷静に判断して、目の前の子供と向き合い、親が受け入れて認めることが、後の「療育」に繋がります。
でも最初は-。指摘されたばかりの頃は、混乱と葛藤でした。
始まりは保育園の保護者面談
息子が通う保育園では、年に一度、「保育参加」という行事があります。保育園で過ごす様子を観察しながら、一緒に午前中を過ごすイベントです。
最後に個室で「保護者面談」があります。担任の先生(+主任)と保護者が、唯一きちんと向き合って話せる場です。
息子は、1歳児クラスから通っているので、これで3回目。3歳児クラス(幼稚園でいう年少クラス)の保育参加後に、保護者面談に参加しました。
親と先生で食い違う”一番心配なこと”
「普段、何か気になることはないですか?」と、主任に切り出されました。
息子は、小麦・乳・ゴマ・ナッツアレルギー。この時、私にとって保育園における一番の心配ごとは、アレルギー問題でした。
保育園を行く朝は嫌がって大変ですが、保育園に行ってしまえば楽しく過ごしているように見えたからです。保育園に行く前の、朝の身支度も非常に大変ですが、それは保育園の問題ではなく、個人の問題だと割り切っていたからです。急ぐのが苦手な子・ゆっくりした子、成長につれて自然に改善すると認識していたからです。
だから、アレルギーに関することを中心に答えました。
- 給食の時の席が、みんなと離れて一人の時があるから、もう少しみんなの近くに寄れないか?
- 給食当番、クッキング当番、小麦ねんど作りなど、アレルギー児には不安なイベント予定があるが、参加できるか?
- 未だに毎日、通園を嫌がっている。お友達とトラブルはないか?
面談時間は、10分間。時間がないので、保育園生活で気になる点を一気に述べました。
すると、アレルギーに関する心配事に対して、意外とさっぱり解決。


と、淡々と答えてくれました。しかし…。

と、切り出されたのです。
先生は、アレルギー問題ではなく、何か違う心配事をしている?
専門機関で診てもらう!?驚きの指摘
この時点で、何を根拠にされたのかは分かりませんが、ピンときました。
アレルギー以外で、息子が何か、保育園生活で問題があることがあるんだ…、ということを。
お友達とケンカしちゃうのか?
行動が遅いからか?
お昼寝で寝ないからか?
すぐ泣くからか?

・・・固まりました。
専門機関?何それ?どこそれ??・・・思考がぐるぐるして、頭の中は、無言パニック状態だったと思います。
しかし、「息子は普通じゃない」という事を、遠回しに言われた事は、すぐに理解していました。
言葉が出てこない私に気が付いている主任が、担任の先生に合図。担任の先生の腕を、横からツンツンと突いて、何かを発言するように促しました。
保育園から指摘された特徴1.質問を反復する

質問を反復する?
そんなバカな!と思いました。
自宅では、質問した事をきちんと理解して、きちんと回答します。質問を理解できずに、オウム返しなんて、とんでもない!
息子は、担任の先生がずっと怖くて、前から「怖いからイヤだ。」と言っていました。
だから、怒りながら質問されると、萎縮してしまって、何も考えられなくなり、質問が耳に入らない。とりあえず怖いから、よく分からないけど『言われたこと』をそのまま返しているだけだ、と思いました。
「絵を描いて」と言われて『え』を書いたり、言葉をオウム返ししたりする発達障害児の事例は、この時、私も知っていました。
だから余計に、”発達障害の特徴があるんです。”と遠回しに言われている事が分かり、心の中で、強く否定していました。
だって、家では、質問のオウム返しなんてしませんから!

やっと質問できた時の自分の口調は、もはや記憶にありません。

この時に思い出すことはできなかったのですが、後になって考えると、自宅でも数回だけ、私の言葉をオウム返し(反復)したことがあります。
私がすごく強く怒って、怒鳴って、叱って、まくし立てて、最後に「じゃあ、どうすんの!!??」と投げかけた時。
私が教えたこと(=怒鳴った内容)が分かっているのか、試した時。
息子は、「…どうすんの」って、小さなか細い声で、つぶやいたのです。
言葉のオウム返しは、威圧的に怒鳴って怒った時に、 自宅でも起こっていたのです。
それも、保育園での「オウム返し」と酷似すぎる状況で。
保育園から指摘された特徴2.先生の指示が理解できない



息子は、興味がある事にはすごい集中力を発揮しますが、興味がないとスルー。先生のことは、怖くて嫌いだから、わざと話を聞いていないのでは?
保育園は、電車が見えるところにあり、教室の窓からは、電車が見えます。当時3歳、この時は電車が大好き。電車が気になって、電車の音を聞きながら、先生の話はスルーしてしまっているのでは?
私が「分からなかったら、お友達のマネをしなね。」と教えたから、上の空で何をするか分からない時に、遅れながら皆のマネをしているだけでは?
「理解できない」のではなく、「聞いていない」んだ。
と思いました。


首をかしげながら、精一杯、答えました。
「お話を聞いていない」ではなく、「理解していない」という表現で言い切られることが、疑問だったのです。
「家ならできる」は基準じゃない-。集団生活を前提にすると見えてきたこと
怒り、戸惑い、不信。
そんな気持ちが渦巻いていました。保育園から指摘された2つの「発達障害かもしれない特徴」は、この時の私にとっては「意外」だったのです。
目が覚め始めたのは、主任の言葉。



母である私の言葉は理解する…?集団の中では理解できない…?
確かに、家だと息子が分かりやすいように、話しかけていました。
上の空の時は、肩をたたいて呼び掛けてから話しかけ、主語を意識して取り入れ、何かが気になって次のステップに進めない時は、すぐに察してフォローする・・・。
そんなフォローがない保育園での生活は、きっと息子にとって、「自分でも分からない過ごしにくさ」を感じていたに違いない。
息子の「先生が怖くて嫌い」の発言には、もっと色々な背景があるのかもしれない。
集団生活の中で、みんなが出来るのに息子にはできていない事を含めて考えると、このままじゃいけないことは明らかでした。
児童発達支援センターに連絡!発達凸凹対策が始まる-
主任が、この地域を管轄している児童発達支援センターの連絡先を教えてくれました。
自宅に帰り、頭の中で、保護者面談での出来事を整理するのは、時間がかかりました。
この後、夫にメールで
「怖くて嫌いな先生に怒られたら、内容なんて聞けないの当たり前!」「なのに、理解できていないって言われた!」
「障害児扱いされた!」
「言う事をすぐ聞く従順な子じゃないと、問題児かよ!」
…と、メッセージを連打して、愚痴っていますから。
それでも、葛藤しつつも。
その夜、「発達障害」をキーワードに、どれほど情報を漁ったことか。
息子が赤ちゃんの時からずっと、成長に応じてずっと、事あるごとにずっと、「どうしてだろう?」と悩んでいた答えが、少しだけ分かった気がしました。
発達障害の特徴を知れば知るほど、息子に当てはまったからです。「やはり息子は、発達障害なのかもしれない。」そう、認め始めたからです。
そして翌日、発達支援センターに連絡しました。
発達支援カウンセラーとの面談。予約できたのは2ケ月先のことです。
初めての発達支援カウンセリングで「発達凸凹」という表現を知り、私にとって本格的な発達凸凹対策が始まりました。
