息子は、初めてのこと・慣れないこと・予定が分からないこと・見通しが立たないことがとても苦手です。
母子分離不安の特性も激しく、小学校では特別支援学級に在籍することにしました。
少しでも息子(と私)の不安を解消するため、入学前に「入学式の練習」をすることになりました。
新入生が「入学式の練習」をするために
私が重視したのは、入学式という一大イベントである事もそうなのですが、それより何より何というか。
スタートである入学式で”皆と同じようにこなせた”成功体験を得ることで、今後続く小学校生活に対する大きな不安が大きく軽減できるのではないかと思ったからです。
なんとか希望通り、「入学式の練習」に漕ぎ付けることができました。
※ 経緯・気持ち・方法などの詳細は、別記事でまとめました。(↑)
新入生の「入学式の練習」はいつ頃?
新年度のイベントに関する相談や面談は、新しい担任が決まる4月1日以降じゃないと身動きできない。
という鉄則を感じたのは前記事の通りですが…。
今回の、入学式本番前に行われる「入学式の練習」については、なんと本番の前日!というタイミングでした。
予定を聞いた時は「そんなギリギリに!?」と驚きましたが、後から思えば記憶が新しいうちに本番を迎えることができるので、前日というタイミングは意外と良かったのかもしれません。
新1年生の誰もが「入学式の練習」に参加できるのか?
入学式の練習日当日、集まったのは息子を含めて全員(=数人)が特別支援学級「情緒クラス」に在籍する子でした。
「入学式の練習」の要望があった親子を集めたのではなく、特別支援学級に在籍する子(の保護者)を対象に声を掛けた様子でした。
事前に会場見学や打合せをしたい、という(私からの)要望を受けて開催することになり、他の支援級の子にも声がかかったようでした。
新1年生の誰でも希望すれば「入学式の練習」ができるのか?…と言うと、たぶん出来ない。
「入学式の練習」そのものが、”本番の予行練習”というものではなく、サポートしてくれる支援員の紹介、当日に希望するサポート体制のヒアリングがメインだったからです。
詳しくは続きます(↓)。
※小学校によって違うとは思いますので、気になる方はご確認を!
不安が強い子は「入学式の練習」に行くための準備の準備
息子は警戒心が強く、先行き不透明なことは拒否。先が見えないとイメージが付くまで質問攻めをする子です。
小学校に行くことについて何日も前から教えましたが、それでも直前まで「何するの?」「お母さんも一緒?」など質問攻めでした。
息子のように不安が強い子は、たとえ「入学式の練習」であろうと、その練習に向かうための事前説明が必要です。
事前の事前の事前準備・・・キリがないですね…。
「入学式の練習」で必要な持ち物・準備
保護者・・・スリッパ
「入学式の練習」の持ち物は、子供は上履き、保護者はスリッパ だけでした。
ここで、入学式当日の服装・靴・ランドセルの姿で行くと、より一層、本番に近い練習にはなるのですが…。
新1年生バリバリの格好で歩くと近所で目立ってしまうことや、本番前日に大きな負担をかけてしまうこと等を考えると、あまりお勧めできないところ。
とはいえ、入学式当日は、自分の準備不足を悔やむ結果に。
どこまで準備(練習)するかは、子供の特性に合わせて考えるしかないので塩梅が難しいです。
入学前に、親子で自己紹介できた
「入学式の練習」に集まった親子。
案内してくれる先生方が来るまでの間、お互いに自己紹介をしました。
入学前に、明日から一緒に小学校生活を過ごすことになる友達の様子、その親御さんを知れたことはとても良かったです。
私自身の安心に繋がりました。
子供達も、一人一人違いながらも特性を持ち合わせて通じるものがあるのか、意気投合していました。
互いに発する言葉は少ないのに、目を合わせたりジェスチャーしたりで気持ちが通じるのか?ふざけ合って楽しそうでした。
入学式の会場となる「体育館」に入場!
「入学式の練習」と題してまずは、入学式(式典)の会場となる体育館に案内されました。
明日に入学式本番を控える体育館は、既に準備が整い、パイプ椅子がずらっと整列。
この年は、新型コロナウイルス感染防止対策のため、パイプ椅子同士の間隔が広めに空いていました。
体育館の前方は児童が座るエリア、後方は保護者が座るエリア。
この児童エリアと保護者エリアの間には2mくらいの空間があり、子供とは離れた席から見守るしかないのだと実感が沸いてきました。
特別支援学級担任の先生・支援員との顔合わせ
次に、先生たちの自己紹介がありました。
体育館の空いているスペースで立ち話をする形です。
私もここで、今後お世話になる先生たちに、初めて挨拶しました。
この時に、顔合わせしたのは…
◎特別支援学級で1年生を受け持つ、担任の先生
◎現場でサポートしてくれる支援員(介添員)
です。
しかし実は、ここで会った先生が「1年生を受け持つ担任」という事実は、この時には分かりませんでした。
翌日、入学式の本番終了後に「特別支援学級の入学式」をやるため、情緒学級の教室に行った時に判明することになります。
明日から新1年生になる子供たちの様子
3人の子供たちは、先生たちの顔を見るよりも、遊び出す。
先生と親たちが話し始めた雰囲気を察知すると、密を避けるためのパイプ椅子間の通路を上手い具合に使って、鬼ごっこのようなことを始めていました。
子供たちなりに、「安心できる場所・安心できる人たちなんだ」と感じ始めた様子でした。
入学式の座席は、個々に選べる合理的配慮
先生とも互いに紹介が終わり、次に保護者に聞かれたのは、入学式本番で座りたい席でした。
なんと、新型コロナウイルス対策の影響で、入学式(式典)はいくつかのグループに分けて実施。そのため「保護者が見守る中を新入生が並んで入場!」という、一般的なイメージとは全く異なり、保護者も児童も「来た順に座っていく」とのこと!
来た順!?
特別支援学級の子は、座席に配慮あり
入場方式がイメージと全く違ったので、来た順で着席すると聞いた時には動揺しました。
しかし、特別支援学級の子は「来た順ではなく、希望する席で構わない。」と説明されました。
すぐ抜けられる「一番端がいい」
保護者に近い「一番後ろがいい」
すぐにサポートに入れる「一番端がいい」
とか。
座席に希望がある場合は、希望する席を今、選んで良いと言うのです。
なるほど、結果的に皆に迷惑がかからないので、こういう配慮はとても有難いと思いました。
配慮の内容が、その子に合うとは限らない
ここで超絶悩みましたが、私の結論は…
みんなと同じ「来た順」でお願いします!
というものでした。
息子は、敏感で賢い。前を歩いているお友達がみんな「来た順」で座って行くのに、自分だけ「決まった席」に誘導されることに違和感を覚えるだろう。
そうすると逆に、「(来た順で)あの席がいい!」という気持ちが芽生えるかもしれない。
そこで”こだわり”が生まれると、急に不安パニックに陥り、泣き崩れる可能性もある。
と思ったのです。
「みんなと違う」より「みんなのマネ」が簡単
「みんなと同じ、みんなのマネをする」という気持ちで臨ませた方が、スムーズだと思います!
息子の特性を踏まえ、どの席にどうやって座るか考えました。
みんなと同じように「来た順」に、空いているに順番に座っていく…という方法が、最適だと思いました。
それにしても、希望すれば座席を選べる、なんて目から鱗でした。
子供の特性を伝えながら、それに合った座席を選ぶ。それが出来る環境に恵まれたと分かるだけでも、すごい収穫でした。
【実例】特別支援学級の子が選んだ座席
それぞれの個性、面白いですね。
●「一番前の席」を選んだA君
A君は「親が近くに見えると甘えてダラダラする。親が見えない席がいいです。」と言う希望があり、一番前の席に座ることになりました。
●「一番後ろの席」を選んだB君
B君は「うちは何かあった時に、すぐ抜けたり声を掛けられるように、一番後ろがいいです。」と言う希望があり、保護者席に近い、一番後ろの席になりました。
●「みんなと同じ、来た順の席」を選んだ息子
息子には、来た人から順番に空いている席に座っていく、という旨を説明しました。
入学式本番と同じ椅子に座ってみる練習
いざ、「自分の席」に座る練習をしました。
- 手は膝の上
- 足はブラブラしないで床に付ける
- 顔は前を見て、話している人の顔を見る
と、支援員の人が座り方を教えてくれました。
私も保護者席エリアに座り、「お母さんは、この辺にいるから大丈夫だよ。」と、息子と私の位置関係を事前に教えてあげることができました。
「不安になったら振り向いてね。この辺から手を振るから大丈夫だよ。」と、実際の場所で事前に言ってあげることができました。
入学式当日に支援員にいてほしい「立ち位置」をヒヤリング
今度は、支援員がどこで見守るか、希望する「支援員の立ち位置」を聞かれました。
これも、お子さんによって様々。
誰かが隣りにいてくれた方が情緒が安定する子もいるし、逆に自分の傍にだけ大人がいたら落ち着かない子もいます。
息子の場合は、「何事もない時に隣りにいる必要はなし。壁側の通路(本来の立ち位置)から見守っていてくれれば大丈夫」ということを伝えました。
入学式当日に、親がハラハラしながら見守る中、支援員の方々も見守ってくれると分かっただけで、親の方が安心感を得ることができました。
たくさんの収穫!「入学式の練習」まとめ
こうして「入学式の練習」という名の、入学式のための特別支援準備が終わりました。
当初、小学校の敷地内に入り、会場である体育館に行き、実際に場所をイメージできるだけでも効果的だと思っていました。
ところが、実際には、予想以上のたくさんの収穫がありました。
- 特別支援学級の担任の先生と顔合わせできた
- 特別支援員の方々と顔合わせできた
- 特別支援学級の友達と顔合わせできた
- 入学式のセッティングされた会場を見学できた
- どうやって座席を選んで座っていくのかイメージできた
- 入学式で親がどこにいるのか、事前に知ることができた
- 上履きを履いて歩く練習ができた(保育園は裸足生活)
- 入学式でどんな支援が必要か、具体的に伝えることができた
まさに息子にとっては、「百聞は一見に如かず」。
この練習会は、大きな効果があったと感じます。
私にとっても、たくさんのメリットがありました。
不要な支援や過剰なサポートは両者のストレスになるので、予想できる息子の様子を先に伝え、必要となる最低限の支援について事前に話し合えたことは、とても有意義でした。
「入学式の練習」のメリットは、入学後も続く…
「入学式の練習」の後、子供たちは一緒に少し遊びました。
その間、参加した他のママ達と、話すことができました。
発達障害で言うと、どのタイプ?
療育ってどうしてる?
どうして情緒クラスを選んだの?
情緒クラスは週一だけって、意味あるのかな?
普段の友人とは、発達障害というキーワードがかかる話題について、そう多くを語ることができない。
でも、この時ここで出会ったママ達とは、発達障害・特別支援学級に関する気になることを普通に話すことができました。
同じ立場で、同じ環境で、実際に感じていることを聞いたり情報共有したりできるのは、とても意味のあることです。
「入学式の練習」に参加して、本当に良かったと思いました!
次回はいよいよ、入学式・当日の様子をまとめます!