軽度ASD(発達障害・自閉症スペクトラム障害)の息子は、わざと自分の目に指を入れようとしながら、パニックになることがあります。
いや、パニックになっているというより、パニックになっている姿を私に見せつけている、という表現が適切かもしれません。
この不可解な行動を分析しました。
「わざと目に指を入れようとする行動」と「アメーバ」の関係

この衝動のきっかけは、アメーバです。
きのこ好きの息子が、きのこ図鑑や博物館で「変形菌」を知ることに。
そして、変形菌の説明として、必ずと言っていいほど「アメーバのように」と紹介されていた。
・・・という経緯だと思います。
アメーバについて、息子が私に質問した時、私は実際の映像を見せてあげようとして、Youtubeで「アメーバ」と検索しました。
検索結果として並んだサムネイル画像の中に、「人の目玉」の画像も並んでいました。
息子の視覚にアピールされた「目の画像」は、息子にとって印象的だったらしく、「一回見たい、一回だけ見たい!」としつこい。
閲覧注意的な動画を幼児に見せるのは嫌だったので、映像として差し障りのない動画を選び、1つだけ一緒に見ました。
付けっぱなしのコンタクトレンズや保存液で増殖したアメーバの話が語られていましたが、音声は音楽だけで、説明は字幕だけ。
息子は流れる字幕が読めなかったので、息子に言葉で説明したのは、私です。

息子は「〇〇すれば大丈夫」という言い方なら、安心する傾向にあります。
アメーバが目に入って、目が見えなくなることが、心配で心配でたまらなくなった息子に、大丈夫なのだと説明しました。

それでも心配でたまらない息子に、「コンタクトをしていないなら絶対に大丈夫か?」と念を押された時、

と答えてしまったのです!
この結果、息子はアメーバの姿は分かったものの、
- アメーバが目に入ると怖い
- 汚い手で目を触ると、アメーバになっちゃう
という意識が、強く刻み込まれてしまいました。
強く「ダメ」と禁止すると、やはり脳内にインプットか
強く「ダメ!」という禁止言葉を使うと、その時の言動に固執してしまい、わざと再現する衝動に駆られてしまう・・・という特徴は、今までご紹介したエピソードの通りです。
息子は、「汚い手で目を触るとアメーバになっちゃう」という不安でいっぱいです。
そんな時、泥だらけの汚い手で、目をこすっている息子を目撃して、
「だめ!手を洗ってから!」
と言って、息子の手をつかんでしまいました。
やばい!
もうちょっと”大丈夫感”を出して言えば良かった…。
と思うも、時すでに遅し。

息子は、プチパニックでした。
汚い手で目を触っちゃいけない、という禁止事項が、脳内に更にインプットされてしまいました。
わざと”目を触ろうとしているパニック姿”を見せる!ストレスの現れ?

それ以来、「あっ、あーー!」と言いながら、左手の人差し指1本で左目の目玉を、右手の人差し指1本で右目の目玉を触ろうとする仕草をするようになりました。
自分の両指で両目を「目つぶし」しようとしているような仕草ですから、異様です。
冒頭で「私に見せつけている」という表現を使いました。
この「わざと目を触ろうとしているパニック姿」、私が気が付くまで続けるんです。
私が気が付かないと、私が気が付くように近くに来たり、「あっ、あーー!」の声を大きくしたりします。
それでも、何をやっているか気が付かずに、「なあに?どうしたの?」と反応していると、本当に両目の瞼を触って、「あーっ、触っちゃったー!!」と叫ぶんです。
この時点で、もう”アメーバ”は関係ない?
私が別の事をしていて自分にかまって欲しい時か、何か言ったのに私が聞こえなかった時か、何かに不安を覚えて心配になった時か・・・。
息子なりにストレスを感じた時に、

と言って、
わざと目玉を触ろうとしたり、本当に”瞼”を触ったりしている気がします。
今では定番の衝動「目玉を触ろうとする」パニックの対処法
今では、リビングで一人でお絵かきしている途中とか、一緒にお風呂に入っている途中に、「あっ、あっ、アメーバになっちゃう!」と突然言い出し、わざと目玉を触ろうとする衝動が始まります。
もはや定番の衝動ですね。
これが強迫性障害に関連するのか分からないけど、やらないと気が済まない衝動に駆られているのだと思います。
そこで、私がまた「ダメ」とか「やめなさい」という禁止文を言ってしまえば、この問題は解決しない。
直感で分かります。
息子の衝動としても”定番”になったので、今では私の対処法も”定番”になりました。
【対処法STEP1】共感フェーズ

衝動に駆られていること自体は否定せず、まずは認める。
何が気になっているのか、分かっているから大丈夫だと伝えることで、安心感を与える。
共感して、信頼を得る場面です。
【対処法STEP2】提案フェーズ

次に、なぜ大丈夫なのか、伝える。
どうすれば大丈夫なのか、説明する。
実演が効果的です。
私が「ガード」と称して実演しているのは、”指が目に入る前に、目を閉じる”という仕草です。

そう言って、自分の指を目に向けて近づけながら、5cmくらい手前の所で、目(瞼)をギュっと閉じるところを見せます。
その後、綴じた瞼を指で触って、実際に”大丈夫な証拠”を見せます。

【対処法STEP2】実践フェーズ

その戦法を真似してみよう!と思ってくれれば、成功です。
息子自身に、大丈夫な所以の仕草をやってもらい、「大丈夫なんだ」と安心してもらう場面です。

息子は、私が実演で教えた戦法をマネするので、できたら褒めてあげます。

両手でホッペを挟んで、褒めてあげる頃には、もうストレスや不安は和らいだのか、「わざと目玉を触ろうとする衝動」は終わっています。
本人が対処方法を学習すると、衝動も緩和する
息子は、指で目の中を触りたくなっても、触る前に「瞼でガード」すれば大丈夫だと学びました。
上記の衝動シチュエーション&対処方法を、何度か繰り返すうちに、本人が対処方法を学習している、と実感し始めています。

最近は、息子の衝動パニックを目の前にしても、私が1から対処しなくても大丈夫。
「ガードすれば、大丈夫じゃなかったっけ?」と声掛けするだけで、息子自身が対処方法を思い出します。

「こうでしょ?」と言いながら、指が目に行き着く前に、瞼を閉じてから、自分の眉毛の下あたりを触っています。
1つの衝動パニックに関わる時間が、一段と減っているので、この衝動パニックの症状自体が、緩和されている気持ちになります。
この衝動に駆られている息子を見る頻度も、少なくなっている今日この頃です。