息子の就学相談の末、小学校は「情緒特別支援学級」でスタートを切ろうと決意しました。
就学時点では、この決断が正しいかどうか分かりません。
迷いや悩みが晴れることはありませんが、12月に入ってから特別支援学級の入級手続きを済ませました。
今回は、決断までの経緯や理由をまとめました。
普通級は無理か!?まずは”実際の”特別支援学級を知る(就学前:4~7月頃)
息子は一見すると、普通級でも大丈夫そうな雰囲気を匂わす子ですが、何もサポートしなければ、普通級で困り事を抱える要素が多々ありました。
就学を控えた7月の初旬、就学相談の第一歩である「保護者面談」を行いました。面談に漕ぎ付くまでの経緯は、別記事の通りです。
ここでASD息子の特徴を伝え、就学に向けてどうすれば良いのか、就学先(学級)をどうすれば良いのか相談しました。
そして、まずは特別支援学級の説明会に参加することに。
7月中旬、「特別支援学級・通級指導教室」の合同説明会が、各小学校で開催されました。
私は、学区の小学校に出向き、実際に指導に当たっている先生たちの話を聞きました。
噂でもネット情報でもなく、実際に通う小学校の 「特別支援学級・通級指導教室」 に関する情報を得ました。
そこで、息子が「情緒特別支援学級」に所属した場合のイメージが、具体的に湧いてきました。
ちょっとしたサポートを受けながら、みんなと一緒に「普通クラス」で過ごす。
そのためには、「情緒学級」に所属してこそ、成り立つ気がしました。
特別支援学級の担任の先生がいて、先生と支援介添員が行動を見守り、困っている時だけ手助けしてくれる(導いてくれる)。
そんな図が見えてきました。
実際に通う小学校の、実際に入級する(かもしれない)特別支援級の在り方を、実際に聞いて知ることが、とても重要です。
一般論や他者の経験談は参考情報としてとどめて置き、実際に通う小学校で、普通級と特別支援学級(&通級)がどんな様子なのか知ることが、決断への近道となりました。
色眼鏡を外して客観視!発達検査で現状を把握(就学前:7~10月)
就学相談の流れで、就学前の発達検査を予約。
7月下旬、息子は発達検査を受けました。
※詳細は別記事ご参照
10月下旬、発達検査の結果が出ました。
※詳細は別記事ご参照
(就学時)発達検査を受けること自体を躊躇される方もいると思いますが、私はどちらかと言うと、「検査を受けてみたい」「結果を知りたい」という気持ちの方が強かったです。
実際、検査の内容だけでなく、
・検査に行くことを本人に知らせる
・会場に向かう
・初対面の試験官の指示を聞く
…などの場面に至るまで、一連の流れが判断基準にもなりました。
客観的に「何が問題」で「何は問題がないか」分かり、改めて実感できました。
この結果、私の想定通り、「新規場面や活動の切り替えが苦手」、「個別指示ではなく一斉指示が通りにくい等の特性から、小学校生活でも戸惑う場面が生じる可能性」について心配されました。
検査結果は、「日常的に、タイミングを見計らった個別の声掛けや視覚情報を活用した配慮が望まれる」、という結果でした。
この時点で、私には「やはり息子は、情緒学級に所属した方が、過ごしやすいだろう」という気持ちが出来上がりました。
それまでは、どうしても色眼鏡をかけて、「困るかもしれないけど、大丈夫かもしれない」「普通級でも大丈夫かもしれない」という感覚もありました。
でも発達検査を受け、客観的な結果と向き合うことで、「息子にとって良い就学先(クラス)はどこか」という考えを軸にすることができました。
本当に「特別支援・情緒学級」が適切か?”保育園最後の〇〇”を立派にこなす成長ぶりに揺れる(就学前:10月)
それでも迷いは続きます。
夏に参加した「特別支援学級・通級指導教室」の合同説明会では、自分の疑問点は質問して解決済みでした。
だから、「入学時点の保護者の決断」が全てではなく、入学後1年間の様子を見ながら、その後の所属先を変更することも可能だと知っていました。
入学時点の就学先(所属学級)が、無条件で6年間ずっと続くわけではなく、「毎年見直すことができる」と理解していました。
それでも、小学校生活の「最初の1年間」はとても重要な気がして、「私が決めた特別支援級」で息子の小学校生活が始まることに、改めて責任を感じました。
今の私が決断した「所属クラス」で、息子は1年生の1年間を突き通すことになる…。
いざ学校が始まって、逆に自分だけ違う教室に行くことを嫌がったらどうしよう?
それが嫌で「学校が嫌」という意識になったら、それこそ本末転倒です。
小学校生活が本当に、「特別支援級・情緒学級」でスタートすることが適切なのだろうか?
迷って悩んで、揺れ動く自分がいました。
毎朝嫌がりながら通う保育園では、行けば行ったで「最年長クラスのお兄さんぶり」を発揮しています。
お泊り保育、運動会の練習、保育参加…。息子が「保育園最後のイベント」を他の子と同じようにやり遂げる姿を見る度に、「支援級は過剰か?普通級でも大丈夫かもしれない」という気持ちが滲み出て、葛藤しました。
もう少し、決断を後押しできる情報が必要でした。
私は教育委員会に対して、就学先の決断は「就学時健診」が終わるまで待ってもらいたい、と回答しました。
11月に行われる就学時健診は、就学先の小学校で実施されます。会場は、自分が通う小学校。息子にとって、この緊張感がどう影響するか。
そして人数と顔ぶれ。同じ保育園出身や顔見知りの友達だけでなく、入学予定の次期1年生たちが一堂に会する場面です。
「母子分離不安」「初めての場所と人が苦手」である息子が、慣れない場所で私から離れ、知らない大勢の同級生たちと一緒に行動できるのか。
この「就学時健診」で、息子の様子を見極めてから、判断することにしました。
就学時健診で最後のジャッジ!母子分離不安でも”流れに乗れる”が決め手(就学前:11月)
そして迎えた、就学時健診。
※息子の様子の詳細は、上記の別記事の通りです。
私にとって就学時健診は、「情緒学級」の入級を決断するための、大きなモニタリングポイントです。
私がいちいち、何をするのか説明したり、嫌がる息子を説得したり、それが必要になる場面が、どれくらいあるのか。
他の保護者は付添わない場面で、私だけが(途中までだとしても)付添うシーンがどれだけあるのか。
皆と一緒に、流れに乗れるのか。
これを判定します。
結論から言うと、息子は、皆の流れに乗って行動できました!
心配と不安でいっぱいの私をよそに、保護者と離れて子供だけで移動する場面でも、息子はみんなの後に着いて、みんなと一緒に行動できました。
事前に、初めてのことが苦手な息子に対して、就学時健診の内容の説明はしてありました。
それでも私は、親と離れる場面では「お母さんも一緒に!」と言い出すかもしれない、不安な場面ですぐに「お母さんも一緒に!」と言うかもしれない、と内心思っていたのです。
ところが、実にスムーズに私から離れ、私に背を向けて、他のお友達の後に着いて行った!
私は、見えなくなった息子が、行った先で指示に従って行動できたか心配でしたが、何か確信に近い気持ちが芽生えました。
「情緒学級」に所属しなくて、大丈夫かもしれない。
ではなく、
「情緒学級」に所属すれば、きっと上手くいく。
という気持ちです。
就学時健診での行動が、人並みに出来たからと言って、「通常級で大丈夫」という判断はできませんでした。
息子の普段の不安定な情緒は、私が一番よく知っている。
体験入学とか検査とか、ここ一番という時は、私から事前説明を受け、一緒に予行練習やイメージトレーニングをしている。
だから当日は、息子にとって「初めて」の感覚ではなく、根拠のない自信に満ちていたり、普段と違う高いテンションだったりで、予想以上に(人並みに)出来てしまう。
だから、「就学時健診で大丈夫だった = 通常級で大丈夫」ではない。
就学時健診は、私との「事前準備」、保育園が一緒の友達が近くにいた安心感、優しい在学生のサポート…etc、それらがあってこそ「大丈夫だった」のです。
つまり、「特別支援学級・情緒クラス」に所属して、個別の声掛けや導きのサポートがあれば、つまずく前になんとかなる。皆と一緒に「普通級」で過ごせる!
と確信しました。
特別支援で笑顔が増える?療育の先生の見解を聞く(就学前:11月)
息子が通う療育施設の先生に、「小学校では、情緒学級に所属しようと思う」と意向を伝えました。
すると、
という返事でした。
目に見える特性が多岐に渡るのに、周りからは分かりにくい自閉症スペクトラムな子の場合、やはり、ちょっとしたサポートや逃げ場があることが「過ごしやすさ」に大きく影響するそうです。
初めてのことや場所が苦手な息子の場合、なおさら、始めは手厚いサポートがある環境を整えてあげる方が、「過ごしやすさ」に繋がるはずだと思いました。
意外に親身親密!?教育委員会(指導課)の助言(就学前:12月初旬)
こうして私は、息子を特別支援級(情緒学級)に所属させることを決心しました。
「情緒特別支援学級」の入級手続きをするため、教育委員会の担当者に連絡を取りました。
私が本音をこぼすと、入級届を書くだけの時間のはずが、就学相談のような雰囲気に。
特別支援学級に所属していても、学年途中でサポートやフォローが殆ど必要なく、通常級でも大丈夫なのでは?という状態が続くと、先生から声がかかったりするんですよ。
(教育委員会 指導課の話より)
その時、じゃあ「通級」という形にしましょう、とか、苦手な科目の時だけ”この部屋”に来ていいよ、とか。
情緒支援の場合は、その子によって本当にサポートの形が違うから、”始まって様子見ながら”で大丈夫な部分が多いんですよ。
指導課の先生の話を聞いて、「特別支援学級」という世界に柔軟性を感じました。
「みんなと違うクラスに所属」ということに着目しがちでしたが、情緒学級に所属した上で学校側とうまく連携すれば、”情緒学級”という印籠は、心強いものになる気がしました。
「情緒特別支援学級」入級届を提出!(就学前:12月)
私は、「情緒特別支援学級」の入級届を記入して、捺印しました。
この日、情緒学級の入級手続きが完了しました。
年内に、「一区切り」できて、本当に良かったと実感しています。
- 【1月~】通学路を歩く練習スタート、早寝早起きの練習スタート
- 【3月】入学式の練習、情緒教室に入って場慣れする手配
- 【4月(入学前)】担任の先生と顔合わせ
という、年明けの就学準備に集中できるからです。
入学前に、小学校に立ち入って、事前に「場慣れ」や「練習」をしたい案件については、3月以降、教育委員会経由で調整してくれることになりました。
今後は、「情緒特別支援学級」所属の児童生徒であることを前提に、就学準備を進めます。
※入学前の準備や練習の詳細は、別記事にまとめます。実際には「予定」や「想定」と違った出来事が多いです。乞うご期待!?