アナフィラキシー補助治療剤として本人が携帯するエピペンは、万が一の時にすぐ使える状態にしておくことが必至ですが、自分で管理できない園児の場合はどうしましょう?
息子は、小麦・乳・ゴマ・ナッツ類の食物アレルギーがあり、アドレナリン自己注射薬「エピペン」を保持しています。
今回は、食物アレルギー児の保育園生活におけるエピペン管理についてまとめました。
アレルギー緊急対応時に必要な一式を入れたエピペンポーチは必須
子供が保育園にいる間、エピペン保管場所や管理方法は園によって異なりますが、アレルギー緊急対応時に必要な一式を入れたエピペンポーチを準備しておくことは必須だと思います。
息子の場合、エピペンはもちろん、連絡先・対応マニュアル・経口薬など緊急対応時に必要なものをひとまとめにして、目立つポーチに入れてあります。
保育園で誤食事故やヒヤリハットが起こった時すぐに、一報を受けた職員がエピペンポーチを手に取り、緊急対応をスタートさせる。この素早い行動をとるためにはまず、エピペンポーチの存在が重要でした。
0歳~1歳くらいの園児には難しいかもしれませんが、2歳児クラス以降は、自分のエピペンポーチの存在を本人が理解し、「これはアレルギーのエピペン」と教え込むことが大切です。
私は本人がどうやって使うのか分からなくても、本人が「これはエピペンが入っているポーチ」だと少しずつ理解させました。
年長クラスになると、事務所の棚にある自分のエピペンポーチを指差して、「あそこにある」と認識していました。
園内でエピペンの適正温度が保てる保管場所(部屋)を探す
エピペン管理は、保管場所の温度管理が欠かせませんが、園児が快適に過ごしている室内(園内)の場合はそんなにシビアにならなくて良いと思います。
なぜなら子供達が過ごす園内は、冬でも夏でも基本的には、エピペン保管の適正温度である15℃~30℃の範囲内だからです。
ただし感染症対策・換気対策で外気が入り込む部屋、防犯対策で締め切りの部屋、空調が効いていない部屋など訳ありな場合も。エピペンの保管場所は、適正温度を意識して決めておく必要があります。
温度管理だけじゃない!子供が集う保育園で考える”具体的な置き場所”
息子の保育園では、エピペンは教室ではなく事務所で保管することになりました。
園児が過ごす各部屋は冷暖房完備で、感染症予防のために換気対策もされていましたが、室温としてはエピペン適正温度の範疇です。温度管理の観点では問題ありませんでした。
ではなぜ教室保管ではない?
一番アレルギー事故の確率が高い給食だって午後のおやつだって、教室で食べるのに!?
その理由は、「エピペンポーチが入っているバッグ(リュック)に子供達の手が届くから」でした。
保育園児は自分の事は自分でするように指導されるので、持参した私物を指定場所に置いたり、持ち帰る工作品をバッグに入れたりと、保育中に子供達によるバッグの出し入れがあります。
中には早く支度が終わった子が、お友達のバッグから取り出してあげたりお友達のバッグに入れてあげたりして、その結果、他の子の体操服やタオルが入っていたこともあります。
そういう「子供の手が届く場所」にあるバッグの中に、命に関わる大事なエピペン(ポーチ)が入っているのは問題あり!と判断されました。
アレルギー緊急対応時にいざエピペンを使う場面で、入っているはずのエピペンポーチが無い!というリスクを避けるためです。
悪意ない子供たちの行動によって「あるはずの物がそこに無い」という事態は起こりうることであり、エピペンの教室保管は避けることになりました。
息子の保育園では、エピペンの保管場所は事務所の棚の中に決まりました。
このように、実際に通う保育園の環境に合わせて、エピペンの保管場所を具体的に決める必要があります。
うるさく言うようですが、園の事務所に冷蔵庫があるからと言って、エピペンの冷蔵庫保管はダメですよ!
担任の先生は無理!?朝のエピペン引き渡し方法
朝の登園は、時間との闘いです。着替え・オムツ・タオル・歯磨きセット等の保育グッズを指定場所にセッティングした後、子供を先生に預けます。
※保育グッズのセッティングは保育者側がやる園もあります。
この過程で、アレルギー児の保護者は「エピペンを保育園に預ける」というタスクが加わります。
私の場合、エピペン引き渡し方法は、事務所の窓口で引き渡すというやり方で落ち着きました。
担任の先生に直接引き渡す方法は、先生がわざわざ事務所まで置きに行く必要があったため、現実的ではありませんでした。
朝の登園時間帯は先生の人数も限られており、先生が教室や園庭から一時的にその場を離れるのは厳しいし、あとで事務所に置きに行こうと思ってエピペンを一時的にその場に置きっぱなしになるのも問題でした。
それに、朝の登園時に必ず担任の先生がいるとは限らず、情報共有に委ねるのは曖昧な対策だし、渡した/受け取ってない等の行き違いに発展し兼ねません。
エピペンは保護者が直接事務所の窓口で引き渡す。という方法に決まりました。
荷物が多いと忘れがち!帰りのエピペン受け取り方法
事務所に預けたエピペンは、帰りに受けとります。
これが、息子の保育園生活5年間の中で、3回くらい受取り忘れて帰宅したことがありました。
帰宅後は、アレルギー児の夕食、翌朝には朝食が控えているので、エピペンを保育園に置きっ放しにするわけには行きません。息子を連れて再び保育園に戻り、エピペンを受け取りました。
お迎えに行き、帰りの荷物をまとめた息子を引き取り、事務所に挨拶してから帰る手順。最後の事務所立ち寄りで、なぜその事務所にあるエピペンを忘れてしまうんだろう!?
忘れがちな日は、金曜日(週末前)、持ち帰る荷物が多い日でした。
帰りのエピペン受取りは、帰り際に事務所に声をかけ、朝預けておいたエピペンポーチを返してもらうというやり方でした。
単純な方法ですが、一時的に事務所に誰もいないタイミングにぶつかることは多々あり、スムーズにいかないこともありました。
園長先生がどこにいるのか園内を探したり、近くの教室にいる主任を呼んで来たり、見つからない場合は通りがかった保育士さん(他のクラスの先生)に事情を話してエピペンポーチを取ってもらいました。
息子が年長クラス(保育園で最年長の5歳児クラス)になると、園長先生もエピペン管理に慣れてきて、暗黙の独自ルールができました。
私が迎えに来る時間帯に事務所から園長先生が離れる時は、窓口から届くカウンターにエピペンポーチを置き、私が手を伸ばして届くようにしてくれました。お互い姿を見た時に、「エピペン置きました!」「エピペン受取りました!」と声を掛け合いました。
一斉に同じタイミングで園児が帰るわけではない保育園では、帰りにエピペンを受け取る方法も考えておきましょう。
保護者参加のイベント行事では、保護者がエピペン携帯する!がおススメ
保護者も参加する保育園のイベント行事がある日は、登園時に事務所不在だったり、事務員が電話対応や準備作業に追われていたりで、事務所にエピペンを預けられる状況ではありませんでした。
そうなることは前日に分かっていたので、「明日はエピペンを園に預けず、私(保護者)が携帯しています」という旨を連絡帳や伝言で共有しました。
運動会、夏祭り、保育参加(保育参観)、発表会。保護者が参加する年間行事はいくつかありますが、この中で食事やおやつを伴うイベントでは注意が必要ですね。
子供がいつもと違う通園バッグで通う、親がお弁当等の準備で追われる、カメラやビデオカメラ等の荷物が多い…という状況は、エピペンの持参も忘れがち。また、いつもと違う雰囲気の保育園で持参したエピペンを管理してもらおうとすると、バタバタしがちです。
親が一緒に参加しているイベント行事では、保護者側がエピペンを携帯するのが安心です。
保護者不参加のイベント行事では、通常保育と同じでOK
一方、毎月のお誕生会・ハロウィンパーティー・クリスマス会など、保護者は参加せず保育園側が子供達とだけで開催するイベントがたくさんあります。
そういうイベント日のエピペン管理は、朝預けて帰りに受けとるという、通常保育と同じ管理方法でした。
遠足(ピクニック)のエピペン管理は要注意!
イベント行事で要注意なのは、遠足(ピクニック)。
出先でお弁当も食べるし、エピペンの携帯も必至となる遠足では、息子のリュックに入れたまま管理しました。
気候や遠足先によっては、リュックの置き場所が炎天下で30℃以上になることも。そういう場合は、エピペンの保管ルールを思い出し、保冷剤の活用などで適切に管理しましょう。
園によっては、先生がエピペンを携帯して、保育園に帰ってきたら通常管理に戻すパターンもあると思います。
いつもと違うイベント毎に、エピペン管理について確認してみて下さい。
保育園から一時外出や早退する場合(習い事・療育施設・通院etc)の管理

保育園に長年通うと、朝預けて夕方お迎えという保育パターン以外に、子供だけ一時的に園外に外出したり、帰りは他の送迎車で自宅に直行したり…というイレギュラーな日もあります。
行動パターンがいつもと違う時でも、エピペンを忘れないように管理する必要があります。
息子の場合は、療育に通い始めたので、午前療育の時は保育園を午前中に抜けて給食前に帰ってくる、午後療育の時は給食後に保育園を出て、夕方は直接自宅まで送迎というパターンを経験しました。
午後に保育園を抜ける場合は、親(私)がいない場面で、自分で帰り支度を済ませてから、保育園にやって来た療育施設側の送迎車に乗り込むわけですが、ここで事務所に預けていたエピペンを受け取り忘れる!
そこで、自分の通園バッグ(リュック)に何を突っ込んでから出発するのか分かるように「リュックに入れるアイテムシート」を作って持たせました。

持ち帰るアイテムが絵カードだとバラバラして管理しにくいので、忘れやすい上着・ループタオル・エピペンポーチの3アイテムだけをB5用紙1枚に描いたシートです。
※この紙自体が、どんなに乱暴に突っ込んでも破けないようにセロハンテープで補強済み。
送迎車に乗り込む時、息子に付添ってくれる保育園の事務員さんには事前に、エピペンポーチをリュックに入れる所はサポートの協力をしておきました。
途中で習い事や通院などの用事を済ませてまた園に戻る…という、あちこち行く子もいました。そんな時にアレっ子は大変ですが、いつでもエピペンを携帯できるようにケアしてあげましょう。
管理方法以前にエピペン保持者は入園を渋られる!?
私が問題視しているのは、アレルギーがあってエピペンを持っていると入園を渋られたり、エピペンの保管や管理について嫌な顔されたり、という話があること。
そんな悲しいことを少しでも減らすために、一番すぐに出来ることは、要望の伝え方を工夫することだと思います。
エピペンは15℃~30℃の温度管理ができる場所に置いて下さい!他の子がいじると困るから手の届かない場所に置いて下さい!○○パーティーの時はいつもと違う場所に置いて下さい!
と、こちらの要望を押し付けるような言い方だと、相手も拒絶してくる可能性あり。
「なるべく○○したいけど、どうすれば良いでしょうか」という困っている感じで歩み寄り、保育園(or幼稚園)側がどこまで出来るのか探りながら要望を伝えると、上手くいく確率が上がりました。
本質からズレた交渉術みたいでイヤですけど仕方ない!
アレルギー対応に前向きな保育園は、エピペン管理で渋るような態度はとらないと思います。入園前後のタイミングで、アレルギー対応面談があると思うので、エピペン管理に関する事前確認を忘れずに!
園児のエピペン管理はアレルギー対応面談などで事前確認を!
このように、食物アレルギーがある子が保育園生活をおくる場合、エピペン管理についてもケアする必要があります。
◆ エピペンポーチの準備
◆ 園内のエピペン保管場所(部屋)
◆ エピペンの具体的な置き場所
◆ 朝のエピペン引き渡し方法
◆ 帰りのエピペン受け取り方法
◆ イベント行事のエピペン管理
◆ 遠足(ピクニック)のエピペン管理
◆ 一時外出や早退時のエピペン管理
食物アレルギーがあってエピペンを既に保持しているお子さん、これから処方される予定のお子さんは、保育園選び・見学・入園説明のタイミングで、エピペン管理方法について確認するのが良いと思います。
アレルギーっ子が、食物アレルギーについて理解がある保育機関に入園できますように!
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