私が住む自治体が定める食物アレルギー対応ガイドラインによると、アレルギー対応として除去はするけど代替えはしない、という基本方針です。
しかも、除去対象は「卵」だけ、と書いてありました。
今回は、ガイドラインに関するモヤモヤを紐解きます。
元は同じガイドラインなのに、アレルギー対応方針が地域ごとにバラバラ
各自治体は、文部科学省が定めた「学校給食における食物アレルギー対応ガイドライン」を元に、独自の「食物アレルギー対応ガイドライン」を作っています。
各学校は、自治体が定めた食物アレルギー対応ガイドラインに従い、実際の学校給食のアレルギー対応にあたります。
この、自治体が定めた食物アレルギー対応ガイドライン。
・「卵」だけ除去対応の方針、それ以外は弁当対応
※うちの自治体はこれに該当
・ 「乳」、「卵」、「卵・乳」の3パターンのみ除去対応
等々、自治体によって方針がバラバラなのです。
各自治体のガイドラインの”元ネタ”となるのは、みんな同じ、文部科学省が定めたガイドラインのはずですが、自治体によってけっこう違うのです。
更に、それを参考に、学校側が「本校の食物アレルギー対応基本方針」として出してくるので、同じ市内であっても学校ごとに統一されていません。
元ネタは同じなのに、なぜでしょう?
アレルギー対応の「徹底ぶり」に違いがあるのは仕方ない
過去にアレルギー事故の経験がある市町村区は、どうしても安全性を意識して、アレルギー対応に厳しくなるのは理解。
全ての給食メニューについて7大アレルゲン不使用とするような、アレルギー対応先進地域「箕面市」は、超越した存在。
※箕面市はスゴイです。
大阪府 箕面市 「食物アレルギーなどに対応した給食」
https://www.city.minoh.lg.jp/kurashi/kyouiku/kyuushoku/kobetsutaiou.html
アレルギー対応の”徹底ぶり”に方向性の違いが出てくるのは、理解できます。
食物アレルギー対応を徹底すればするほど、アレルギー事故を起こさない対策になるということ。
現実的な極論としては、
・アレルゲンを含む食材を使うなら、アレルギー児には提供しない。
・アレルゲンを含まない食材だけ使う。
この2路線です。
だけど、アレルギー対応としては発展途上の自治体は沢山あるのに、これほど方針自体がバラバラなのはなぜだろう?
私の住む地域では、同じ都道府県内ですら、隣町とはアレルギー対応方針が異なります。
「徹底ぶり」の違いではなく、アレルギー対応でカバーできるアレルゲンすら統一されていません。
なぜでしょう?
文部科学省「学校給食における食物アレルギー対応指針」の”大原則”がブレ要素満載!
不思議だな…と思っていたら、文部科学省が定める『大原則』が、1本化どころか何本にも分岐可能な、解釈次第で好きなようにできる原則でした。
● 食物アレルギーを有する児童生徒にも、給食を提供する。
文部科学省「学校給食における食物アレルギー対応の大原則」より
これと
● 学校及び調理場の施設設備、人員等を鑑み無理な(過度に複雑な)対応は行わない。
文部科学省「学校給食における食物アレルギー対応の大原則」より
これが、同列に書かれていました。
「アレルギー児を含めた全児童生徒に、給食を提供する」ことが大原則にありながら、学校や調理場の”大変さ”を理由に、その大原則を否定できる内容なのです。
一方の大原則が、もう一方の大原則を否定できる、ある意味で「優れた」書き方です。
これでは、各自治体がどちらを優先するかによって、作成するガイドラインの方向性が変わります。
方向性すら変わってしまうガイドラインが大元なので、これを参考にした自治体それぞれが、独自に決めた方針になってしまうことに納得しました。
対応必須のアレルゲンは定めていない上に、「大変ならやらなくて良いよ」という解釈ができます。
結果的に、私の住む自治体では、「除去対応は”卵”だけ」というガイドラインが作成されました。
注目すべきは、ガイドラインでは見えない食品メーカーと給食現場の努力
入学してから分かったこともあります。
食物アレルギー対応ガイドラインだけを読むと、息子への給食提供は絶望的に見えますが、実際に「食べられるメニューが全くないか?」と言えば、そうでもありません。
その理由は、学校給食に使われる「調味料」や「加工品」において、余計なアレルゲンが不使用だったりするからです。
その逆もあって、食べられないメニューも多いですが、1日の給食の中に、1メニューでも皆と同じメニューが食べられる日があるのは嬉しいです。
最近では、「学校給食用」と謳う業務用食品が、”小麦不使用”にリニューアルしたり、学校側がそういう食品を発注したりしています。
実感として、自治体ごとにバラバラの「食物アレルギー対応ガイドライン」が存在するものの、給食現場では”可能な限りの努力”をしていると感じます。
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